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ネットで他人様を値踏みする私たちの話

作者: 暇庭宅男
掲載日:2025/12/01

「インターネットください」

電子掲示板発祥の、電子機器に疎い人がパソコンを買うのを揶揄していう言葉だ。笑える人には笑えるらしい。


私は初めてこの言葉に出会ってから、自身の身に覚えがありすぎるのと、そのあまりにもクリティカルな、できないことへの嘲笑具合に脳天を殴りつけられる気持ちになって、腹立たしいとも悲しいともつかない不思議な気持ちになったのを覚えている。


その言葉を皮切りにして、だと思う。ネットには本当にさまざまな、〇〇できないへの攻撃があふれていると私は感じるようになった。


自己主張が強くて他人を尊重できないなら、中学生の自意識に見立てて「中坊」音が同じなので「厨房」さらに縮めて「厨」。今は「キッズ」もよく見る。


逆に新しい価値観に慣れることができなくて不満をこぼそうものなら「老害」。


嫁を幸せにできない農業従事者の家は「膿家」。


なんでもある。普通に生きて入ればネットに溢れる罵倒語の何かに当てはまる。

私なんか上で出てきた3つ全部当てはまってしまって、頭の中で、アニメ映画のAKIRAに出てくるタカシが作業着でトラクターを動かしているところが絶賛脳内再生中で今ツボってしまい笑っている。


話を戻そう。誰かから見れば必ず欠けたところがあるのがヒトという生き物だ。そしてその欠けた部分を許せなくてあれがダメこれがダメと言い出す。自分にだって別のところで欠けた部分があるくせに。


多分昔から、その姿、その()()そのものは変わらないのだとおもう。石器時代から、「うちのボスは狩りの指示がヘタなくせに、一番おいしいお肉持っていくんだもん。嫌になっちゃうな」とか。


農耕が始まってからは「近所の〇〇は本当に仕事ができなくて、村全体で税を集めようというのに、私が肩代わりしなきゃならないのだよ」とか。


おそらくそんなことはありふれていて、けれど、記録には残らないので陰口の対象にされていても大抵、その場さえ乗り切れば責められなくて済み、そのうち忘れることができたのだ。


今、ネット世界での陰口は、そうではない。

しっかり誰でも読める形になって残り、言った側が忘れ果てているというのに、言われた側はいつでも自分に対する新鮮な悪口が真空パックされてネットに残っているのだ。


いわれのない誹謗中傷なら「俺はこんなことしてねえやい!」と言えるかも知れない。だが、まこと残念なことに大概の陰口は、言われた側に多少なりとも身に覚えがあるのだ。身に覚えがあるから跳ねつけられない。


しかもその陰口を受け止め改善してリカバリーできるほど、ヒトは何でもできるわけではない。それができるなら世界は、世間は、ご近所は、職場は、家族は、私とあなたは、もうちょっと平和なはずなのだ。


そうこうしているうちに、インターネットに降り積もった種々の陰口とヒトに対する評価の高低の記録は、少しずつ少しずつ私たちを「値踏み」し始める。



今までの傾向を踏まえて、これこれこういういったことができない人間はみんなにとって不必要な人間らしいですよ。こういう行動が自発的に直せない人間はこのくらいの損害を職場に与えるらしいですよ。



らしい、というのがポイントだ。

その評価基準に対して、誰一人として責任を負わない。その評価基準をつくって、「価値のない人」(!)をカテゴライズしておきながら、その「価値のない人」の苦しみを全然斟酌せずに、私は何も悪いことしてませんという顔で生きている、()()()()()()()


そしていつか気がつく。過去にいつか私の言ったこともまた、この世から価値のない人を選び出して責め立てているということに。その報いを受けるように、私はいつか誰かから、「お前に価値はないのではないか」と、責めを負うハメになるのだ。

あらすじでも書いたが自戒の意味を込めて書いたもの。


自分でもキレるたびに、また、これこれこういう奴はダメだと感じ発信するたびに、ここに帰って読み返そうと思う。

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― 新着の感想 ―
「インターネットください」 初めて聞いたんですが「ん?なに?…あ!可愛い」と思いました(笑 世の中、かまってちゃんが多い、多すぎるんだと思います。 あと、問題に対して素直じゃない。 「そーなんだー…
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