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最終決戦ー後編

橋本がいつの間にか沸騰させたサラダ油の入った壺を足元に置いていた。

「ちょっとそんな危ないもの・・・」

音雨さんが言い終わる前に橋本はその灼熱の壺を蹴飛ばした。ギリギリのところで女性は避け、超高温の油は巨人に降り注いだ。

「・・・‼︎」

巨人は声を出さなかったが怒りが頂点に達していることは誰の目から見ても明らかだった。巨人は私たちの元へ一気に寄ってきた。

「くっ・・・」

女性は私たちと巨人の間に割って入って刀で凌いだ。しかし刀は今にも折れそうだ。元山さんは蹴飛ばされた衝撃で気絶してしまっているし、光輝さんも天井裏から戻って来ない。

「ぱきゃっ‼︎」

遂に刀が折れてしまった。巨人が私たちにのしかかろうとしたその時だ。

「我こそは天下無双のデブなり‼︎」

光輝さんの声が壁を壊す音と共に聞こえた。そしてその次の瞬間巨人は吹き飛ばされた。幾ら光輝さんでもこの化け物を吹き飛ばすほどの力はない筈だ。何が起こっているのか分からず私は混乱した。

「なんか大きくなった?」

奥村さんが目を丸くして言った。私は光輝さんも見て驚いた。ただでさえ大きかった光輝さんが更に巨大化して、しかも上裸になっていたからだ。背丈も高く

なっていたがそれ以上に太くなっており、今までの「クラスに一人いそうなくらいのデブ」から「巨漢力士」くらいには進化していた。そして肩周りなど分厚い脂肪の層を超えてわかるほどに筋肉が隆起しており、生物として強くなったことに直感的に気づいた。

「ヴヴヴヴ」

遂に巨人が低く唸った。そして光輝さんに掴み掛かり再び投げ飛ばそうとした。しかし覚醒した光輝さんは地に根が張ったかのように全く動かず、それどころか逆に巨人の腹を殴り宙に浮かせた。しかし巨人も巨人だ。天井を蹴り光輝さんを引っ掻いた。光輝さんの腕から大量の血が出たがそれでも止まらず、巨人の腕を掴み地面に叩きつけた。

「ピキッ」

地面が抉れる音と同時に殻にヒビが入るような音がした。

「なんの音?」

音雨さんが言った。何の音かは分からなかったのだが、なんとなくここからようやく脱出できる気配がした気がした。何故なら巨人が来てからの体調不良がこの音を境に軽くなったからだ。

「彼を拾おう。」

女性が元山さんを回収しに向かった。そしてそっと抱き、戻ってきてこう言った。

「彼に・・・任せるしか無いみたいだな。」

「我は食を愛す‼︎」

光輝さんがそう叫び巨人を壁に叩きつけた。

「ピキッ」

また殻にヒビが入るような音がした。そして光輝さんは巨人を天井に押し付け叫

んだ。

「デブは病に非ず、食べる喜びを愛せよ‼︎」

「ピキャァ」

殻が完全に割れた音がし、体調不良は完全に無くなった。同時に意識が遠のき始め深い深い空に飲み込まれるような感覚に陥った。

「起きないと・・・」

私はそう思ったが争うことができず眠ってしまった。

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