表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/18

3種のデブ討伐

しばらく歩くと、牧場のような強烈な臭いがしてきた。避けたかったが、それ以外に道は無かったのでそこを突き進んだ。臭いを我慢して進むと三人のデブに囲まれた全裸の元山さんが居た。どうやらこの強烈な臭いはこのデブ達から発せられていたようだ。

「元山くーん‼︎」

音雨さんが声をかけた。元山さんはすぐに気づき、こっちに向かおうとしたが、臭い三人のデブに抑えつけられ身動きが取れていないようだった。マッチョの元山さんを持ってしても動かせないようだった。

「ピザ系デブ、おにぎり系デブ、ポテチ系デブやな。」

橋本が言った。よく見ると、一人はピザを持った白人のデブ、一人はおにぎりを持っている坊主の黒光りしているデブ、一人はポテチを持っただらしなく髭を伸ばした不自然な色白のデブで、確かにそれぞれ食べ物に合った典型的なデブだった。可笑しくて笑いそうになった時、そのデブ達は振り向き橋本に向かって

「デブじゃ無いし‼︎」

と叫んで起き上がってきた。

「認めるんや‼︎僕はデブや‼︎」

そう言い光輝さんも駆け出した。幾ら光輝さんがデブとはいえ相手もデブであり

しかも三人である。勝てる訳がない。

「あーのちゃん‼︎」

三人のデブのうちポテチ系のデブがうめくようにそう叫びその垂れただらしない腹をたゆんたゆん揺らしながら私の方へ向きを変え駆け寄ってきた。

「汚ねぇ‼︎」

橋本はそう言いポテチ系デブに石を投げつけた。そしてそれに追い打ちをかけるように光輝さんが覆い被さった。自分の体重を支えるので精一杯の脂だらけの去虚勢を張った見窄らしい体は全く動けなくなった。

「あやのちゃんって誰やねん。」

橋本が半笑いで言った。確かにあやのちゃんとは誰だろうか。何かのアイドルだろうか。いずれにせよそんな気安く触れると思っていることに対し俄かに怒りが湧いてき、そして自分にもまだそのようなプライドが残っていることに驚いた。

「Oh,cute girl‼︎」

ふと声のした方を見ると今度はピザ系デブが私を襲おうとしてきた。ポテチ系デブよりさらに太く、見たことのない部位からも脂肪が生えていた。そのため速度は非常に遅く、その上ひどい近眼のようでさっきまでは私のことを捉えれなかったようだった。しかし今ははっきりと私を見据え、自重で最早歩くのもやっとの湾曲した肉を震わせながらゆっくりと私の方に近づいてきた。この速度なら余裕で逃げ切れるはずだがあまりの目力に恐怖で動けなかった。

「じゅぼーん‼︎」

みつきちゃんのうどんスープの怪物が私とピザ系デブの間に割って入った。

「Whyyyyyyyyy‼︎」

ピザ系デブはそう叫びそのままうどんスープの化け物に突入しようとした。

「ピッギイイイイイイイ‼︎」

ピザ系デブはそう叫び化け物から溢れたうどんスープに足を滑らせ横転した。これでニ人を倒せたと思った。

「あっ‼︎」

ピザ系デブは自分が倒れる際化け物の腕に捕まりピザ系デブの体重で引きちぎってしまったのだ。

「ふん‼︎」

みつきちゃんはそう言い千切れたスープのかけらでピザ系デブを捻り潰した。しかしみつきちゃんが化け物の腕を千切られたことによって弱ってしまったことは明白で、しんどそうに音雨さんにもたれかかった。

「ふうううん。」

光輝さんはドロドロになってこっちに戻って来た。

「きったね、あいつは?」

橋本が言った。

「なんか消えちゃったよぉおおおお。」

光輝さんが言った。光輝さんが覆い被さった後は白い灰のようなものが積み重なってた。

「お前のせいで化石になっとるやん。」

橋本が言った。

「バチン‼︎バチン‼︎」

奥から殴り合ってるような音が聞こえた。音の方を見ると元山さんがおにぎり系デブから逃れようと必死に叩いていた。しかしおにぎり系デブは元山さんを押さえつけて離れない。

「お兄ちゃん‼︎」

みつきちゃんがかぜえぜえ言いながらか細く叫んだ。おにぎり系デブはチラッと

こちらを見たが相変わらず元山さんを押し付けていた。

「お腹空いたああああ‼︎」

突然光輝さんはそう叫びおにぎり系デブの方へ駆け出した。

「っはあああああ‼︎」

おにぎり系デブはそう叫び光輝さんを片手で迎え撃つ姿勢を取った。片手で受け止めるなんてそんな無謀な・・・と思っていたがすぐにその理由が分かった。なんとおにぎり系デブは一二〇キロの光輝さんの巨躯を片手で受け止め、それどころか跳ね飛ばしてしまったのだ。野球部か相撲部なんだろうか。さっきまでのニートどもとまるで違う。しかし元山さんを押さえる手も同時に弱まった。そして元山さんもその機を逃さずおにぎり系デブの手元をするりと抜けた。

「ふんはああああああ‼︎」

おにぎり系デブはもう一度立ち向かってきた光輝さんを蹴って、元山さんの元へ

全力で駆け出した。とんでもなく速い。元山さんは校内でも指折りの俊足の持ち主だったが、それをさらに上回るスピードで追いかけて来た。

「ぐぁん‼︎」

うどんスープが吠えた。ピザ系デブに引きちぎられた腕は不完全とはいえ復活していた。そしてそのオーラは今までのそれとはまるで違い、強い殺意を感じた。

うどんスープはおにぎり系デブが元山さんに追いつく寸前で間に割って入り、おにぎり系デブの顔を勢いよく張った。流石のおにぎり系デブもその勢いに負けてよろけた。しかし流石は光輝さんを一発で跳ね除けた化け物なだけあってその後すぐに立ち直し、うどんスープの顔らしきものにラリアットを決めた。

「ぐりゅりゅりゅりゅりゅ・・・」

うどんスープはそう唸り自らの体を変形させおにぎり系デブのラリアットの威力を吸収した。そして更におにぎり系デブにまとわりつくように体を変形させ、

動きを完全に封じ込めた。

「うっがあああああ‼︎」

おにぎり系デブは悲痛な声でそう叫びもがいた。とても苦しそうで必死になっていたがうどんスープのおにぎり系デブを抑える圧力は弱まるどころか寧ろ強くなり、おにぎり系デブは圧縮され黒く灰のように変形していった。そして完全におにぎり系デブが息途絶えたところでみつきちゃんも気を失った。

「おい‼︎大丈夫か?」

元山さんが駆け寄りみつきちゃんの胸に耳を当てた。

「・・・気失ってるだけやな。」

元山さんはそう言いみつきちゃんをおぶった。私たちはとりあえずその言葉で安心した。

「じゃあ行こっか。」

音雨さんが言った。私たちは最後のメンバー、奥村さんを探しに出発した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ