豚バラ牛乳、糖質チーズフォンデュになる
少し歩くと強烈な生ごみ臭がしてきた。光輝さんは
「食べ物を粗末にするなんて・・・」
とあからさまに機嫌が悪くなった。
「あ、豚バラ牛乳・・・」
橋本が呟いた。それと同時に私たちの目の前により一層強烈な異臭を放つ人らしきものが現れた。昨日の死体程の太り方では無かったがそれでも光輝さん以上の肥満で、顔は醜く爛れており、それで居ながら福笑いでもこうはならないレベルで酷い色彩と配置の化粧をしており、おおよそ人間のものとは思えなかった。そしてその片手には沼のような何かを持っていた。その沼のようなものをよく見ると「白バラ牛乳」と書かれていた。よく橋本は見つけられたな・・・と呆れ半分で驚いた。
「う、うわあああ‼︎」
爛れた女はそう声にならない声で悲鳴を上げた。そして横転し、私たちを指差してこう言いはなった。
「来るな、キチガイ、汚い‼︎」
人間かも怪しい分際でそれを言うのか?と私は思った。そしてこの爛れた女が喚いてる時、橋本はニヤけながらコーラのペットボトルを取り出した。何をする気なんだろうか。
「うっぎゃあああ‼︎」
橋本がコーラを爛れた女にかけ、爛れた女が叫んだ。
「あんた・・・あんた・・・何すんのよ‼︎」
爛れた女は今にも気を失いそうだ。
「え、これってフリちゃうん?」
橋本は相変わらずニヤニヤしながら言った。
「もう、もういい‼︎あんたらなんてチーズフォンデュよ‼︎」
爛れた異形はいつの間にかムキムキの異形に変わり、片手には白くドロドロした
ものが渦巻いていた。
「そうか、やったらこっちはうどんや‼︎」光輝さんはそう叫び、いつ拾ったのか天井に繋がっているホースを手に取って叫んだ。
「ぶわあああ‼︎食べてやるうううううううう‼︎」
掠れた大声を出しながら爛れた女だったものは大量の白いネバネバしたものを空間全域に渡り蔓延らせながら大声で叫んだ。そして巨大なナイフのようなものを体に纏わせながらこちらに向かってきた。
「んじゃああああ‼︎」
光輝さんはそう言いながらホースから大量のうどんスープを放出し始めた。
「これ・・・さわれる。」
みつきちゃんがそう言い空を掴み始めた。小さい子は何を考えているのかわからない。そう思っていたその時だった。
「バチィィ‼︎」
うどんスープは巨大な腕となり、爛れた女だったものを押さえつけた。爛れた女は
「どういうつもりよこれぇぇぇええ‼︎」
と叫び藻がいた。
「まあまあまあ。」
と橋本が宥めるように言った。それがさらに爛れた女だったものを苛立たせ、一層激しく暴れ出して叫んだ。
「醜い化け物め‼︎ふざけんな‼︎ふざけんな‼︎」
その時、体から出ている白いねばねばしたものの一つがうどんスープの腕を貫通し私たちの足元に突き刺さった。すると光輝さんはそのねばねばを眺めて
「良質だぬぇぇぇええ‼︎」
と大喜びし齧り付いた。それをみて爛れた女だったものは
「ぎゃあああああ‼︎酷い‼︎酷い‼︎監視されてる‼︎いじめんな‼︎」
と叫び、より一層激しく暴れた。その時、爛れた女だったものの体が遂にうどんスープの腕から離れた。幸い纏っていたナイフはうどんスープの腕に刺さったままで、爛れた女だったものに着いて行くことは無かった。そして、爛れた女だったものは喚きながらこっちに迫ってきた。
「美味しそぉおぉおぉおおおお‼︎」
光輝さんも雄叫びを上げながら爛れた女だったものに向かって駆け出した。両者はその体格からは想像できないほどのスピードで走り、そしてぶつかった。
「ンギッッギイイイイイ‼︎」
爛れた女だったものは金切り声のような音を上げて光輝さんに噛み付いた。
「・・・そんなのでデブは止まるとでも?」
光輝さんはそう言いニンマリ笑うと逆に爛れた女だったものに噛みついた。
「キモい‼︎汚い‼︎電磁波攻撃‼︎」
爛れた女だったものはそう叫び光輝さんに強烈な張り手を入れた。しかし光輝さんは怯むことなく、爛れた女だったものの一部を噛みちぎった。
「ひっっじゃあああああ‼︎あああああああ‼︎」
最早爛れた女だったものが何を言っているのか聞き取れなかった。身体中から白いネバネバを放出しながらあからさまに弱っていった。
「美味いなぁ‼︎」
光輝さんは爛れた女だったものをどんどん食べている。流石に光輝さんの衛生感覚を疑った。
「お前デブやん。」
橋本が言った。それはそうなのだがそれで済むような状況なのだろうか。
「流石にこの量は丁度いいわぁ。お腹いっぱい‼︎」
しばらくして光輝さんは言った。人間一人分食わないと腹が膨れないのかこいつ・・・と思った。
「なんかついて来た。」
とみつきちゃんが言った。みつきちゃんの後ろに背後霊のようにうどんスープの怪物がついて来た。いつの間に加工したのだろう、爛れた女だったものが纏っていた包丁を大きなキーフォルダーにつけて指で振り回しているようだった。
「食べ物探そうよぉ‼︎」
光輝さんは言った。そして私達はさらに奥に進み出した。




