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豚骨スープの謀反

人のようなものが倒れているエリアから奥の通路へと進むと岩の扉があった。その扉を入ると「ゴオオオオオオ‼︎」という、重いものを引きずるような音がした。

「うーん、美味しいものの匂いがしない・・・」と、匂いを頼りに動いていた光輝さんは立ち止まった。さっきまでの部屋と違い幾らかの明るさはあったが一本道ではなく、幾多の分かれ道に分かれていた。

「とりあえずこっちに行きましょう‼︎」

今度は私が光輝さんの手を引っ張り進んだ。しかししばらく行くとすぐに壁に突き当たった。

「・・・戻りましょうか。」

しかし道を引き返してもすぐに行き止まりとなっていた。

「香ばしい匂いがするねえぇえ。」

するといい匂いのする濁流が流れ出してきた。恐らく豚骨スープだろう。しかし何故か光輝さんは飲まずいつに無く深刻そうな顔をした。

「・・・いけない。」

「・・・?」

私は状況が掴めなかった。しかし光輝さんは急いで私の手を取った。

「逃げるよ‼︎」

光輝さんはそのまま全力で走り出した。するとたちまち後ろの豚骨スープは黒く

濁り、泥のようになって無数の黒いイボのような物を生やしながら空間を覆い尽くしにきた。

「ボヨヨヨヨ・・・ウンボッボ‼︎」

豚骨スープは呻き、私たちの足を完全に巻き付いた。

「デブ・・・ミニクイ・・・ユルサン・・・‼︎」

豚骨スープはうめき、悪魔の笑顔のような紋様を浮かび上がらせた。

「クソ、こうするしかないのかかぁああ‼︎」

光輝さんはそう叫び、豚骨スープを吸い始めた。床を這う黒い豚骨スープなど、不衛生でしかない筈だが、不思議と美味しそうに見えた。状況に反し、すごく幸せそうな光輝さんは

「ぶっはー‼︎」

と平らげてしまった。

「・・・何で最初から飲まなかったんですか?」

私は倒された恐ろしき化け物の呆気なさにポカンとしたのと同時に思ったことを言った。

「あからさまに豚骨スープの匂いじゃなかったんだよおおおお‼︎実際ようわからん化け物やったし。でもあれは抗えんかったんよおおおおおお‼︎」

光輝さんはそういうとすぐに顔を顰めた。

「でもおかしい。香ばしい匂いにたどり着いていない。もう少し先に進んでみよう。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ボクは目を覚ますと、赤色の光が窓らしきところから差し込む暗い部屋で柱にしばられていた。

「起きたのかぁい?」

闇の奥から声がした。恐らく野田くんの声だ。

「野田くんもいたんや‼︎・・・ってえ・・・?」

闇の奥からでてきたのは野田くんの比じゃない太り方をしたおじさんだった。太り過ぎて歩けないせいか、アメリカの田舎のスーパーにあるようなスクーターに乗ってきた。

「ぶっひ‼︎ぶよおおおお‼︎ぶらぶらぶっぶー‼︎」

そのデブの声はだんだんキーが上がっていき、耳障りなほど甲高い声に変わった。

「どうしてこんなことするん?ボクを解放して‼︎」

声が出しにくい。けど出しにくい状況ながら今出せる精一杯の声で叫んだ。

「んきっきっっきいー‼︎んぐぅ、ぼぼぼ‼︎君を食べたいな‼︎」

そう言いながらデブがこちらに手を伸ばしてきた。その手は脂ぎっていて非常に

汚く見えたが、同時に猛烈に香ばしい焼き魚の匂いもしてきた。

「やめて‼︎」

ボクは叫んだ。次の瞬間ーーーー

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