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先輩、一億二千年時を戻してください。あと神も殺してください。

「トーコちゃん。どうやって僕らの居場所が分かった?生徒会の権限で知れる範囲の異世界の中に、こんなネット小説のような世界は無かったはずだが」

「まず、学園に『連合』の把握するデータを全て要求しました。拒否されたので、自分で世界と時間の隙間にワープして探しだしました。生徒会の業務が止まった為、基底世界──ボクらの世界は3ヶ月で滅びました。」

「滅んじゃったの?」

「来夏先輩に会えれば世界の時間を巻き戻して貰えると思って、放置しました」

「世界まるごと時間戻さなきゃいけないの?何年くらい」

「一億二千年くらいです。『絶対時間』では皆さんが消えてから一億二千三百六十五年6ヶ月8日8時間25分22秒」

ライカが倒れた。

「どうやってそんなに永い間僕らを探してられたの?」

「クロノスの世界で、時間の神に『神坂高校生徒会』が「神」である世界をひとつ売って、意識以外の肉体の時間を停止させました。期限は生徒会役員が見つかるまで」

「おい、どれ売った?」

「LSDの精神世界です」

「……まあよし!」

「いいんですか?会長!」

今後LSDでトリップした奴は、あのクロノスの世界の神の思い通りということだぜ。

「あとはワープして、ワープして、ワープして、ワープし続けました。異能力者は基底現実にしか現れないし、基底現実に近い世界は『連合』──異能力者を知っているので、その世界の神に会って知らないのならワープ、ワープ、ワープ。遠すぎて『連合』を知らない世界の座標まで来ても見つからなかったです。ですが基底現実以外の世界には、どの世界にも「神」はいるので、大体一つの世界で3年かけて「神」に会って知らないならワープ。一億二千年経って、世界の隙間で新しい世界が生まれたのに気づきました。それ自体はまあ一億二千年生きてれば、よくあるとまでは言いませんが、たまにあるし、小さいからシカトしようと思ったら、その世界の神が人間なのが外側からでも分かったんですもん。その小さい世界だけ明らかに創造の論理が人間の認知の範囲だったので。絶対先輩だと思ってボク泣いちゃって、泣き止んでから跳んで来ました」

そう言って、笑った。

いつの間にか起き上がったライカが、トーコを抱き締める。

「ありがとう」

僕も頭を撫でる。

「見つけてくれて、ありがとう。帰れなかったらどうしようって、本当は不安だったんだ。」

イノリとカナタも頷く

「頑張ってくれてありがとう」「凄いよ。トーコ」

「私が未知の世界に理論も分からず飛ばされて、強気でいられたのはトーコちゃん。君のおかげなんだぜ。君ならきっと僕達を見つけてくれるって、勝手だけどそう思えて仕方がなかったんだ。遠い、遠い旅、お疲れ様。トーコ。本当にありがとう」

ヒビキ先輩がそう言って頭を下げた。

トーコは、それから1時間ほど、声も出さずに泣いていた。

「だから!帰れます!」

鼻水を垂らしたトーコがそう言った。

イノリがティッシュを創造する。

「そうか。帰ることになるな。ライカが一億年時を戻した後」

「そのくらい、やりますよ……トーコの頑張りに比べたら。ただ、基底現実の外側、世界の隙間へトーコに連れて行ってもらえる?多分、一億年経ってても人の住める環境じゃないでしょう」

「わかりました!」

「ただ帰ったらこの世界の探査、及び「神座」の奪取は確実に命じられるだろうな」

「今の立場は強いですからね。僕ら世代の生徒会の能力なら、高校生でも「侵略」はさせられるかも」

ヒーラは厳密には「神」ではない。神坂高校の上の組織、『連合』が定義する神ではないというのが正確か。

基底現実以外の世界には、その世界を統べる「全能者」がいる。魔法なんて使ってる時点で、あの女神はただそういうこの世界で高位の種族というだけだ。

『連合』は異世界の技術、オーバーテクノロジー、魔術、そして何より「異能力者」を使って異世界を侵略して、文明を簒奪してまた強くなり、異世界を侵略して、文明を簒奪して、とにかく侵略して侵略して侵略しまくってありとあらゆる文明を吸収した。

侵略目標は「全能者」、つまり「神」を殺すことだ。

「神」を殺した者が次の「神」になる。「神」がトーコのケースのように自発的に「神」の座を譲渡するケースもあるが、これは稀だ。

この世界に、ある意味「密入」し、「勇者」としての立場がある僕らは、この世界の神を殺す事を命じられるだろう。

ぼくらの使命は、魔王ではなく、神を殺すことだ






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