異能学園の生徒達が異世界転移しましたが、彼らなりに思うところがあるようです
設定微調整
未識彼方の異能「全知万能」
彼女は視界に映るすべての存在から「情報」を収集、記憶する。
またあらゆる情報を操作・送信できる。
無一文芝居→零文芝居
ライカが帰り道を通る端からなぎ倒した木を過去のなぎ倒す前に戻していく。登山や森林散策は自然に干渉しないのがマナー。……いや、「発覚しない」という結果を先に手に入れているからといって、あまりにも不自然なことを放置しておくと、世界が整合性のとれた因果を紡ぐ為にどんな突拍子のない未来を創るか予測不可能だからだ。
「夜、外に出て魔物と戦ったことがバレない」ことは保証されていても、「僕等の登った山に隕石が衝突して、戦車で作った道が消し飛んだからバレなかった」のような、結果に至るまでの過程で問題が起きることがある。
それを防ぐため、ヒビキ先輩は本気を出すとき「脚本」を描く。一文の価値の無い、ハッピーエンドを目指す為だけの脚本を。
帰りの戦車の中でヒビキ先輩は紙にペンを走らせていた。
これは僕たちが「プロット」と呼んでいるものだ。
「望んだ結末」のために必要な状況①を考え、状況①という結果の為に必要な状況②を考え、状況②という結果を得るために――と続けていって、現状まで逆算する。仮に状況がn個必要だというプロットが出来たら、現状から状況n、状況nから状況n-1……状況②から状況①、状況①から「望んだ結末」――とこのように未来を分割し、連続で「零文芝居」を使用することで、因果への大規模干渉による予測不能なバタフライエフェクトを抑制するのだ。
「ステータス隠匿があったね」
「はい。相手が規格外に強い時稀に起こるものです。しかし通常の戦闘時、あるいは熟練の冒険者がスライムと対峙した時など例外の発生事例も歴史上前例がありました。歴史上に記録が残るということは可能性がほぼ0%の、通常ありえない事象ということですが」
「確率で発生する世界のバグのようなものか?それを使おう。女神が重視しない程度のスキルが実は発現していたと申告し、異能を実際よりスペックの落ちたスキルとして伝える」
例えば――と、先輩は僕等のスキルを設定する。
「ボクは超幸運。幸運過ぎて仲間のステータス隠匿が常時発動してしまう」
「イノリくんは物質創造。土や金属を生み出して──まあ剣つくるくらいは出来ることにしようか。伝説の剣じゃなくて普通の剣ね」
「カナタくんは情報操作。全知は隠す。」
「ライカくんは未来視。そして悩んだんだが、オトギ君の異能は万能すぎるから下手にナーフするより縛りをかける。『コピー能力』。自分が見た「現象」以外を『塗り替える』場合はばれないようにやりなさい」
「奴隷契約時の魔法については?」
「即時魔法はステータス画面で装備したら魔法名の詠唱だけで発動できただろう。あれを使ったことにしよう。」
レベルの件は不良少年が壊した倉庫の中に、「レベリングポーション」という薬品があったとカナタが記憶していたので、スキルが転移者に発現したときのどさくさで見つけて、ズルをするため盗みましたごめんなさいもうしませんというところで手を打つことにした。倉庫内はめちゃめちゃだったため、あのとき盗んだことにすれば在庫数に矛盾はでないだろう。
と、いうわけで。
「零文芝居」
朝、女神ヒーラを叩き起こして先輩は「納得する」という結果を押しつけた。叩き起こしたのは「転移者のスキルが発現して自慢したくてしょうがないニホンジン」という印象を与えるためだ。
スキルがなぜ今になってわかったのか、我らが生徒会長様のツッコミどころが多すぎてどこの穴を指摘したらいいかわからない適当極まる説明を女神様は納得なされた。もうちょっと細かく話を創り込めばいいのに、「納得する」という結果を得られる彼女にとって無駄な「過程の物語」を物語ることはやってられないのだろう。
事実、嫌味ではなくやってられないだろうな、と思う。ステータス隠匿の(屁)理屈を聞いたとき、女神が常に放っていた敵意に近い猜疑心がほとんど完全に消えたのが、もう本当に「ご都合主義の無価値な芝居」だ。恐らくステータス画面で思考の統制・監視を行っているのだろう。それが出来ない以上警戒は常にされるだろうが。
時折思う。果無否引はなぜ笑っていられるのかと。
「さあ!勇者様として鍛錬にいそしもう!神坂生徒会諸君!」
僕等の前を歩く先輩が満面の笑みで振り返る。長い黒髪は夜の尻尾のようにばさりとたなびいて膨らんだ。
大きく、叡智の光を宿す瞳。それは、宝石の名前なんかで形容されるべきなんだろうけれど、彼女は自分が美少女であることなんて気にもかけない小学生のような表情と仕草でいつも楽しそうで。
いつかあんな風に笑いたい。「学園最強候補」「究極の万能ギフテッド」夢遊権現なんて呼ばれている能力者は、そんな理由で彼女から目が離せないのだ
現白御伽
中性的というより、女性に間違われることの多い可愛らしい顔立ち。男子達は美少女揃いの生徒会の黒一点である彼の事を「もうあいつも美少女」という理由で許している。文化祭時のメイドコスプレの写真にプレミアがついた。
夢遊権現
現実を妄想で塗り替える。明晰夢をイメージすると分かりやすい。手からビームを撃つイメージをすれば手からビームが出るし、空を飛ぶイメージをすれば空を飛ぶ。