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ねこ日和 Ⅱ  作者: おりさくみづき
5/15

Ⅱ-5 里親

翌日。

この日仕事は休みでした。


1日リュウと一緒に遊んでいられる日でした。

それが無性に嬉しかった私でした。


お金があれば、元居たあのお風呂無しのアパートに戻る事もできました。

しかし、当時の私にはお金がありませんでした。


引っ越すお金など、もう無かったのです。


リュウを保健所に連れていかなくてはいけないと思った私でしたが、いつ連れて行って良いか分かりませんでした。


あの愛らしい顔を見る度に、連れて行く日が決まらなくなりました。

あの愛らしい仕草をみる度に、連れて行く日が決まらなくなりました。


私はどうしたら良いのか分からなくなりました。

でも、リュウは保健所に連れていかなくてはいけないのです!!


里親を探すと言っても、今の様にインターネットも盛んではありませんでしたし、直接獣医さんの所を訪ねるしか方法はありませんでした。


しかし、不動産屋からは「今、直ぐに処分するように!」と言われたのです。

時間はありませんでした。


私は暫く、保健所の話を忘れてリュウと遊ぶ事にしました。

リュウは細い棒の先が好きで、その先を追いかけて遊ぶのが好きでした。


リュウの目の前で細い棒を出し、左右に動かすと可愛い手が出てきて、棒の先端を一生懸命追いかけます!!

リュウの目は真剣そのものです!!


そんな事をして暫くリュウと遊んでいました。

そして、夕暮れが来て夜になりました。


8時を過ぎた頃でした。

電話が鳴りました。


出てみると、彼氏からでした。

「何よ?なんの用で電話なんてしてきたの?」


そう私は半分怒りでいっぱいな気持ちで話しました。

「リュウの事なんだけどさ、ウチの母さんに話したら、ウチで引き取っても構わないって言ってくれたんだよ!!だからリュウは保健所に連れていかなくても大丈夫だからさ!!」


そう、彼氏は言ってきたのです!!

私は直ぐに彼氏の家に行きました。


新築アパートから歩いて数分の所に彼氏の家はありました。

彼氏の家に着くと彼氏のお母さんと話をしました。


「おばさん、本当にリュウの事いいんですか?」

「だって、可哀想でしょ?今更保健所なんかに連れていくなんて。いつか隼人と結婚するつもりなら、それまで私がリュウちゃんの面倒みててあげるわよ。リュウちゃんに会いたくなったらいつでもウチに来たらいいじゃない?」


そう、彼氏のお母さんは言いました。

私は嬉しくて、涙が出てきそうになりました。


「おばさん、ありがとうございます。またリュウと一緒に生活できるその日が来る時まで、どうかリュウをお願いします。」

そう、私は彼氏のお母さんに頭を下げました。


彼氏の家は持ち家でした。

ですから、犬でも猫でも飼うのは自由でした。


彼氏のお母さんと話し終わると、私は彼氏の家を後にしました。

そしてリュウが待つ我が家へと急いで帰りました。


ドアを開けるとリュウが「おかあしゃん、お帰りにゃ~!」と鳴いてくれました。

私は、リュウを抱っこしてこう言いました。


「リュウ、明日から違うお家でお母さんとは別々に暮らす事になるんだけど大丈夫かな?」

そう話すとリュウは首をかしげるのでした。


またまた、私はリュウに話しかけました。

「でもね、ちょくちょく、リュウに会いに行くからね。だから寂しくないからね」


そうリュウに話しました。

リュウは分かったかの様に「にゃぁ~!」と鳴きました。


翌日、私は仕事でしたが、合間を見てはリュウの新しい猫のトイレを買いました。

それと、猫のトイレの砂も買いました。


仕事が終わってから、新しいリュウのトイレと新しいトイレの砂やカリカリご飯をもって彼氏の家に行きました。


そして、トイレのセッティングをしました。

「リュウ、これが新しいリュウのトイレだからね。分かったかな?」


そうリュウに話すとリュウは猫のトイレに入り、分かったと言っている様でした。

リュウは何度か彼氏の家に遊びに来ていました。


私がリュウにハーネスを買ってあげて、それを付けて半分散歩をさせる形で彼氏の家によく来ていたのです。

セティングが終わったので帰ろうとして彼氏のお母さんに帰る話しをしました。


するとお母さんはこう言いました。

「夕飯は?食べたの?食べてなかったら食べていけば?隼人はどうせまだ帰らないから」


そう言ってくれました。

その言葉に甘えて、後リュウとも一緒に居たくて夕飯をご馳走になることにしました。


夕飯を頂いたので、洗い物をして、帰る事にしました。

リュウと別れるのがとても辛かった私でした。


「では、おばさん、リュウの事よろしくお願いします」

そう改めて頭を下げた私でした。


「大丈夫よ。会いたくなったらいつでも来なさいよ」

そうお母さんは言ってくれました。


「リュウ、じゃあ、お母さん帰るからね。今日からここで暮らすんだよ?分かった?」

そうリュウに話すと首をかしげます。


彼氏の家の玄関を出て、自宅に帰ろうとした時でした。

リュウの泣き声が聞こえました。


「にゃぁ~!にゃぁ~!」とずっと鳴いていました。

私は後ろ髪を引かれる思いでした。


後日、彼氏のお母さんから聞いた話しですが、あの夜、リュウは一晩中鳴いていたそうです。

リュウも私と離れて暮らすのが嫌だったのです。


しかし、リュウとまた一緒に暮らせる日はそんなに遠くない日にやってくるのでした。


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