Ⅱ-2 スーパーボール
リュウは避妊手術をしてから、性欲が無くなったのか食欲旺盛になりました。
1日に食べるカリカリご飯の量は物凄い量でした。
直ぐに「おかあしゃん、お腹空いたにゃ~!ご飯食べたいにゃ~!」と言ってくるのです。
その度に、私はリュウが食べたい分だけカリカリご飯を与えていました。
あんなに痩せぽっちだったリュウは、どんどん貫禄のある三毛猫に変身していきました。
1番重たい時で何キロあったでしょうか?
たぶん、7~8キロはあったと思います。
かなりのおデブさんです。
運動させなくてはなりません。
しかし、リュウは完全な「家猫」です。
外には出しません。
大家さんとも約束した通り、ご近所の方などにご迷惑をかける訳にはいかないのです。
さて、どう運動させようか?
私は考えました。
「ん?」
その当時、スーパーボールと言うものが流行っていました。
ゴムで出来た小さなボール玉です。
大きさは何に例えたら良いでしょうか?
500円玉くらいの大きさのゴムボールとでも言いましょうか?
ご想像できますでしょうか?
そのゴムボールが流行っていました。
そのゴムボールでリュウは遊ぶのが大好きでした。
その当時、彼氏はまだ学生だったので、時間はある意味あり余っていました。
そんな私の仕事が休みの日の出来事でした。
我が家に彼氏が遊びに来ました。
そこでリュウと3人で遊ぶ事になりました。
キッチンと6畳の部屋の間にある引き戸を開けて、私が6畳の部屋の端に座り、彼氏はキッチンの端に座り、そのスーパーボールを転がし合うのです。
そのボールをリュウは欲しくて追いかけ回すのですが、なかなか捕まりません。
こちらも必死です。
スーパーボールをリュウに取られたら負けです!!
これは勝負です!リュウと私と彼氏、2人と1匹の勝負です!!
人間が猫ごときに負けてはなりません!!
しかし、リュウも猫です!猫の代表です!
リュウは必死に6畳と4畳半のキッチンの間を往復します。
しかし、なかなかスーパーボールは取れません!!
私と彼氏はそのリュウの走り回る姿を見て、大笑いをしました。
余りにも必死で、それでいてなんだかとても可愛くて。
これは太り過ぎです。
痩せなくてはなりません!!
10分が経ちました。
20分が経ちました。
40分が経ちました。
1時間が経ちました。
それでも、リュウはスーパーボールを捕まえる事ができません。
私と彼氏が先にバテました。
しかし、リュウはこのゲームを続ける気満々でした。
生後1歳児は元気ハツラツです。
リュウが可哀想なので、彼氏と相談してゆるゆるのボールを投げてあげました。
そうすると、リュウはようやくスーパーボールを捕まえられました。
それが嬉しかったのか?そのボールを咥えて私の所に持って来るのです。
「これをまた投げてくれにゃ!」そう言っているようでした。
私はびっくりしました!!
犬でもないのに?自分で持ってくるなんて??
そしてまたゆるゆるのボールを投げてあげました。
そうするとまた、そのボールを咥えて私の所に持って来るのです。
リュウはそういう猫でした。
自分が遊びたいと、遊びたい物を咥えて私の所に持って来ました。
それがティッシュを丸めたものとか、ゴミを丸めたものとかでもです。
何でも丸めたものなら良かったみたいでした。
意外なリュウの一面を見た1日でした。
しかし、この1日で少しリュウの運動不足が解消されたのかは疑問でした。