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霧雨に浮かぶ村の花達

EP1に引き続き魔猫の誕生についても、番外編があります。

シャルの楽しみは、花を集める事。楽しめる事も、友もいないシャルにとって、色鮮やかな花を集め、着ている衣服に飾る事は、唯一の楽しみだった。先輩達の厳しい目を盗んでは、花を摘みに出掛けていた。修道院。村の外れにある修道院には、戦で家族を失った者達が身を寄せており、修道女達は、今日も、人手が足りずに駆り出されており、シャルも、その一人だったが、怪我人の血を見るのは、苦手で、いつも、修道院から逃げ出し、空想に耽っていた。夢の中にいる自分は、艶やかなドレスを着ていた。修道院の前に、捨てられ、身寄りのない汚い汚れた子供だったシャルには、空想している時が、1番、幸せだった。勿論、先輩達も、厳しくはあるが、家族のように優しかった。貧しいけれど、とりあえず、幸せだった。

「シャル・・・サボっていないで」

一番、年配の修道女もシャルの事を可愛がっていた。シャルは、孤児である。勿論、名前など、最初からない。以前、修道院で飼っていた猫の顔があまりにも、シャルに似ていたので、自然と皆、そう呼んでいた。

 幸せだった日が終わりを告げたのは、それから、いく日も経たなかった。都市部から始まった魔女狩りは、地方へと広がり、革命の中、人々は、不安に駆られ狂気していった。

「シャル。疑われるような事はしないで」

夢みがちな幼いシャルに、先輩の修道女達は、声をかけていた。誰よりも、優しく負傷兵達を、気遣うシャルを誰もが、信頼していた。誰からも、信頼され、そして信頼する日々。決して、華やかではないけど、人間らしい生活がそこではできていた。そんな生活に異変が起きたのは、ある日の事、近くの村まで、魔女狩りの一団が来た日の事だった。みんな、他の人とは違う事に神経質になっていた。当然、シャルもそうだったが、村に現れた兄弟に違和感を感じる事はなかった。兄弟は、ハワードとナチャといった。対照的な兄弟で、凛々しく正義感強い兄と繊細な弟。2人は、住んでいた国を追われ、遠い親戚を頼って旅をしている途中だと言った。人の良い、シャルは、何も疑わず、2人を修道院に案内した。2人は、よく働いた。男手はなかったから、どこから流れ着いたか、わからない2人であったが、シャルが信頼しているならと、皆が、頼りにしていた。戦乱と魔女狩りの続く中、奇妙な3人の生活が始まっていった。

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