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黒髪の女王様  作者: 三角
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第十一話 決起のこと。










「こ、怖……!」



 焦りと恐れを含んだ柔の声が、車内に反響する。


 ふるふると僅かに震える指が、シートベルトを握りしめている。


 ずれた眼鏡、痛々しく頭に巻かれた包帯。


 ちらりとそれに視線をやって、桔梗はすぐに視線を前へ戻した。


 流れる様な手つきでハンドルを切る。



「我慢して下さい」



「……はい」




 これは、女王の元へと向かう最中の二人の遣り取りである。













 決起のこと














 暗い。静謐な闇だ。


 どこまでも静かで、どこまでも広く、そして果てがない。


 柔は、そこでふよふよと淫蕩っていた。


 心地よい微睡み、どこまでも深い所へと落ちていけそうな安心感が、タオルケットの様に柔を優しく包んでいる。



「……ゅう!」



 しかし、静けさは唐突に破られる。


 誰の声なのかまでは分からない。


 ただ必死な、それだけが胸に届く声が世界に響いた。



「……だ……ゅう!」



 何度も何度も声が響く。



「前田・柔!」



 魂を揺さぶるかの様な声色が響く。


 反響して反響して広がっていくその声に、柔は何かを忘れている様な気がした。


 何か、大事なことがあるのだ。



 ――思い出さなきゃ。



 優しい黒の世界に、入り込む微細な罅。


 意識した途端、声に込められた感情の強さに、暗闇の世界は澄んだ甲高い音を立てて、砕けた。


 代わりに飛び込んでくるのは、目も眩む様な光だ。



「起きて下さい! 前田・柔!」



「……あっ!」



 目を開けた柔は、反射的に起き上がろうとして失敗した。


 視界が霞み、頭がガンガンと痛んで揺れる。


 吐き気を伴う痛烈な衝撃に思いっきり顔をしかめ、そぅっと手で頭を抱えた。


 痛むのは、正確には後頭部である。


 そっと、恐る恐る伸ばした指先には、乾いた布の感触。



「意識を取り戻しましたか。動かないで下さい、包帯がずれてしまいます……何が起こったか、覚えていますか?」



 静かな声に、柔はそろりと顔を上げた。今まで気付いていなかったが、桔梗が、腕を添えて柔の上半身を支えてくれている。


 その無表情に、隠しきれない焦燥を見てとって、柔は首を捻った。


 何を、こんなに焦ってるんだろう。



 無意味に思考の渦へと落ち込みそうになった意識を、フラッシュバックした記憶が叩く。


 走馬燈の様に駆け抜けた最後の一瞬を思い起こし、体を起こして桔梗に詰め寄った。


 そうだ、撫子が連れ去られたのだ。……目の前で。



「覚えてます! あの、な、撫子さんがっ、……う」



「見たところそれほど深く切れたり、骨が折れたりはしていませんが、怪我をしています。余り興奮しないで下さい」



 深呼吸して、と言う声に従って、柔はゆっくり息を吸い、そして吐く。


 何度か繰り返すことで、名状しがたい感情のうねりを持て余しつつも、柔は何とか呼吸を落ち着けることに成功した。


 歪んだ視界にようやく気付いてずれた眼鏡を指で押し上げ、努めて現状を説明する。


 撫子に呼び出されたこと、撫子の悲鳴が聞こえて、そして、突然後ろから殴られ、三人の男達を見たけれど、意識を失ったこと。


 つっかえつっかえ、たどたどしくそれだけの言葉を口にする。


 桔梗は頷き、



「……やはり、そうですか。クイーンの携帯のGPS、表示がどうもおかしいと胸騒ぎがして来て見たら……」



 唇を薄く噛み、ほんの小さく顔を俯けた。


 そうしながらも、その手は止まることなく傷口の様子を確かめている。



 ややあって、彼女は顔を上げた。



「詳しく説明する時間も惜しい。クイーンのことは私が何とかしますので、貴方は病院に行って下さい。鉄パイプで殴られたみたいですが、幸い当たり所は悪くなかった様です。倒れた時にそこの出っ張りに頭皮をひっかけて、それで血が出たのでしょう。消毒して包帯を巻いていますが、すぐにきちんと精密検査を受けた方が良い。今、救急車を呼びます」



「あ……だめです!」



 口早に言い切り、携帯電話を取り出しながら立ち上がった桔梗に、柔は珍しくも強く反駁の言葉を吐いた。


 そのせいで頭がずきずきと痛み、ずぐにうぅっと眉を寄せて情けない顔になる。


 おそらく自分の物であろう、小さな血痕を視界に捉えながらも地面に手をつき、ゆっくりと体を起こす。


 地震でもないのに地面がぐらぐら揺れていて、気を抜けば倒れてしまいそうだったが、柔は気合いをかき集めて何とか二本の足で踏みとどまった。


 自分よりも遙かに高い所にある、揺れる鳶色の瞳を見上げる。



「駄目、とは」



「だめです。……あの、ぼくも、何か、したいんです。助けたい。彼女はぼくの目の前で連れて行かれて、なのに、ぼくは何も出来なくて」



 す、と桔梗が手をかざした。動きに遮られ、言葉を切った柔を見つめ、彼女はしっかりと携帯を手に持ち直す。



「……無理を、しないで下さい。貴方はただの被害者です。巻き込まれただけで、更に怪我もしています。治療が手遅れになったらどうするつもりですか」



「でも! 何でも良いんです。何か、何か手伝えることが……」



「残念ですが、ありません」



 素気なく言い切って首を振り、桔梗はくるりと踵を返した。言い争う時間など無いと、暗に示していた。


 その手には、小さめのファーストエイド・キットが握られている。柔の頭に巻かれた包帯は、そこから出したのだろう。



「……!」



 桔梗は、路地の端へと駆け寄って、小型の四角い箱を拾い上げた。


 いや、違う。薄暗がりに溶け込むその箱は、見覚えのある撫子の携帯だ。


 桔梗はそれをスーツのポケットに落とし込み、顔を上げ、柔には分からないどこか――先を目指す。


 ふらふらとその後に付いていきながら、ぶつぶつと呟く桔梗の声に、柔が反応した。



「ここに捨てられていたんですか……道理で、路地から動かないし反応が無いと……」



「どういう……?」



「こんな腰を下ろす場所も無い路地で、じっと動かないのはおかしいでしょう。クイーンなら歩きながら話そうとでも言う筈です。もっと早く、GPSで場所を追っていたら……こんなことなら、お目こぼししなければ良かったですね」



 路地のすぐ先に、攻撃的な、鋭角のフォルムを持った真っ赤なスポーツカーが停まっているのが見える。


 桔梗の持ち物なのか、彼女は真っ直ぐそちらの方へと歩み寄った。


 柔は、よろめきつつも桔梗の後を追いかける。



 そうして、携帯のキーを規則正しく押している桔梗に手を伸ばして、電話を奪い取った。


 普段の桔梗ならば、柔相手に隙を突かれることはなかったであろう。はっとした表情がその顔に浮かんだ。


 次いで、桔梗は不愉快げな色を見せる。語気を強めて、突き放す様に柔へと強く言い放った。



「邪魔をしないで下さい、前田・柔。何度も言いますが、この件について貴方に責はありません。あったとしても、貴方に出来ることなど何一つ無い。……迷惑です」



「関係あります! 絶対に、あります。教えて下さい、彼女はどこに連れて行かれたんですか!? 何でも良いんです、ぼくにも、ぼくにも、何か出来ることを……!」



 その時、柔の手にある携帯から、シンプルな着信音が流れ出た。


 それを聞いて、桔梗はさっと素早い動作で柔の手から携帯を取り返す。柔が反応する間もなく、携帯を耳に当てた。


 取り返されては、もう仕方がない。電話の向こう、微かに漏れ聞こえる声に柔は耳を澄ますことにした。



「……分かりましたか? ええ、はい、おそらく間違いないかと。有り難うございます。更に詳しいことが分かればまた……ええ、気を付けます」



「何が……」



 結局、相手の声までは聞こえず、何を話していたかは分からなかった。


 だが慌ただしく車に乗り込もうとする桔梗の姿に、柔はぴんと直感する。


 だから、動いた。



「私は急がないといけません。前田・柔、貴方は……」



「教えてくれるまで、諦めません!」



 予想外に機敏な動作で、車の助手席に乗り込んだのである。丁寧にもシートベルトまで着用する。


 それを見て、すぅっと桔梗の瞳の温度が下がった。


 薄い唇を割って出てきた言葉は、触れれば切れる鋭利さと苛立ちを含んだ峻烈なものだ。



「馬鹿なんですか、貴方。――何も、出来ないでしょう? 着いて来たって、貴方は何も出来はしない。ならせめて、邪魔をしないで下さい」



「構わないです。何も出来ないかもしれません。怪我、してるし、それに、運動も出来ませんから。でも、何か、何も出来ないなんてぼくは、いやなんです!」



 凍てつく様な、その冷たさに凍えてしまわぬよう、柔は意識して声に熱を込めた。


 どくどくと心臓が燃え上がり、柔の心の中にあるほんの僅かな力を汲み上げる。


 自分でも、滅茶苦茶なことを言っているのは分かっているからだ。柔が役に立たないのは、客観的に見て、動くことのない事実なのである。


 撫子との交流の中で、僅かに磨かれた理性はそれを細々と主張している。だが、感情――本能が、それはイヤだと、叫んでいた。


 なればこそ、感情で押すしか、桔梗を説得する術を持たないのである。



 しかしその熱は、桔梗の瞳にも苛烈な炎を点火してしまう。


 涼やかと言って差し支えのない顔立ちにはっきりと険がが籠もる。桔梗は柔を睨め付ける様にして、口を開いた。



「これが、私の身勝手なのは分かっています。貴方が来ればクイーンも喜ぶでしょう。しかし」



「……」



 桔梗が面を伏せる。ぎ、と何かが軋む歪んだ音が柔の鼓膜を震わせた。


 良く目を凝らせば、ぶるぶると、誰の目にも明らかに体を震わせる桔梗は、奥歯を食い縛っているのだ、と柔は気付いてしまった。


 これは、聞き分けのない柔への苛立ち、歯ぎしりの音だ。


 彼女はばっ、と勢いよく顔を上げた。髪の毛が一瞬遅れて流れ、纏ったスーツの生地を打つ。


 その瞳に涙は浮かんでいない。ただ、壮絶に狂おしいまでの激情が、波濤となってぶつかり合っている。


 柔は、思わず上半身を仰け反らせた。


 桔梗が、細く鋭く息を吸う。



「貴方が居ても役に立たないこと何て、もう、分かりきっているでしょう! 私は以前、前田・柔、貴方に言いました。彼女は私の全てです! 彼女なしには私は生きる理由を見つけられない! なのに、私が守ると決めたのに、貴方が、貴方が何も、出来なかったから、私が気を緩めたからっ……、クイーンは!」



「……」



 それは、鮮烈な怒りの炎だった。


 のど笛に食らい付き、一撃で獲物の息の根を止めんとする、獰猛で忠実な狩猟犬の怒り。


 柔の目には、激情に体を戦慄かせる桔梗の周りに吹き荒れる、澄んだ琥珀の光が映っていた。


 まさかと思い、目を瞬かせる。しかし次の瞬間には、琥珀色は消え去ってしまう。



 気のせいかと思ったが、きっとそうではない。何となく、柔はそれを直感した。


 あれは、きっと魂の色だ。柔は畏れにも似た確信と、感情を得た。じわりと冷たい汗が噴き出ている。


 一筋、流れた汗が目に入り、反射的に目を瞑った。


 隣にある激烈な気配が、突然悄然と力を無くすのを感じて、腕で汗の雫を拭い、薄く目を開く。



「……ごめんなさい。貴方が悪くないのは分かっています。おかしなことを口走っているのも分かっています。いますが、どうしても抑えきれませんでした。……只の八つ当たりです」



 ハンドルに寄りかかり、顔を伏せて震えている桔梗を見ると、何とも言えない気持ちが柔を包む。


 冷静な人だと思っていた。どんな状況でも、取り乱さず自分を保ち、適切な対処を下す、そんなイメージ。


 だけどきっと、彼女は取り乱したくても取り乱せないのだ。


 自分が取り乱しても、状況が好転しないと知っている。


 冷静で、頭が回り、更に腕も立つからこそ分かっている。


 氷の様に冷静に、焦ることなく解決策を探るのが一番効率的だと分かっているのだ。


 だから、撫子の消息が途絶えて誰よりも心配で心配で堪らないのに、何を置いても助け出したいと思っているのに、こうやって柔を気遣ったりする。


 してしまう。



「……気に、しなくても」



 それが分かっていても、柔にはこんなことしか言えなかった。



「……いいえ、気にします」



 しかし、桔梗は頑固であった。


 ふるふると首を振り、顔を背けて指先を動かす。


 泣きたくて怖くて、気が回らないのだろう。柔には、運転席側のガラスに写り込んだ、震える彼女の顔が見えていた。


 その頬に一筋、滴が流れていることに気付いて、そっと視線を外す。


 暫く、と言うほどもない時間の後、柔の方へと振り向いた時には、既に普段の桔梗の無表情へと戻っていた。


 それを見て、柔はほっと息を吐く。



「すみません。もう、落ち着きました……しかし、それでも、貴方が着いて来るメリットはありません。スクープの最中ですし、まだ事務所にも脅迫の電話は届いていないので、警察にも届けることが出来ません。貴方とクイーンが二人で会っていた、という証拠も証言も無いでしょうから、貴方の怪我を元に警察に行くのは、少し厳しい。そもそも情報の流出を防ぐ為、今は私が個人的に動いているだけなのです。それに、荒事があることは容易に予想出来ます。もし……」



「もし?」



「もしも、クイーンが怪我を……取り返しのつかない傷を。受けていたり、したら。私は犯人達に何をしないとも、限りません。ですから、着いて来て欲しくは、ありません」



 曖昧で、それでいて衝撃的な言葉だった。ぼかした表現と反対に、桔梗の瞳は強い光を帯びている。


 言い終えた桔梗は試す様に、それでいて恐れる様に柔を見つめた。


 くすんだ褐色の髪が揺れ、ふわりと桔梗の香水の匂いが車内に広がった。


 柔が知る限り、いつもと同じ香りの香水。


 柔は、心に浮かんだ言葉を、何の迷いもなく口に出した。



「大丈夫です」



「……何を」



「大丈夫、です」



 怪訝そうに眉を寄せる桔梗を見詰め、柔は大きく頷いてみせる。



「桔梗さんは、優しい人です。信じることが出来る人です。理不尽な、本当に非道いことなんて、出来る人じゃないです。……それに、撫子さんはきっと、無事です。ぼくはそう信じます」



「……」



 何の根拠も、確証も無い言葉だった。


 小太りで、気が弱く、とても頼りになりそうには見えない、自信という言葉からほど遠い男の言葉。


 だが、同時にそれは不可思議な説得力のある言葉だった。


 普段、話をしている人間と、碌に目も合わせられない様な気弱な男の瞳は、しかし今、じっと桔梗の瞳を見詰めている。


 やや垂れ気味な瞼より覗く黒色から、凪いだ夜の海の様な静けさを感じ取って、桔梗はふるりと背筋を震わすものを、感じ取った


 ふっと息を吐く。


 柔のそれは一度だけ、桔梗が見たことのある色だった。自分の死を予期しながらも、それでも良いと断じた時の、強固な色を刷いている。



 きっと無事。


 ぐるぐると幾通りもの最悪の可能性を考えていた桔梗の脳内に、一つだけ、弱々しい希望が灯るのを感じる。


 急に堪らなく切なくなって、桔梗はほっそりとした手を伸ばした。



「……? 何をぶぇ」



 鍛えられ、それでも女性としての柔らかさとしなやかさを失わない腕は、撫子に出会った時とは比べ物にならない位に生活が充実している証拠だ。


 意外と柔らかなほっぺたを思い切り押し、外へ追いやりつつ、ふいっと視線を逸らす。


 空いている手を胸に当てて、桔梗は自分の心に問い掛けを投げる。



「ちょっと、あっち向いてて下さい」



「ふぁい……? むあ、いたた」



 桔梗には、こんな風に何の根拠もなく勝手に人を信じると言ってしまえる様な、奇天烈な知り合いは居なかった。


 毎日が忙しいし、ここは生まれ育った国でもない。


 プライベートは一人静かに過ごすのが目下の所お気に入りで、無駄に成長した体は、基本的には人から避けられることが多い。


 逆に、近づいてくる男はつまらない下心で自分の体に触れたいだけか、撫子への取っ掛かりとして寄ってくるのが殆どだ。



 撫子は、桔梗にとって絶対的なクイーンであり、姉妹の様な人であり、唯一の家族であり、そして神にも等しい存在である。


 その撫子を除けば、この世には心の底から信じてるなんて言ってくれる人は居ない。


 筈だったのに。



 少しだけ――胸の奥に何かを感じてしまった桔梗であった。



「はぁ」



 溜息を吐く。


 そんな桔梗の姿を見て、ようやくほっぺたをぐいぐいと押しやられるという、緩慢な攻撃から解放された柔は首を傾げる。



「それで……着いて来てどうしようと言うのですか。先も言いましたが、荒事になる可能性があるというのに、足手纏いを抱えることが出来る程私は強くありません。貴方がよっぽど筋金入りの馬鹿で無い限りは、ここは我慢する方が身の為です」



 先ほどよりも、少し落ち着いた声音で、桔梗は着いて来ることの危険を説いた。


 もしも桔梗に何かあった場合でも、柔がこちらに残っていれば、後から警察に連絡することも出来るのだ、とも。


 ここは、何としても、多少強い言葉を使ってでも柔を遠ざけておきたいのである。


 しかし、柔は小さくぶるぶると首を振った。


 せいぜいしかめつらしい顔をして、口を開く。



「馬鹿です!」



「……それこそ、何を馬鹿なことを言っているんですか」



「あ、いや、そうじゃなくて、ええと……馬鹿で良いんです」



「言っている意味が分かりません」



 呆れを多分に含んだ仕草で、桔梗は溜息を吐いた。


 少し、見直すべきかと思えばやはり、とことん頼りない男である。



「あぇ、ええ、と……うん。馬鹿だって良いんです。例えどうなっても構わない。今、撫子さんは危険な目にあっているかもしれません。確かに、ぼく一人じゃ何も出来ないですけど、それでも、彼女はぼくの、目の前で浚われたんです。それは、事実だ」



「それで」



「これでもぼくは、男です。――安くて、薄っぺらで、今までずっと忘れてたけど、プライドがある。自分が情けないのも、役に立たないのも分かってます。だからって、何もしないでいるなんて、絶対に認められません。犯人達の気を引く為の囮でも構わない。大怪我したって、構いません。でもここで、今ここで、顔を背けて利口になる位なら……ぼくは、一生馬鹿で良い!」



 二人はじっと見つめ合う。



「前田・柔、貴方は既に怪我人です。率直に言えば私は貴方も心配です。それに貴方には、何よりも守るべき、家族と家があるのではないのですか? もしも後遺症でも残ってしまえば、貴方は働けなくなってしまうかもしれません。それは、本意ではないでしょう」



「それは……。……ずっと、ある人に言われてから、ずっと考えてたことがあるんです」



「何を、ですか」



 柔は胸に手を当て、あの華々しい煌びやかな劇場、その裏側で出会った一人の男性の言葉を、胸の中でずっと反響し続けている彼の声を、そこに反芻する。



「諦めるなって。足掻け、と言われました。遍く全てを取りこぼさない、最高のハッピーエンドを目指すかどうか、最後に決めるのは自分だって。――ぼくは、ここ最近ずっと考えていたんです。自分にとって、一番大事なのは何なのか、二番目に大事なものは、じゃあ一番大事なのと何が違うのか。ぼくは何を諦めて、何を諦めないべきなのか。とにかく、一杯、色々」



「……」



「ちょっと恥ずかしいけれど、その、ぼくに好きな人が居るのかも、考えました。結局、それはまだはっきりとは言えないけれど――今、こうして選択を迫られる状況に立つと、突然分かったんです」



「何が、分かったんですか」



「心の……求める所を」



「心……?」



 たった一言の単語を、口の中で転がす様に慎重に、桔梗はそっと声に出す。柔は、それを見てうん、と頷いた。



「大切な家族と施設だって、ぼくは死ぬまで守ってみせる。でも、撫子さんも大事なんです。どちらかなんて選べない。もしもどちらかだけ選んでしまったら、ぼくの心はきっと、そこで死んでしまう。少し前まではそれでも良いと思っていました。でも、ぼくは諦めたくないんです。怪我をして働けなくなっても、お金を稼ぐ他の方法を考えることは出来る。死んでいなければ、心臓が止まるその瞬間まで、ぼくは『何かを出来る可能性』を諦めない。最高の、ハッピーエンドを目指して、足掻くんです」



 そこで、言いたいことは言い切ったと言葉を切る柔と、無言で迎える桔梗は、じ、と熱烈なまでに互いの瞳を見つめ合う。


 果たして、先に降参したのは桔梗だった。


 ふっと視線を逸らして溜息を吐き、後部座席に腕を伸ばす。ぽすりと軽い音。どうやら、ファースト・エイドキットを放ったらしい。



「頑固ですね……もう、本当に」



「ごめんなさい……」



「貴方は馬鹿です。飛び切りの馬鹿」



「はい、馬鹿です!」



 精一杯真面目な顔をした柔が、元気よく言った。言った後に、自分がどれだけ間抜けな返答をしたのかに気付く。


 柔は目を丸く見開いてぱたぱたと手を振り、必死に誤魔化そうと試みた。



「あ、そうじゃなくて、いえ、でも馬鹿で良くてって言ったし……ええと、うぅん、あれ?」



「……ふふ。今から、分かっている限りでクイーンの足跡を追います。運転が手荒になるかもしれませんので、頭を打たない様にだけ、気を付けて下さい」



「あ……ふぁい!」



 心の底から呆れた様な声でむにっと柔のほっぺたを摘んでぷよぷよと感触を楽しみ、ステアリング・ホイールを握って桔梗はキーを回した。


 ガソリンを血に、フレームを骨に、エンジンを心臓に。重厚な命を吹き込まれた紅の機械が、大きく身震いする。


 腹の底にずんと響く、どっしりとした重低音の産声を上げて、車はゆっくりと走り出す。


 滑らかに車を発進させた桔梗は、カーナビを起動しながら言葉を紡いだ。


 その横顔には、やはりまだ焦燥の色が貼り付いている。だが、無理矢理押さえつけているような刺々しい雰囲気は薄れていた。



 暫く、車は無言のまま街の外へと真っ直ぐ向かっていく。


 窓の外を高速で流れていく街路樹や、マンション、通行人達に何気なく目を向けながら、柔はぎゅっと拳を握りしめる。


 どう言い繕っても、足掻くこと決めても、不安を完全に消すことは出来やしないのだった。


 同時に、自分に何が出来るのか、それに考えを巡らせる。



 ごみごみと続くビル街を抜け、住宅街を過ぎ、車は出来るだけの速度で進んでいく。





「失礼」



 不意に沈黙を破った桔梗は、華麗なハンドル捌きで車を路肩に寄せた。携帯を取り出して、くすんだブラウンの髪を掻き上げる。


 ピ、と携帯電話のキーのプッシュ音が車内に響いた。



「はい、……そうですか。お礼については、後日また連絡を。……では」



 二言三言、言葉少なに短く告げ、桔梗は携帯を切った。


 柔の方に向き直って、視線を合わせる。その瞳に静かで確たる意思が込められているのを感じて、柔はごくりと唾を飲み込んだ。



「クイーンの居場所が分かりました」



「え……本当ですか!?」



 頷き、桔梗は携帯を直す間も惜しいと言わんばかりのスピードでカーナビを操作し、目的地を打ち込んだ。


 現れたゴール地点は、今居る場所からはそう遠くない。


 郊外に広がる、工業地帯である。


 確かにそこなら、人一人隠す場所くらいあってもおかしくは無い。



「ここから、大体二十分程の所ですね。……少し飛ばします」



「……はい」



 柔が頷くのを見るが早いか、桔梗はぐっとアクセルを踏み込んだ。


 ゼロからの猛烈な急発進。そして、強烈な加速。分厚いタイヤがアスファルトを噛み、一瞬後には鋼の弾丸となって空気を裂いて先へ行く。


 シートに沈み込む様な重圧に押され、柔は息を思わず詰めた。


 体を緊張させ、ちらっと速度計に目を向ける。


 しかしぐんぐんと制限速度ギリギリまで上がって行く針の動きと吹き飛ぶ景色に耐えきれず、目を瞑ってしまった。


 柔は免許を持っていない。普段の生活で車に乗ることも少ない。


 車に乗り慣れていない彼にとって、この急激な加速と言う奴は純粋に怖いものだった。


 暫くすれば慣れるのだが、それまでは必死に目を瞑るのが常である。



 幸い、交通量が余り無い道を選んでいるようで、桔梗の車は危なげ無く進む。


 二人を乗せた赤の車体は、制限速度を既に十五キロ程オーバーしている。だが、それでも桔梗は忌々しそうに舌打ちを漏らした。


 目的地まで、まだ半分程の距離が残っている。



「……早く、早く」



 言い聞かせる様に呟くその視線は、遙か前方へと続く道路を越え、その先、撫子が居るであろう場所を貫いている。


 実際、彼女は殆ど無意識の動作でギアを入れ変えステアリングを操作し、巧みな挙動で車を走らせているのだ。


 彼女の運転する車は、私用の物。数少ない趣味、余り贅沢と言う物に興味を向けない桔梗が、唯一大枚をはたいて買い求めた深紅の相棒。


 本来ならもっと速く、比べ物にならぬ程速く、大地を蹴飛ばし空気を裂いて疾走することが出来る忠実な赤鋼は、日本の法律という鎖に縛られて、全力の半分も出すことが許されないでいる。



 出来るのに、出来ない。いわゆる『暗黙の了解』を無視してアクセルをベタ踏みすれば、目立つことこの上ない赤のスポーツカーに余計な取り巻きが着いて来る。


 事情を説明した所で、釈明にはならないのであるし、その説明の時間だけ撫子が長く危険に晒されることになるのだ。


 桔梗はこの事件に関しては、何一つ警察の世話になるつもりがなかった。


 スキャンダル騒動で世間がざわついている中で、徒にこの事件を警察ざたにするのは賢明ではない。


 騒ぎが大きくなることは明白であるし、警察の捜索を待っているだけだったら、まだ撫子の居場所は突き止めて居られなかっただろう。


 ならば、少しでも警察に関わる可能性は摘んでおくべきなのだ。


 桔梗はもどかしさに唇を噛んだ。




 警察の有用性、その組織力や犯人検挙の能力が伊達や酔狂でないことは、桔梗にも分かっている。


 しかし、誘拐事件には大量の人員を持ってあたると聞く。使われる人間が多ければ多い程、自然と動きは鈍くなる。そんな大規模な動きが犯人達の耳に入れば、どう対応されることか。


 逆上されれば、撫子の身に更なる危険が及ぶかもしれず、もし逃げられれば、もう一度場所を特定出来るか分からないのだ。


 更にそれがマスコミに漏れれば、面白おかしく書き立てられるのが関の山。


 第一証拠がない。まだ、どこにも脅迫や要求の連絡が来ていない以上、撫子が誘拐されたと通報しても、まともに取り合って貰える可能性は低い。


 連絡が途絶えてから数時間も経過していない今、単なる行方不明か、精々が羽目を外しているだけではないかと言われるのが目に見えている。


 日本の警察は優秀だが、善良でも熱心でも無い。



 桔梗に取って最重要なのは、撫子が無事に戻ることだ。その為なら、手段は選ぶつもりはない。だが、何も考えずに行動するのは、最善ではあり得ない。


 出来るだけ騒ぎにならず、そして撫子が傷つけられないこと。それが絶対条件だ。


 その為には、出来るだけ速く、彼らが何かしら行動を起こす前、誘拐に成功して油断している内に、少人数の電撃作戦で撫子を奪い返すのが一番確実なのだ。



 それに、それにと桔梗は思考を繋げた。今彼女が撫子の居場所を突き止めているのは、偏に余り褒められた物でない方法を取ったからだ。


 とある縁で知り合った、そちらの世界で有名なハッカーを頼ったのである。


 道路上に設置されたカメラや、この近辺の店の中に設置されている監視カメラ等を虱潰しに検証してもらった結果だ。


 それでも、これだけ早く撫子の居場所を掴めたのは運が良かったからに他ならない。


 犯人達が交通量の多い、つまりカメラの設置されている大通りを通ったこと、その車に女性を連れ込む怪しげな男三人組を、ちらりと映し込んだ監視カメラがあったこと。


 そういう幸運の上で、更に卓越した技術が有って初めて特定出来たのだ。


 なのでまさか、スピード違反で間抜けにも捕まった上、違法行為で誘拐犯の居る場所を見つけましたなどと言える訳もない。更に無駄な時間がかかるだけだ。


 要するに、桔梗は警察に信頼を置いてないのである。



「うううう……」



 薄目を開け、情けなく唸りながら体を強張らせている同行者をちらりと見る。


 脂汗を額に浮かべているその姿を見ると、ささくれ立った心が何故か少し落ち着くのを感じた。



 何故か、と考えて、すぐにどうでも良いかと結論を投げる。


 車線を変更して前を走っていた車を追い越しながら、桔梗は喉を小さく震わせた。



「前田・柔、先に言っておきますが、私は向こうに着いた後、貴方の手助けをするつもりはありません」



「はい」



 おや、と桔梗は内心で首を傾げた。柔の返答が妙に早く、そしてそこに困惑を感じなかったからだ。


 押し切られて着いて来ることを了承してしまったが、少なくともまだ、桔梗は柔が何かの役に立つとは思っていない。


 囮に、と本人が言っていたが、まさかそんなことを了承出来る筈もない。


 仮に柔を囮に使って、その代わりに撫子を助け出したとしたら、撫子は決して桔梗を許さないだろう。


 撫子はそんな類の犠牲を喜ぶ人ではないし、撫子の側に居る者として、それぐらい柔を気に入っているのは分かっている。



「……ちゃんと分かっていますか? つまり、自分の身は自分で守って下さい、と言ったのですが」



「もちろんです!」



 そわそわと落ち着きのない柔に対して、むむむと疑わしげに眉根を寄せた。それをミラー越しに見た柔は、ようやくスピードに慣れたのかシートベルトを掴んでいた指を引きはがし、額の汗を拭う。


 そして、ふるふると首を振った。



「ぼくは、邪魔をしたい訳じゃないんです。出来ることを、無茶苦茶に頑張ったら、何とか役に立てそうだと思ったから。出来ることことだけ、するつもりです」



 ぼく一人では何も出来ないかもしれないけど、桔梗さん一人でも助け出せるかもしれないけど。それでも二人の方が安全でしょう。


 柔はそう言って、桔梗の横顔をちらりと横目で盗み見る。


 何かしたいという思い、柔のその答えがこれだった。裏口を見張ったり、犯人の気を引いたり、出来ることはあるのだ。



 柔は素速く動けない。強くもないし頑丈でもない。良く回る頭がある訳でも、咄嗟に弁が立つ訳でもない。


 それでも彼には、前を見ることの出来る目があって、音を聞くことの出来る耳があって、喋ることの出来る口がある。


 殴られた頭は痛いけれど、ちゃんと 二本の足で立つことが出来るし、手先だって過不足無くキチンと動く。


 何も出来ない、などと諦めて、顔を背けて逃げ出すことだけは、柔は嫌だと思ったのだ。


 半人前、否四分の一人前でも役に立てるなら、何か出来ることを探す。


 派手じゃなくて良い、華々しい必要など針の先程求めない。それが柔の思い描く、足掻くということ。



「……まぁ、それなら良いでしょう。しかし前田・柔、貴方は本当に珍しいタイプの男ですね」



「うん?」



「つまらない男性なら、ここで一つ良い所を見せよう、と愚にもつかない英雄願望で足手纏いになるものだと思っていましたから」



「あはは……」



 言い切る桔梗の声は、さらりとしていて温度がない。それが逆に、彼女がそういった英雄願望な人達を毛嫌いしている様を思わせる。


 柔にもそういう、格好良く活躍したいと言う願望が無い訳では無い。幼い頃、自分を物語の中の主人公に重ねて、無限の可能性に胸を膨らませたことだってある。


 しかし、柔の中でいつしかその行為は意義を無くしてしまった。


 良くも悪くも、柔は自分に出来ることと出来ないことがあることを知ってしまったからだ。


 諦め癖がついたのは、胸の奥にあった筈の思いが褪せてしまったのは、その頃からだろうか。


 だから、少しでも出来ないと思ったことはしない。撫子と出会うまで、そうして生きて来た。


 今でこそ諦めないという考えには至ったが、だからと言って自分が格好をつけた所でどうなる訳でも無いことは、ちゃんと知っている。


 無理なことに挑むのは、無茶なことではないのだ。足掻くというのは、諦めないというのは、容易く満足しないということ。


 少しでも何か出来るのならば、泥を被り、他人に蔑まれ、結果無駄になってしまったとしても、ただ諦めない。



 それに柔は結局、柔に過ぎないのだ。出来ることを少しずつ増やすことは出来る。でも、いきなり全部が出来る訳なんてない。


 だから、少しずつコツコツ、出来ることを増やすしかない。


 柔は、小太りで運動も出来ず、頭も悪い、贔屓目に見ても冴えない男だ。


 だが、彼には大切な可愛い弟妹達と、優しい母親が居る。それに、何より素敵な友人も居る。


 それを得ている現状を、幸いというのだと柔はここ最近で気付いて居た。幸いが続けば、それは即ちハッピーエンド。


 失いたくない、と柔は強く思う。


 幸いを守るには、何かが欠けていたら駄目なのだ。傷ついたり、離れたりしても、いつかはきっと仲直り出来る。でも、欠けてしまったものはもう戻らない。


 それに何より。



「ぼくの、頭の中にですね」



「どうしました?」



「声が残ってるんです。起きてからずっと」



「……声、ですか?」



 訝しげに、桔梗は答えた。スピードを殆ど殺さずに、鮮やかな手並みでカーブを過ぎる。


 体が傾くのに逆らえず、ドアにぼてりとぶつかりながら、柔はこめかみに指を当てた。



「声です。ぼくが気絶する前に聞いた、撫子さんの声」



「それは」



「痛そうな声でした。苦しそうな声でした。うめくような声でした。聞いたこともないような、声です。それが、ここに。ずっと」



「……」



 指を当てたままじっと前を見詰め、控えめに発言すると、桔梗は口を閉ざした。二人の間には沈黙が満ちる。


 柔が覚えているのは、いきなり殴られたこと、そしてその前に聞いた、撫子の悲痛な苦鳴だけだ。


 やまびこの様に、柔の頭の中でずっと彼女の叫びが反響している。苦しげな、助けを求める小さな声が耳に張り付いて離れないのである。


 この声が聞こえる限り、柔はどんな場所に居ても落ち着けないだろう。柔が聞きたい撫子の声は、こんな苦しくて、悲しい物ではないから。


 手の届く程近くに居ても、女性一人守れない不甲斐ない自分に、密やかに心の中で歯噛みした。


 笑い声が、聞きたい。



「だから、無理を言っても着いて来ました。この手で助けられるかどうかなんて些細なことじゃなくて、ぼくは、彼女を助けたいんです。助かってくれるなら、何でも良い。その為にぼくに出来ることなら、何だってしたい」



 これですか、と桔梗は内心で舌を巻いた。この意思があるからこそ、桔梗は押し切られたのだと。


 情けない男に垣間見た、純粋な感情の塊は酷く熱く、強靱に思えた。ともすれば、自分よりも。


 桔梗は、何か答えようとして口を開き――結局何も言えずに、口を閉じた。



 何がどうであろうと、一人ではない。桔梗は、自分が今一人ではないのだ、と強く心に感じていた。


 ここに撫子を心配する男が居る。馬鹿が居る。


 出来るなら、すぐにでも撫子にこの感情を分けて上げたい。



 細く、ゆっくりと呼吸をして、胸の内にある不安を抱きすくめる。


 助けるのだ。それだけで良い。


 そう思うと、か細い希望の光に、純白の色がつくのをふと感じた。白の希望は眩く、そして熱い。


 桔梗は、自分なりの方法で、柔は、自分なりに出来ることで撫子を助ける。


 目前には、既に目的の工業地帯が見えている。




 静かにそちらを見詰めている柔の横顔に一瞥をくれて、桔梗はほんの少しだけ深くアクセルを踏み込んだ。








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