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川下り

川開きの神事と卒業舟

作者: 山本大介

 静と動。


 早朝、慌ただしく船頭達は足袋を履き、法被を着て帯をしめる。

 船着き場には簡易的な祭壇が設けられる。

 やがて時間になると、例年通り観光課の方と、白の浄衣を身に纏い冠を被った神職のお年を召された女性の方がやって来られる。


 船頭は乗船場の一隻の舟に全員が整列し、清い祓いの神事に参加する。

 神職の方は大幣をふるい、祝詞をささげる。


「かけまくもかしこき いざなぎのおほかみ・・・・・・」


 みなは下を向き、厳粛な気持ちで祝詞に耳を傾ける。

 

 祝詞が終わると、船頭長が玉串をささげ、神事は終了となる。


「みなさんにとって、今年がよい一年となりますよう」

 神職の方の言葉に、

「ありがとうございます!」

 みんなはこたえた。

 

 乗り場には塩が盛られ、形ばかりのお神酒をいただく。



 その日の午前、地元高校の卒業恒例の川下りが行われた。

 私も船頭として参加する。

 全6隻の舟に卒業生が乗り込み、しばらく待機。

 やがて、上流から、高校のブラスバンドが舟に乗り演奏をしながらやって来た。

 その後に続き卒業生たちの舟は出発する。

 こういう時のガイドは控えめに状況を見ながら行う。


 舟内にはテーブルが置かれ、お茶とうなぎのせいろむし弁当が配らる。

 まさに柳川ならでは、私はちょっぴり驚きながらも、舟は春日和の中、ゆっくりと進んでいく。

 舟が一列にある程度の距離をとりながら進んでいく。

 普段の川下りよりもそのスピードはゆっくりだ。


 まずは、安全運航。

 いつもより、ガイドは少な目で会話を楽しんでもらう。

 地元の高校生なので、ガイドも少し変化をつけたいところだが・・・うまくやれただろうか。


 意外と照りつける太陽が熱い、ゆっくり一時間とちょっと。

 無事、目的の御花北門に到着する。


 この後、彼等は卒業式があると聞いて、また驚いた。

 思い出に残る舟旅になれば・・・。

 こういうかかわりもあるんだ。

 私は不思議な気持ちになった。


 この時代、前途ある若者たちに春が来た。

 おめでとう。


 春ですね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 川開きおめでとうございます。仕事再開ですかねー。 卒業式ですか、もうそういう時期なんですね。
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