死神少女
死神少女
亜理紗はどこにでもいる14歳の少女だ。でも人と違う所がある。彼女には霊感があって霊を見ることが出来る。と同時にテレパシーもあった。
その日、近所の友達の悠里が入院しているのでお見舞いに行くと大部屋で4人の他の患者さんがいて悠里にお見舞いの花を渡していると「あら綺麗な花ね」と言って話し掛けてくれたおばあさんがいた。
そのおばあさんは良い人で二人に気さくに話しかけてくれて、「これでもどうぞ」と言ってチョコレートを渡してくれた。
亜理紗は小声で悠里に「あのおばあさん何の病気で入院しているの?」と聞いたが悠里は詳しく知らないようだった。
実は亜理紗にはおばあさんの他に少女の霊が見えていた。
亜理紗はそれを気にしないように平静を装うとしていたが、何故か気になって悠里に「今日一緒に泊まっても良いかな」と聞く。「病院だから駄目じゃない」と言う悠里。『だけどなんか気になる』亜理紗は待合室で待つことにした。
売店で夕食のパンをかじりながら『あの女の子なんだろう』普通の霊じゃなさそう。そう一人で思いながらいつの間にか夜中の1時を過ぎていた。夜勤の看護師さんに呼び止められても「ごめんなさい」と軽く交わしながら悠里がいる部屋へ足を踏み入れる。
悠里はすやすやと眠っていた。あのおばあさんは何処?
周囲を見渡す亜理紗。そこへ昼間見た霊の姿がくっきりと写る。
姿は普通の中学生のようだが、体全体が透き通って見える。あの少女はおばあさんの頭に手を置いて撫でている。『もうすぐだからね』「何しているの!」ときつい表情で問い詰める亜理紗をきつく睨む。
「魂が欲しいの」その声はこの世のものとは思えないような悲しい声だった。
彼女はもう一度言った「魂を抜いてあげようか?」
亜理紗はその瞬間意識が飛んだ。
亜理紗が気付いたのは看護師が巡回に来た時だった。『あれは何だったのだろう?今思えば彼女こそ死神だったのでは・・・』
亜理紗が気付いた時周囲は大騒ぎだった。あのお祖母さんが危篤状態だというのだ。
ICUに運ばれるおばあさんを横目で見ながら亜理紗は自分はどうして助かったんだろうと思っていた。
次の夜、亜理紗が眠りにつくとあの少女が夢枕に立った。
『あなたはまだこの世にやり残した事がある。だから助けたの』そう言うとあの少女は消えていこうとした。「待ってあなたの名前は」と亜理紗。
あの少女は消えそうな声で「死神少女・・・」と言って消えて行った。