タイトルのつけ方
みなさま、小説のタイトルづけで悩んだことはありませんか?
わたしは結構あります。
自分も何度か「ああでもないこうでもない」と読者様に意見を求めたりして変更してきました。
今ではわりとしっくりきていますが、みなさまも一度は「どんなタイトルにすべきか」で迷ったことがあるのではないでしょうか。
メジャーなところの「主人公の名前入りタイトル」から、「なんでこんなタイトルなの?」と驚くようなものまで、タイトルのつけ方というのは多種多様にあります。
そしてさらに、このタイトルというのは「作品に合わせたつけ方」というものがあるのです!
その種類を……当エッセイではこっそりと、(わたしの偏った見方ではありますが)いくつかご紹介していきたいと思います。
それではまず、【主人公の名前入りのタイトル】について。
わたしはこれが一番わかりやすくて好きですね。
王道と言えるかもしれません。
アニメで例をあげますと、「となりのトトロ」「ドラえもん」「サザエさん」「クレヨンしんちゃん」などですかね。
これらは「トトロ」なら「トトロ」、「ドラえもん」なら「ドラえもん」がいないと成り立ちません。
俗にいう「キャラクター作品(小説)」というやつですね。
キャラクターを前面に押し出した形で、あくまでストーリーはそのキャラを活かすための装置にすぎないというものです。
これらの作品は、日常生活を淡々と進めていく傾向があります。
続いて、【無機物の名詞が入ったタイトル】です。
例をあげますと、「ドラゴンボール」「新世紀エヴァンゲリオン」「ONE PIECE」「デスノート」「暗殺教室」などですね。
「それら」をめぐる物語。ストーリー性重視の作品です。だいたい無機物?の名詞になっています。
線引きが難しいのですが、エヴァは「その汎用人型決戦兵器が主人公」の「キャラクター作品(小説)」と言えなくもないです。(「ガンダム」とか「宇宙戦艦ヤマト」とか、ロボもの・宇宙戦艦ものもそういう傾向かな?)
魅力的なキャラクターもいるにはいるのですが、そのキャラクターでなくても話は進めようと思えば進められるのです。あくまで「舞台装置」がメインで、キャラクターは二の次です。
ドラゴンボールなんかは、極端ですが、球を集めて神龍を呼び出すのは誰だっていいのです。それをめぐる人々が現れることで物語が始まり、そして目的が達成されると終わります。
続いて、【代名詞的なタイトル】です。
例をあげますと、「進撃の巨人」「七つの大罪」「鋼の錬金術師」「ワンパンマン」とかでしょうか。
世界観を表しつつも、具体的に「誰」と明言していないようなタイトルですね。
「鋼の錬金術師」なんてエドの代名詞であるのに、「エドワード・エルリック」なんてタイトルではないですよね。なんでこう抽象的になったかというと、「伝説的な主人公」を描くときに使う手法だからです。
ものすごく強かったり、後世に代々伝えられていくような英雄を描きたいときは、こうした「二つ名」のような代名詞的タイトルをつけてみてください。
続いて、【ラノベ的な「文章」のタイトル】です。
例をあげますと、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」「僕は友達が少ない」「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」「蜘蛛ですが、なにか?」あたりでしょうか。
ハーレムや異世界のテンプレ作品につけられることが多いです。
似たような作品が多数ある中で、差別化を図るために「文章」で内容を表示する作戦?です。なろうではこれが一番ベターかもしれませんね。
ここで重要なのはあまり「キャラ」や「ストーリー」の独自性を押し出し過ぎないことです。「俺」「僕」など、主人公の名前が表示されないことで読者は主人公を自分に置き換えやすくなります。読者は「テンプレ+ちょっと他と違う作品」を求めているので、「独自性が高すぎる作品」というのはあまり好まれません。
あくまでさらっと読めてストレスを感じさせない、そんな作品を求めている読者層に向けてつけられます。
ただ、人気が出ると巻数が伸びるたびに複雑な人間関係になったり、深いテーマを入れていくことができたりします。このタイトルづけはあくまで読者数を増やす出だしを良くするための方法です。
あと、つけ方の注意点として、漢字を多くしすぎないとか、最初の漢字にはルビをふらないとか、読み方のわかりづらい漢字は使わないとか、ふだんはあまり言わない表現の文章にする、などの小技があります。有名な作品のタイトルをみなさまも研究してみてください。
続いて【一見して意味のわからないタイトル】です。
例をあげますと、「火花」「リング」「新世界より」「火車」などですね。
これは純文学やミステリー小説に多いです。最後まで読むとどういう意味かわかる、というやつです。
まさにストーリー重視。
普遍的な内容が多いので、キャラは別に誰でもいいです。物語の「本質」を世の中に問いただしたいときに、こんなタイトルをつけてみてはどうでしょうか。
続いて、【いいとこどりなタイトル】です。
自分はこれですね。
例として、自作の「上屋敷梁子のふしぎな建物探訪」をあげてみます。
これは一応【名前入りのタイトル】ですよね。ばっちり「上屋敷梁子」とフルネームで入っています。
その【名前入り】でキャラを前面に押し出しつつも、さらに【無機物の名詞(建物探訪)が入ったタイトル】で舞台設定を表現。さらには一見して意味がわからないような表現にすることで文学的な要素も醸し出す……と、いろいろ重ねたネーミングです。はたしてこれで成功したかは……ぜひ実際にお確かめになってみてください。
さて、こういうタイトルのつけ方は、おもに軽いタッチのミステリーやホラー作品などにつけられているように思います。
たとえば……「掟上今日子の備忘録」「金田一少年の事件簿」「ビブリア古書堂の事件手帖」「櫻子さんの足下には死体が埋まっている 」「天久鷹央の推理カルテ」「浜村渚の計算ノート」などですね。
個人的には、こうした名前+舞台設定タイトルが一番好きです。
以上、いろいろなバージョンをご紹介してまいりましたが、参考になりましたでしょうか。
書店に行った時など、パッと目に付くのはどんなタイトルなのか、常に気にして見てみるといいと思います。
あと、耳や頭に残る響きとか……。口に出してみるといいですね。
とはいえ、タイトルづけって難しいんですよね。
内容も気になるようなつけ方って、どうやるんでしょうか。
うーん……わからん。
分類ぐらいしか自分はできませんでしたが、編集者さんの神センスがほしいです。切実に。
良かったらネットでも売れてるラノベランキングなんかもあるので、調べてみてください。
この作品は、どういう意図でつけられたんだろうか……とか。
考えるのも面白いですよ。
わたしは漫画の「BLEACH」がどういう意味なのかずっとわからなかったのですが、考察されている方がいらっしゃいまして、その方のブログを読んだとき思わず感心してしまいました。
……ん?
てことは意味わからない系のタイトルだったから、「BLEACH」は純文学的な作品? だった、のか……?
はい、いろいろ考えると面白いですね。
では、このあたりで終わりにしようと思います。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!