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おばあちゃん目線

1人の人生を書きたかっただけなんです。

このおばあちゃんの生き方は果たして幸せだったのでしょうか。不幸せだったのでしょうか。

ピッ…ピッ……

「くるみ、笑って」

ピーーーー………

「おばあちゃん!おばあちゃん!!」



私の人生、どれくらい笑えたかしら。

いいおばあちゃんになれたかしら。

どんな人生だったかしら。

さすがに生まれた時を急に思い出すのは難しいから最近のことから順を追って思い出していきましょう。


最後の方は少し寂しかった。だって施設に入れられたんだもの。娘も孫も働き始めて車椅子生活の私を介護するのは大変だと思うからしょうがないわ。家も一軒家だったけど狭かったら負担が大きいものね。

施設での生活はいろんなお友達が出来たわ。でも同世代の人がいても喋るのが難しいお友達もいたわね。でも私の話を楽しそうにいつも聞いてくれてて嬉しかった。でも時々みんな部屋から出てこなくてしゃべる人がそこで働いてる人しかいなかった。笑顔で話しかけてくれてとても楽しい会話ができるのだけど音が鳴るとすぐにほかのとこに行っちゃってあまり長時間話せなかったわ。

あれは楽しかったわね。リハビリ。折り紙とか折ったり革細工で小物とか作って週に1回来るくるみによくあげてたわ。くるみのあの笑顔がわたしとっても好きなの。

あ、そうそう、リハビリのところに行ってたまに歌も歌えて楽しかったわ。


これの前はお家にいたけど週に数回デイサービスに通ってたわ。

この頃からほんの少しずつたまに記憶がなくなったの。直前の記憶が全く思い出せないの。どこに物を置いてたのかわからなくなることはたまにあったのだけどこんな事は初めてだからお医者さんに行っちゃった。お医者さんではいくつか質問してきたけど面白くて意外と難しかったのが100から7を引いていく質問。あれは出来てたのかしら。

でもいつも私の大好きな家族がいて安心したわ。私はくるみの笑顔が大好きだからいつも部屋に見に行ったわ。お母さんに似たやさしい笑顔。太陽みたいな明るい笑顔。でもくるみもたまに私の部屋に来ていたわ。くるみは部屋に来るといつもリビングでお茶しようと言ってお茶を入れてくれたわ。


そういえばくるみは高校卒業してからは大学に行かずに専門学校に行ったわ。

たしか介護の学校だったかしら。理由を聞いたら笑顔で秘密っていわれちゃったわ。なにかを企んでる子供みたいに。くるみがその学校に通っている時はとても忙しそうな時期があって夜遅くまで机に向かっていたわ。体調を崩さないかハラハラして時々おにぎりを握って置いておいたわ。翌日になるとお皿がシンクに置いてあってお皿が置いてあった場所には毎回メモに「ありがとう」って書いておいてあるの。優しい子に育って嬉しかったわ。


あの子が高校卒業後の進路を決め始めてる時に娘のまみが当たり前のように看護の学校に行くんだと言い始めてた時は私、頭に血が上って久々に怒鳴っちゃった。あのこの人生なんだからあの子に決めさせなきゃだめよ!それに今まで何もしてこなかったのにあのこの大事な人生を勝手に決めるなんてありえないわ。くるみは行きたい学校があるって言ってるのだから応援してあげないと…


あの子が中学に入った頃にボランティアの存在を知ったのか毎週楽しそうにずっとボランティアに行っていたわ。そこでの話を毎週楽しそうに話してくれて聞いていても楽しかったわ。


くるみが生まれてすぐに私の一人息子が死んだ。真面目に生きてきたのになんでそんなに若くして死んだの?って思ったわ。くるみも可愛そうだったけどお嫁に来たまみも可愛そうだったわ。ついつい私と重ねてしまって…でもまみは責任感の強いひとで何一つ不自由しないように毎日働いていたわ。でもくるみはいつも寂しそうにしてたから私がそんな思いをさせないように頑張ろうと決めた瞬間だったわ。


あら、長くしゃべりすぎてしまったわ。おじいさんがしびれを切らして迎えに来ちゃった。私の人生、後半はくるみの影響が大きかったわ。でも前半は全ておじいさんがいたお陰で輝いていたわ。

そうだわおじいさん、あの時のように腕を組んでデートしながら行きましょうよ。え?嫌だって??顔真っ赤じゃないですか。あなたはいつもそう。思ってることは全て顔に出るんですよ。そこも私の好きなとこでもありますけどね。それに誰も見てないから大丈夫ですよ。


ーーーくるみ、元気でねーーー

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