プロローグ
進化の道は面白いものである。
環境に適応する力を非常に有している。
これは子孫を残すと言う生存本能によるものであるのだが・・・
そのため、使わないなら邪魔になってしまうので筋肉が落ちるし骨が脆くなると言う現象が生じる。
ダイエットで急な体重の変化が起きたらそれを防ごうとリバウンドが起きる。
二二三は身体に興味を持ち、作業療法士というリハビリを学び、国家資格を経て病院で仕事をしていたのであった。
35歳の或る日寝ていると
「ちょっと良いかね。」
そう呼びかけられて目が覚めた。
一人暮らしのため、話しかけてくる相手がいるはずもない。眼を開けていないのを確認して再び寝ようかと思い、行動をすると目の前におっさんが顔を覗かせていた。
「ぎゃー」
そう大きな声を出したがおっさんは全く反応なく
「ここは夢の中だから声を上げても大丈夫だから。」
そう説明をしてきたのであった。
その後も大きな声を出したりしても反応が全くないので、徐々に現状を受け入れ始めていった。
「ようやく落ち着いたかね。」
そうおっさんが告げると
「当たり前だろ。夢です。なんてすぐに受けいることなんてできるかよ。っで、おっさんは何しに俺の夢に来たのかよ。明日も仕事あるから早く寝かせてほしいんだけど。」
「そう焦らなくて良いから。夢から覚めたらどうせ忘れるんだし。まぁ、要件を伝えるとこの度、神の抽選くじで見事当選したことをお伝えしに来たんだよ。おめでとう。」
夢ではあるが、周りの音が瞬間的に凍った気がしていた。
「簡単に言うと、こことは違う世界に転生してもらう権利を得たから。」
「あ、そういうことですか。僕の夢も凄い妄想しているなぁ。それではおやすみなさい。」
そう寝ようとしていると
「話をしっかり聞いてください。お願いします。」
泣きそうにそんなことを伝えてきた。面倒だから早めに終わりたい。
「じゃあ、簡単に説明をして早く寝かせてください。」
「やはり、興味があるようだな。何せ異世界だものな。」
おっさんが調子に乗り始めていた。
「昔だと多かったが、神隠しという言葉を聞いたことがあるだろ?。気がついたら人が行方不明になっていたという。あれは実は神の抽選くじに当選して転生の歪みにより生じていたことなんだ。人がこの世から居なくなるという摂理は人が生き、人が死ぬから当然だが。人という存在が消すには多少なりとも歪みの影響だけが残存してしまうのだ。」
「何で転生しないと行けないんだ?歪みが生じるのはこちらの世界に対しても良いものでは無いだろう。そんなリスクを冒す必要性なんであるのか?」
首を傾げながら質問をおっさんに返す。
「神がいるからというわけでは無いのだが、それに対する魔も存在しているのだ。そのため、魔王を中心に理を歪められてしまう事があり、その大きな歪みを抑えるためには多少の歪みなど気にしてはいられないのだ。そのため、何人か色々な異世界に転生することで世界のバランスを整えるということだ。」
更に話をつづける。
「向こうには多くの人種がいるし、君にはその環境に適応出来るように力を授ける。是非、行ってくれないかね。」
どうせ夢なんだし、早く片付けて寝よう。
「それなら条件は、俺の身の安全を有する力を与えること。記憶は今のまま転生させること。言語や情報に対して理解できるようにすること。これを満たせてくれれば転生でも何でもいいや。特に魔を殲滅するとかではなくて、全世界の歪みを修正するために移動するだけだから、転生後は好きにしても良いんだよな?」
「よし。そうと決まれば早速転生だな。」
そう言い残し、おっさんは姿を消した。
二三に関しては夢から起きることなく。この世から姿を消したというニュースが翌日発生したのであった。