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幕前
森が煌々と燃えている。
その焔は、木から他の木々へと燃え移り、鎮まる事を知らない、荒れ狂う炎となっている様に感じられる。
「水よ、これを糧に現れたまえ。金生水。其の焔よ、其の水を用いて鎮まりたまえ。水剋火。」
そこに、ひとりの少年が居た。
彼の少年は、手の内に石の様なものを持ち、何かを口走っている。
見方によればその少年は、ただ単に森林火災に巻き込まれただけの様にも見え、現実逃避の為、ぶつぶつ言っている様な雰囲気をまとっている。
しかし、燃え盛っていた焔は、何故か少年の周りでのみ、段々と勢力を弱めている。
「其の焔よ、我が金を侮り、滅されよ。金侮火。森の木々よ、我が水に頼りて、養われたまえ。水生木」
少年の周りよりその炎は鎮火して行き、鎮火した木々はみるみるうちに緑を取り戻して行く。
「弱められた炎よ、沈黙したまえ。火虚水乗。」
そして、それらの炎は完全に沈黙し、先ほどまで煌々と燃え盛っていたのが嘘のそうに生い茂った森を取り戻している。
「ふぅ……。どうにか間に合ったみたいで良かった。」
その少年は、そうつぶやくと共に、森の奥へと消えて行った。




