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君が望む永遠、僕が生きる刹那

少し雰囲気が違います。

ーいちばんはじめのはじまりー


そこには混沌と、唯一つの生命があった・・・


すべての源たる混沌の中で、生命はある時、己が何者であるのか 疑問を抱き、問うことに思い至る。


しかし唯一であるが故、その疑問に答えるものはいない。


ー故に生命は我が身を二つに分け、答えるものを創りだした。


『他』を得た生命はそこで初めて己を知り、分かたれたものと大いに語らい始める。


互いに問いかけ、互いに答え・・・やがてそれは世を創り、世は界を育んだ。


こうして『世界』は混沌の中にその存在を現したのだ・・・


しかし出来上がった世界は理を持っておらず、ひどく不安定な存在だった。


ともすれば混沌に呑まれそうになる世界を彼らは常に気にかけ、何とかできないものかと思案していた、その最中。


自分達が混沌の中で存在していることに気づいた彼らは、自らの分身を世界に与え、それらに世界を維持する役目を負わせた。


するとどうだろう。


世界は瞬く間にその容貌を確立させ、確固たる存在となった世界を彼らはとても慈しんだ。


けれど何かが足りない。


ある時、彼らは思いついたー生命に『終わり』と『始まり』を与えてみよう、と・・・


すると生命は次なる生命を生み、巡り始めたそれは理を紡ぎだし混沌をはね除ける力となった。


そして彼らもまた世界へ降り、自らも役目を負った。


『始まり』ーすなわち創造を背負ったのは紅い瞳のカーネリア


『終わり』ーすなわち破壊を背負ったのは碧い瞳のローライト


斯くして時は穏やかに、緩やかに流れていった。


その中で、彼らがお互いの背負うものに興味を抱いていったのは、必然の流れとも言えよう。


何故ならそれは、自らが決して持つことのできないものだったから


かつてのように己の内にある答えだけでは、語り合うことは叶わない。


それは彼らが繋がれないということ。


一つだった彼らはいつの間にか一つ同士となっていたことに気がつき、やがてお互いを求め合うようになった。


けれど、カーネリアが創造を示せば、ローライトはそれを破壊してしまう。


ローライトが破壊したものを、カーネリアは創造することしかできない。


お互いを知ろうとすればするほど、分からないことが増えていく。


世界を支える柱である彼らの交わりは、周囲を覆う混沌との境界を曖昧にさせ、時には奪い合うように繰り返される創造と破壊は、世界の構造さえも変えてしまった。


当然、変化したことで役目を失った生命は消えていき、荒んだ世界を見て彼らはようやく知ったのだ


自分達は求め合ってはいけないのだと。


しかしもう一度世界を創ることはできない。


そこで彼らは生き残った力ある生命に再び役目を与え、世界を『元の姿に戻した』のだった。


そうして消えていった生命は甦ったが、もう役目を負えるほどの力は残っておらず、世界には『力あるもの』と『力無きもの』が生まれた。


違いすぎる両者が共に暮らせるはずもなく、力あるものは無きものを脅かし、力無きものはあるものを羨み、妬んだ。


それは世界の調和を乱し、歪みをもたらした。


あまりにもたくさんの力無き生命を憂えたカーネリアは、同じくあまりにも歪んだ世界を嘆いたローライトと共に、それらに『役目』ではなく、ある役割を負わせた。


ローライトの姿に似せた生命には『男』という役割を


カーネリアの姿に似せた生命には『女』という役割を


両者が交わることで次なる生命を生むという仕組みを創り、新たな土地を世界の中に創った。


ー自分達が遂げられなかった想いを託すようにー


そして彼らは最後に『言葉』を授けた。


自分達と同じ過ちを繰り返させないために


違うもの同士が解り合えるように。


斯くして力無きものと力あるものの暮らす世界は隔てられ、両者を繋ぐ扉はかたく、かたく閉ざされた。


ただ、平和を願って


すべてを終えたあと、カーネリアは彼に言った。


『愛している』と


ローライトもまた彼女に言った。


『私も愛している』と


カーネリアは涙を流し、白銀に煌めく剣を取った。


『私はこの愛を以てあなたを殺し、世界を創造する・・・何度でも。これは私の罪であり、あなたへの罰だ』


彼は薄く笑んだ。碧く透明な瞳に柔らかな光を湛えて


『あなたが望むなら、創るといい。けれど私はその罪を許さないし、許されるべきとも思わない。この愛を以て永遠に壊し続けよう・・・あなたが創造する限り。それが私にできる唯一の贖罪だ』


互いの心を独占できるのは、永遠に互いだけなのだと、それは誓いあっているようだった。


カーネリアの剣が彼の心の臓を深く貫き、白銀だった刃が深紅に染まっても、悲しくはなかった。


何故ならこれはさよならではなく、また会うための約束だから。


抜け殻となった彼の体をきつく抱き締め、彼女は最後の愛を込めて口付けを落とした。


すると彼の抜け殻は目を開け、起き上がった。


彼女は驚いたが、二度も殺すのは忍びなく思ったのか、それを新たな種として地上に放った。


ただ、安寧を祈って


万感の祈りを結び、願いは重なり、やがてー


やがてそれは、物語を紡ぎ始めた・・・

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