言ノ葉
恋は台本通りになんて行かないものよ
ト書きの外で君が笑う
訳知り顔のその訳は
残念ながら分からないけど
多分、この季節がそうさせたのだろう
見惚れるくらいに美しくて
ずれた眼鏡を直すフリして
慌てて顔を隠したけれど
ああ、惜しいことをしたな
後悔は先に立たず
もう一度振り向いても
君はもう視線の外で
追いかけるのは格好悪いから
僕は台本没頭した
どれほどの時間が経った頃か
気付けば夜で
星明かりだけで外はとても明るかった
中の方が暗いなんていっそ笑える
霞がかったような夜空
ふと、脳裏をよぎる残像
夢を見たんだ
とても幸せな夢を
何を見たかは覚えてないけど
暖かい気持ちは確かに残っている
その気持ちに名前をつけるならば
―そう、きっとこれは愛というのが相応しい
降り注ぐような星空の下
星の海をたゆたうように進む
僕を照らすのは一通の着信
心配、してくれたのだろうか
僅かな期待が返信を遅らせる
なあ、聞いてくれよ
今度の舞台は君が主役なんだ
素直に言えたら最高だけど
慣れないロマンスはほろ苦く
意味を為さない言葉はただ
画面の上を滑るだけ
叶うならば、君と共に作り上げたい
零れたため息は闇に紛れ
きっと朝まで消えないだろう
そうしてまた明日になって
何事もなかったように君に会って
そうして僕の一日は始まる
書き上げたら、一番に君に見せよう
そしたら聞いてくれないか
台本通りに行かない恋の話を
勿論、主役は君に決まっているけど