金烏のドウコク
麗しき燐光を纏う君
恵沢なる光を注ぐあなた
君のすべてを諦めたような瞳が
あなたの何もかもを欲する眼差しが
心の底から憎らしい
何よりも厭わしいわ
君を好きだと思った心は
あなたを愛すと誓った存在は
いつしか憎悪にすり変わり
やがて嫌悪を募らせた
ああ……なんと非情な定めか
これが世界の摂理だというの?
君と対することが避けられないなら
あなたが向かってくることを止められないなら
僕は……
私は――
君
ただ、 の手で……
あなた
ベルベットの空に浮かぶ月のような
孤高にして深遠の淵に佇む者よ
君はいつでも変わらないんだね
まるで闇夜を照らす月のようなその瞳
果たして君は知っているのだろうか
現世の理を以てして束縛叶わぬ存在が
如何に人々の脅威と映るか
人ならざる者たちの王よ
君はきっと知らないだろう
ただ、そこに在るというだけで徒に恐怖を煽る存在を
怯えを抱く人々を
ああ、何故
どうして分かってくれないのか
誰も望んではいないのに
距離は隔たるばかり
所詮は相容れない存在なのだ
解り合うことなどできはしないのだ
例え同じ景色を見ていたとしても
同じ“綺麗”を感じることはできない
だから
住む世界を分けよう
二度と悲しむことがないように
交わらざることだけが、唯一の救いだから
なあ、そうだろう?
欲しいと思ったものは
いつだって手の届かないところで輝いている
どんなに叫んでもこの心は
掬われることさえないんだ
もう終わらせよう
この、不毛な茶番劇を
君との
無意味で
残酷すぎる関係を
“断罪”の剣を掲げ
“正義”を振りかざす僕の前に君は来た
冴えたる光を湛える双眸、叡智を恣にする王たる者よ
暗い闇の中にあって変わることのない君が憎らしくて――
――堪らなく愛しい
相対する想いこそが僕たちを繋ぐ鎖
君がいるから、僕は“明日”を導くことが出来るのだ