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はる
連作の第一弾です。
儚い、流浪の旅路
行くあてなど、とうの昔に失った
彷徨うことに疲れ果て
されど捨て去る勇気は持てないまま
ただ、終わりだけを望んで歩き続ける
標なき生の只中で
流れる景色のなか
見つけてしまった、心休まる場所
春の咲く丘に立つ
渡る風に耳を澄まし
爽やかな空気を胸に満たせば
仄かに薫るは花の香か
目にも鮮やかなる黄は高らかに歌い
今にも散りゆく薄紅は儚く舞い踊る
蒼穹に彩りを添えるのは生命の輝きであると
気付いたのは一体いつだったか
春は平和と同義である
冬の犠牲を糧に生命を謳歌する
故に春は優しいのだ
読んでくださり、ありがとうございます。
もうしばし続きますので、よろしくお願いします。