しごできエイミーは、侍女と王家の影のダブルワークを淡々とこなす〜辺境監査官・第二王女付き侍女の日常〜
連載している、『追放された第二王女、辺境王領の監査官になる 〜毒舌黒柴フェンリルと暴く王国の陰謀〜』のスピンオフ、エイミー編です。
ぜひ本編も読んでいただけると嬉しいです!
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ある日突然、
侍女としてお仕えしている第二王女レオノーラ様と辺境の王領へ行くことになった。
私はレオノーラ様についていくのだ。
こんなことくらいでは驚かない。
レオノーラ様はご存知ないが、
私は王家の影としてレオノーラ様をお守りしているのだ。
それが私にとっての
運命であり、
宿命であり、
これから起こる大きな流れに
抗うことが
私のやるべきことなのだ。
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私はある雪の日に生まれた。
公爵家の第一子長女として。
同じ日に、
伯爵家の第一子の
男子が生まれた。
私が生まれて数時間後、
私の目が開いた時、
緊急で公爵家、そして傘下の貴族家の代表が召集された。
公爵家当主が、言葉を切り出した。
「竜眼を持つ子供が生まれた」
「おお」
「なんということだ」
「200年以上振りでは?」
「それは...」
傘下の貴族家当主たちがざわめく。
「静粛に。」
「竜眼をもつ女子だ。
エイミリアと名付けた。
将来的には公爵家当主となることは確定している。
ただ、竜眼を持つということは、
当主になることはもとより、
公爵家の最大の役割を担う存在となる。
ここから時代は大きな流れが起こる。
公爵家傘下のものは、
国を影から支える存在。
そして均衡と安定を守る者。
エイミリアはローゼンリット伯爵へ養子へ出す。
ローゼンリット伯爵家で同じ日に生まれた
ルドヴィクはノクスヴァルト公爵家の養子とする。
ルドヴィクは公爵家嫡男となる。
このことは傘下の貴族当主のみが知ることであり、
制約魔法にて緘口令を敷く。
二人は婚約者となり
王家の影を率いるための
パートナーとなる。
今回のことは、
竜眼を持つものが生まれたという、
事の重大さにおいて
ノクスヴァルト公爵家の身分を隠す方が、
使命を果たすために動きやすいだろうという判断だ。
ローゼンリット伯爵家は代々公爵家の乳母の家系。
これまでも公爵家の子供たちとは、
代々乳兄弟として育つのが慣例だ。
二人は共に育ち、
共に宿命を背負うことになる。
ローゼンリット伯爵、よろしく頼む。」
「御意に。」
会議という名の報告は終わった。
小さな二つの命の誕生という輝かしく喜ばしい報告であるはずなのに、
雰囲気は重い。
竜眼が生まれるということは、
王国に厄災が起こる前触れと言われている。
そしてそれを阻止するための運命を背負う子供ということ。
そして宰相家に二人目の男子が生まれた、という知らせも届いた。
宰相家は代々男子一人ということが多いのだが、
宰相家に、次男が生まれる時、
同じように厄災のサインだと言われる。
そして決まって黒い髪、赤い目で生まれるそうだ。
これは王家、公爵家、宰相家のみに伝わるものだ。
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「ルド!今日はあの丘の上まで競争よ!」
「エイミー、待ってよ!」
無邪気な二人を見守るエイミリアの母、公爵夫人のロザリンドも、
ルドヴィクの母、乳母のメアリーも二人に同じようにたくさんの愛情を注いだ。
二人は幼いながらも自分たちの使命をわかっていた。
自分の生まれが本来は逆であることも。
そして将来は夫婦となりこの公爵家を継ぎ、王家を守るのだと。
訓練は厳しかった。
竜眼を持つ者は、魔力も身体能力も並外れた潜在能力がある。
ただ、それを使いこなすのには相当な苦しみも伴うと言われている。
体が膨大な魔力に耐えられないことが多々起こり魔力暴走を起こすのだ。
それを抑えられるのが、ルドだけだった。
ルドがそばにいれば、過剰な魔力が中和され、
お互いに調整をすることができるのだ。
生まれた時に決められた婚約だったが、
お互いがお互いのために、
なくてはならない
いつも支え合う二人になった。
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「あ、エイミー、また彼からの手紙?」
「はい、レオノーラ様」
「こっち(辺境)に来てからほぼ毎日やりとりしてるじゃない。
本当に仲がいいのね。うらやましいわ。」
「ウフフ。毎日書かないと落ち着かなくて」
(本当はほぼ暗号での報告書なんだけど)
「私が辺境に来ることになっちゃったから王宮勤めの彼と離れ離れになっちゃったわね...」
「レオノーラ様...大丈夫です。私たちの絆は深いのです!」
(いや本当はちょくちょく辺境までルドは来てるけど。諜報の仕事で)
「レオノーラ様こそ、良いお相手を見つけては?」
「私の場合は、私が選ぶことはできないわ。国のために嫁ぐか、国のために働くかなのよ。
それが王族というものだわ。」
「もーう、レオノーラ様、夢がありませんねぇ。
あの、隣国の王子なんてどうですか?顔よし頭よし!実は婚約者候補なんですよね?」
「はぁ...あの男の話はしないで...私の天敵なんだから。」
「えー、なんでですか?政略結婚だったとしても幸せになれることだってありますよ。
私なんて生まれた時からルドと婚約が決まってたんですから。」
「そうねぇ。あなたたちの絆が深くて羨ましい...
私は父に疎まれてるから、国内の貴族に降嫁するってことはなさそうだし、
国外に嫁ぐか監査官を続けるか、よね。」
「そういえば、以前隣国からものすごい数の釣り書き届いてましたよね。
あれなんだったんでしょう?」
「父が全て断ったわ。一人を残してね。まずは候補としてだけだけど。
私を疎んでいるならすぐに外に出してくれたっていいじゃない。私は姉様のそばにいたいけど。」
「その残った一人がアドリアン王子なんですよね!」
「そうなのよぅ...」
(私は、あの男は意外によい相手になるのではないかと思っている。
やる気がなくて得体がしれないが器は大きい。王太子よりも王の器だ。)
レオノーラ様はまだブツブツ言っていたが、
今日はなんと!
実はルドが来る日なのだ!
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暗闇の中の
屋根の上
黒装束の二人。
「ルド、久しぶりね。」
「ああ、君も元気そうだ」
婚約者同士の逢瀬、
うっとりと見つめ合う二人がいる
シチュエーションとして
違和感しかないが、
諜報の人間としては普通だ。
そして定期報告。
今回はなんと身近にいた転生者の話がメイン。
手を握り合い魔力の調整。
今でも少し魔力過多になる。
ルドが私の魔力が安定したことを確認して、
「落ち着いたな。
じゃあ、また。
手紙(暗号の報告書)書くよ」
「ええ、待ってる。(報告を)」
私は宿命を背負っているけど、
きっとそれを変えてみせる。
そしてルドを幸せにするのだ。
私のために人生をかけてくれている彼を。
それがどんなに茨の道だったとしても。
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今回は連載している、『追放された第二王女、辺境王領の監査官になる 〜毒舌黒柴フェンリルと暴く王国の陰謀〜』のスピンオフ、エイミー編です。
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