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6 日常 その3 【挿絵あり】

AI(Gemini)利用作品【構想や要旨を作者が考え、それをもとにAIが肉付け、その後、作者が加筆修正を行って掲載しています。】

挿絵(By みてみん)


カインが冒険者ギルドで請け負う依頼は、以前にも増して多岐にわたるようになった。特に彼が好んで選んだのは、森での薬草採取の依頼だった。


それは単にFランクの彼でもこなせる手軽な依頼だから、というだけではない。薬草の知識が、いつか何らかの形で役立つかもしれないという、漠然とした予感があったのだ。


彼は依頼のたびに、採取した薬草の種類や効能、生育環境、そして見分け方などを、手持ちの小さなノートに克明に記録していった。


森の奥深く、陽光が差し込む渓流沿いには、稀少な『癒しのヒーリング・リーフ』が自生している。その葉を煎じて飲めば、疲労回復だけでなく、傷の治りも早まるという。カインは、その葉が水辺を好むこと、そして朝露に濡れている時が最も薬効が高いことを知った。


また、日陰の湿地にひっそりと生える『千里眼のファーサイト・バッド』は、服用すると一時的に集中力が高まり、視覚や聴覚が研ぎ澄まされるという。しかし、その効果は長く続かず、過剰摂取は頭痛を引き起こす諸刃の剣であることも、彼は自身の体で実験して知った。


さらに、朽ちた大木に群生する『剛力茸ストレングス・マッシュルーム』は、一時的に筋力を増強させる効果があるものの、同時に激しい倦怠感を伴うため、使いどころが肝心だと判断した。


こうして、カインの薬草に関する知識は、図鑑の情報をはるかに超え、実戦で培われた生きた知恵として蓄積されていった。彼の脳内には、森の地図に薬草の生息地が細かく記され、どの薬草がどのような状況で、どのように作用するかというデータが刻み込まれていったのだ。



ある日の夕食時、「木漏れ日の宿」のダイニングは、いつも以上に賑わっていた。この頃には、宿屋の手伝いもカインの日常の一部としてすっかり定着していた。リサが調理場で腕を振るい、客たちが温かい料理に舌鼓を打つ。そんな中、カインはリサに、最近知った薬草の知識を披露した。


「リサさん、この『癒しの葉』を鶏肉と一緒に煮込むと、ただの栄養食じゃなくて、もっと効果的な回復食になると思うんです。それに、『剛力茸』は、上手に使えば体力増強にもなりますよ。」


カインの言葉に、リサは興味津々に耳を傾けた。彼女はもともと料理の腕は確かだったが、薬草の知識には疎かったのだ。


二人は、カインが持ち帰った薬草と、宿屋の食材を組み合わせ、試行錯誤を重ねる日々を送った。そして、数週間後、ついに新しいメニューが完成した。


それは、カインが考案した薬草の効能を最大限に引き出した、その名も『生命の恵みシチュー』と『精霊の息吹スープ』だった。


『生命の恵みシチュー』は、『癒しの葉』と良質な肉、そして数種類の根菜をじっくり煮込んだもので、食べた者の傷の治りを早め、疲労を瞬く間に回復させる効果があった。一方、『精霊の息吹スープ』は、『千里眼の蕾』を微量に用い、精神を落ち着かせ、集中力を高める効果が期待された。


これらの料理は、瞬く間に冒険者たちの間で話題となった。特に厳しい訓練や戦闘を終えた冒険者たちが、こぞって「木漏れ日の宿」に押し寄せ、これらの料理を求めた。


「あのシチューを食べたら、昨日の怪我がもうほとんど治っちまったぜ!」


「精霊の息吹スープを飲んだら、集中力が増して、今日の訓練で新しい技を習得できたんだ!」


そんな声が、町のあちこちで聞かれるようになった。宿屋の客足は飛躍的に伸び、ついには「木漏れ日の宿」の看板メニューとして定着した。


カインの料理人としての才能が、ここで花開こうとしていた。宿屋の経営は潤い、カインにも以前より多くの給料が支払われるようになった。そのお金は、全て復讐のための資金となる。


ゴブリン討伐の依頼を終え、ギルドからの報酬を受け取ったカインは、宿への帰り道を歩いていた。Eランクに昇格し、報酬も増えたことに満足感を覚えつつも、心の中には漠然とした違和感が残っていた。


それは、頭の中にモヤがかかったような、奇妙な感覚だった。まるで、大切な何かを忘れてしまったかのような、薄暗い感覚だ。しかし、それが何かを思い出そうとしても、そのモヤはさらに濃くなるばかりで、何も掴めない。


彼は、ゴブリンとの激しい戦闘の中で、『時間遡行』の魔法を初めて実戦で使った。その代償として「犠牲の誓約」が発動し、かつて【悪夢】に滅ぼされた村で、彼が心を許し、共に遊んだ幼馴染との記憶が、彼の意識から抹消されたのだ。


幼馴染の笑顔、共に秘密基地を作った思い出、未来を語り合った時間。それら全てが、時間遡行の代償として、カインの記憶から消え去っていた。


カインは、その失われた記憶の痕跡を感じ取っているに過ぎない。彼の心に残るのは、親しい誰かを失ったような、言いようのない空虚感だった。


しかし、彼はその空虚感の正体を知らない。ただ、このモヤが、復讐への道を邪魔するものではないことを祈るばかりだった。彼は自らの記憶が改変されたことに気づいていない。そして、それが『時間遡行』の代償であることも。


このモヤは、今後もカインの精神に不定期に現れ、彼を惑わせるのだろうか。復讐の道を歩むカインにとって、この見えない犠牲が、一体どんな影響をもたらすのか。

《カインの現在の能力値 ~6を終えて~》

★日課・料理によりステータスアップ

①名前 → カイン

②種族・年齢 →人間・12歳

③職業 →メイン・時を操る剣士 

     サブ・薬膳料理人

④ギフト → 無し

⑤レベル 23

⑥HP | 400/400 |  Eランク冒険者平均300

⑦ MP | 0/0 |    〃平均150

⑧ 特殊魔力 | 0/250 |  〃平均200

⑨ 攻撃力 | 230 |     〃平均200

⑩ 防御力 | 290 | 〃平均150

⑪ 素早さ | 135 |   〃平均100

⑫ 精神力 | 200 |     〃平均50

⑬ 運 | 50 |       〃平均20

⑭ 特殊技能 | 時間遡行| 代償「犠牲の誓約」

⑮冒険者ランク E

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