20 邂逅
AI(Gemini)利用作品【構想や要旨を作者が考え、それをもとにAIが肉付け、その後、作者が加筆修正を行って掲載しています。】
カインは、木漏れ日の宿の常連から、新聞屋の情報を得ていた。カインの考案した薬膳料理は相変わらず冒険者パーティーからの評判が良く、足繁く通うパーティーもいる。余裕があるときは、カインはできた料理を自分で運ぶときがある。テーブルの上に料理を置くときは少なからず世間話をするものだ。その時に手に入れた情報である。これは悪夢の情報収集に困難を極めた状況にあったカインにとって朗報だった。内容はというと悪夢を追っている新聞記者がいるというものだ。
「新聞屋のベル…。彼なら、悪夢の重要な情報を持っているはずだ。」カインは今日の店番が終わったら向かうことに決めた。
カインが辿り着いたのは、スラム街の最果て、今にも崩れそうなトタン屋根の小屋だった。
ノックも待たずドアを開けると、そこには無数の切り抜きが貼られた壁を背に、鋭い眼光を放つ少年、ベルがいた。しかも、壁をよくみると「カイン」の名前も貼られていた。
「勝手に入るなと言いたいところだが……君の足取りには迷いがなかったね。カイン。」
「なぜ、私の名前を知っている。」
「僕はベル。悪夢を追っている新聞記者だ。周辺の情報は大体拾えてきたところなんだが、その過程で君の存在を知ったんだ。いつかは接触しないといけないと思っていたのだが、なかなかタイミングがなくてね。君から来てくれたのなら好都合だ。」
「『悪夢』のことを教えてほしい。僕は、彼らに全てを奪われた。」
ベルは、ギフト【真偽】を発動させる。彼の瞳が青白く発光した。カインが言ったことはもちろん真実だが、ベルにはそれがギフトによって分かる。
「……いいよ。君の状況は知っているからね。君とは手を組みたいと思っていたのさ。僕も信じてもらうために情報提供を早速しようじゃないか。今追っているのは、悪夢のメンバーと思わしき、女性医師だ。彼女の動向を探っていたのだが、そこで奇妙な男を見つけたんだ。」
ベルは一枚の似顔絵を机に置く。それは、穏やかな微笑を浮かべた男の姿だった。
「こいつはマイケルという男だ。悪夢は互いの正体を知らないはずだが、このマイケルと女性医師だけは、まるで旧知の仲のように接触していたんだ。読唇術で言葉を拾ったんだけど、奴らは今夜、聖堂跡地で『殲滅』を始めるようだ。」
「聖堂跡地……。今すぐ行こう。」
彼は修行の間に時間溯行が2度使えるようになっていた。今の自分では攻撃を捌ききるだけで防戦一方になるのは確実だ。時間溯行を攻撃に利用するしかない。チャンスは2回だ。カインの瞳に、宿命の炎が灯った。
時を遡ること数時間前…
Sランク冒険者パーティー【暁】のミサキは、雨の中を疾走していた。他のメンバーは聖堂跡地に向かっている。聖堂跡地といっても、この場所は時の天秤教団の聖地とされている。クロノス・スケールは「起きた出来事は神の決定事項である」と説く、厳格な最大宗教だ。聖地とされているがゆえに、その周辺は教会を中心に栄えていて大きな街となっている。ここが悪夢の標的となるならば1000人規模の被害が出る。ミサキは今回は悪夢のメンバーも規模に応じて多く集まるだろうと予測し、冒険者ギルドに協力してくれるパーティーを呼び掛けにいった。
彼女はギフト【疾風】があり、他のメンバーよりも足が速いため、自分がギルドに赴き、他のメンバーを先に現地へ向かわせていた。協力の要請を終えたミサキは全速力で現地へ向かう。彼女の指には、以前入手した黒いペンダントが握られている。昨日、そのペンダントがある一定の周期で熱を持ち、魔力の脈動で「集合場所」を告げた。
「聖堂跡地……。今度こそ、逃がさない。」
しかし、現地に到着した彼女を待っていたのは、異常な光景だった。
「……っ!? レイド! みんな!」
先行していた【暁】の仲間たちが、地面に倒れ伏している。死んではいないが、深い眠りに落ちたかのように反応がない。
「おやおや。Sランクのミサキさんですね。教え子の間でも、あなたは憧れの的なんですよ」闇の中から、マイケルがゆっくりと姿を現した。その隣には、女が佇んでいる。二人は親密そうに視線を交わすと、マイケルが愉快そうに肩をすくめた。
次の瞬間、マイケルの姿が掻き消えた。
ギフト【3秒間の透明化】。この能力は初見殺しに特化している最強の能力だが、1日に使える回数は限られていて、1回使ったあとに数十分のクールダウンを要する。戦闘が長引くことは基本的にないので、対面した相手に使えるのは一回限りだ。
「なっ――」
ミサキの背筋に冷たい戦慄が走る。彼女の反射神経を以てしても、音も気配も魔力すら遮断する透明化は防げない。
「――そこだ! 左30度、上方から振り下ろされる!」
聖堂跡地の入り口から、カインの鋭い叫びが響いた。ギフト【時間溯行】。到着した矢先にミサキとマイケルの戦いを目撃したカインはタイムリープを発動させた。攻撃の軌道を確認したカインは大声でミサキに伝えた。
「くっっ!」
ギフト【疾風】を発動させ移動したが、敵の刃がミサキの太ももを切り裂いた。カインのおかげで重傷には至らなかった形だ。
「心臓を狙いましたが、よく死にませんでしたね。ゆっくりと、Sランクのプライドを削ぎ落としてあげましょう。」
マイケルは透明化はクールダウン時間が長いため、実質決着がつくまでおそらく1回しか使えないと考えている。クールダウン時間が長いことがバレないように何回も使えるかのごとく、言い放った。マイケルは内心、少し焦りはしたがすぐに平常心を取り戻した。悪夢に在籍しているため、もちろん基礎戦闘力は高い。焦る必要はない。
膝をつくミサキ。彼女の喉元に、マイケルの短剣が突き立てられようとした、その時―。
カキィン! と、空間が軋む音がした。
「何者だ、貴様ら……!」
「ただ、終わりを告げに来た者だ」
カインが参戦する。マイケルは忌々しげにカインを睨みつけた。
「フン、あなたはさきほど大声を出していた方ですか。あなたの助言のおかげで彼女は一瞬で絶命できずに苦しんでいますよ。ありがとうございます。」
マイケルが最高速度の連続攻撃。ミサキは満身創痍で、カインもまた無数の切り傷を負う。
だが、カインには切り札があった。
「ベル、ミサキ! 奴が次に現れる瞬間、僕が『起点』を作る。……合わせてくれ!」
「……わかったわ!」
「死ぬなよ、少年!」
マイケルがミサキの心臓を貫こうとする。
だが、カインがギフトを行使した。
「――時間遡行!」
世界が5秒だけ巻き戻る。
マイケルにとっては、「自分が最も無防備な体勢に晒される」という、予感がした。
「拭えない不安感はありますが――一思いに殺ってしまいましょう。」
「今だ、ミサキ! 一歩下がって右上を狙え!」
カインの叫びに呼応し、ミサキが【疾風】を使って剣を素早く振り下ろす。カインが未来で見てきたマイケルの位置をミサキの剣閃が捉えた。
「暁の……一閃!!」
白銀の光が聖堂を埋め尽くし、マイケルの身体を真っ二つに両断した。
朝靄が聖堂に差し込む中、倒れ伏したマイケルの傍らで、女性医師はいつの間にか姿を消していた。
「……勝ったのね、私たち」
ミサキは剣を杖代わりに立ち上がる。その隣には、見守っていたベルと、疲弊したカインがいた。
「君たちのおかげだ。僕はベル。君は、暁のミサキだな。そして少年、君の名前は…」
ベルがカインに歩み寄ろうとした、その時。
カインの全身から、どす黒い魔力の霧が溢れ出した。時間遡行の代償。強力な因果のねじれが、周囲の人間から「カイン」という存在を剥ぎ取っていく。
「あ……がっ……」
カインは胸を押さえて膝をつく。
ミサキが慌てて駆け寄る。
「大丈夫!? 今、止血を――」
しかし、ミサキの手がカインに触れる直前。彼女の瞳から光が消え、記憶の混濁が始まった。
「……あれ? 私、何をしようとしてたんだっけ。……あの、君は、誰? ギルドに依頼した協力者かしら。」
ミサキの言葉に、カインの心臓が凍りつく。
ベルもまた、頭を押さえてよろめいた。
「……妙だな。私は一人で、悪夢の尻尾を掴みにここへ来たはずだ。そこの少年、君は……ギルドの使いか何かか?」
カインは震える拳を握りしめ、地面を見つめた。
共に死線を越えたのにも関わらず、全ては因果の彼方に消えてしまった。
カインの手元には、ミサキが戦いの中で落とした「黒いペンダント」だけが残されている。
「……はい。通りすがりの、ただのCランク冒険者です。ギルドの要請により参加したんですよ。」
カインは二人に背を向け、雨上がりの朝へ歩き出す。
「(いつか、必ず……。この世界から『悪夢』を消し去ってやる)」
背後で、目覚めた仲間たちと再会を喜ぶミサキの声が聞こえる。カインはその輪に加わることはできない。時間溯行2回分の代償はあまりにも大きかったが、悪夢のメンバーを1人葬れたことは大きい成果だ。孤独な復讐者は、ただ一人、次の悪夢打倒の機会を求めて影の中へと消えていった。
《カインの現在の能力値 20話を終えて~》
★悪夢のメンバー・マイケル討伐によりステータスアップ
①名前 → カイン
②種族・年齢 →人間・16歳
③職業 →メイン・時を操る剣士
サブ・薬膳料理人、罠師、地図職人
④ギフト → 無し
⑤レベル 96
⑥HP | 365/2960 | Cランク冒険者平均1000
⑦ MP | 0/0 | 〃平均500
⑧ 特殊魔力 | 0/1600 | 〃平均400
⑨ 攻撃力 | 950 | 〃平均700
⑩ 防御力 | 860 | 〃平均600
⑪ 素早さ | 710 | 〃平均600
⑫ 精神力 | 1100 | 〃平均400
⑬ 運 | 580 | 〃平均200
⑭ 特殊技能 | 時間遡行| 代償「犠牲の誓約」
⑮冒険者ランク C




