17 暁 その1
AI(Gemini)利用作品【構想や要旨を作者が考え、それをもとにAIが肉付け、その後、作者が加筆修正を行って掲載しています。】
「ミサキ、ちょっといいか?」
遠征を終え、冒険者ギルドで報告を済ませたミサキに、リーダーのレイドが声をかけた。彼は屈強な戦士で、常に冷静沈着な男だ。
「どうしたの、レイド?」
「いや、お疲れ様。それに、Aランク昇格、おめでとう。」
「ありがとう!レイドのおかげだよ。」
レイドは、ミサキが所属するSランクパーティー【暁】のリーダーだ。彼らは、常に世界の平和を願い、様々な依頼をこなしてきた。特に、ミサキは剣術の腕がずば抜けており、パーティーの要として活躍していた。
「ミサキ、そろそろ故郷に帰る時期じゃないか?」
レイドの言葉に、ミサキはハッとした。毎年、この時期になると、彼女は故郷に帰っていた。
「うん、そうなんだ。おばあちゃんのお墓参りに行かないと。」
ミサキは、懐かしそうに微笑んだ。彼女にとって、おばあちゃんは母親代わりだった。仕事で忙しい両親に代わり、幼い頃からずっとミサキの面倒を見てくれた。
「気を付けていってくるんだよ。必ず帰ってきなさい。」
家を出るたびに、おばあちゃんはそう言ってミサキを送り出してくれた。その言葉が、今でもミサキの心の支えとなっていた。
しかし、おばあちゃんは数年前に老衰で亡くなってしまった。100年以上も生きたのだから、大往生だ。悲しかったが、ミサキは前を向いて歩くことを決めた。
そして、冒険者として成長した姿をお墓に報告するため、毎年、故郷に帰ることを習慣としていた。
「去年はBランク昇格の報告をしたんだ。今年は、ついにAランク。おばあちゃんもきっと喜んでくれると思うの。」
ミサキは意気揚々と語る。レイドはそんなミサキの様子を、優しい眼差しで見つめていた。
「ああ、きっと喜んでくれるさ。故郷でゆっくり休んでくるといい。次の依頼は、それからでいいから。」
レイドの言葉に、ミサキは深く頷いた。
「ありがとう、レイド!行ってくるね!」
ミサキは、仲間たちに別れを告げ、故郷へと向かった。故郷までの道は、片道だけでも二週間かかる。だが、故郷に近づくにつれて、ミサキの足取りは軽くなっていった。
(おばあちゃん、ついにAランクになったよ。これで、もっとたくさんの人を助けられる。私、強くなったよ…)
ミサキは、心の中でおばあちゃんに語りかける。故郷の風景が、徐々に視界に入ってきた。懐かしい木々、川のせせらぎ、そして、村を囲むようにそびえる山々。何もかもが、ミサキを優しく包み込んでくれた。
故郷まであと半日ほどの距離まで来たとき、ミサキは遠くの空に、不気味な黒煙が立ち上っているのを見た。その黒煙は、どう考えても、ミサキの実家のある方向から立ち上っているように見えた。
(あれは、なんだ…?)
ミサキの心臓が、ドクンと嫌な音を立てた。故郷の村は、争いとは無縁の平和な村だ。火事が起きるようなことも、これまで一度もなかった。ミサキの胸に、拭いきれない不安が広がっていく。
(まさか…そんな、はずは…)
ミサキの足が、自然と速くなる。ゆっくりと歩いていたはずなのに、いつの間にか、故郷を目指して駆け出していた。肺が焼けるように熱く、喉はカラカラに乾いていた。だが、そんなことには構っていられなかった。
(早く、早く、村に…!)
そして、ミサキの目の前に広がっていたのは、信じられない光景だった。故郷の村は、跡形もなく消え失せていた。燃え盛る炎、全壊した家屋、そして、横たわる無数の屍。その光景は、地獄絵図そのものだった。
「…おかあ…さん…?」
ミサキは、震える声で呟いた。だが、返事はない。彼女は、瓦礫の山の中を、必死でおかあさんを探した。何度探しても見つけられなかった。村人たちの屍を乗り越え、燃え盛る家屋の脇を通り抜け、ミサキは、おばあちゃんのお墓があった場所にも向かった。
しかし、そこには、お墓はなかった。見るも無惨に掘り起こされた墓石、散乱した骨、そして、その周りに散らばる花束の残骸。それは、死者への冒涜以外の何物でもなかった。
「…あ…あ…おばあちゃん…」
ミサキは、膝から崩れ落ちた。怒り、悲しみ、絶望。あらゆる感情がミサキを襲う。彼女は、人生で初めての慟哭を体験した。
その日から、ミサキは変わった。かつての優しさは、怒りに、そして憎しみに変わった。彼女は、故郷を滅ぼした者たちを、「【悪夢】」と呼んだ。彼女が所属するパーティー【暁】は、その日から、【悪夢】討伐を目標に掲げることになった。
レイドたちは、ミサキの悲しみに寄り添い、共に復讐を誓った。彼らは、ミサキのために、故郷を滅ぼした者たちを探し、その情報を集め始めた。しかし、手がかりは何もなかった。ただ一つ、故郷を襲った者たちが、不気味な黒いアクセサリーを身につけていたという情報以外は。
そして、ミサキは、復讐のために、そのアクセサリーを身につけることを決意した。それは、彼女の故郷を滅ぼした者たちと同じ、黒いペンダントだった。
(私は、絶対に許さない…)
ミサキは、冷たい瞳で空を見上げた。彼女の心の中には、復讐の炎が燃え盛っていた。それは、彼女を突き動かす唯一の原動力となっていた。ミサキは、剣を抜き、空に向かって突き立てた。
「おばあちゃん…見ていてね…」
彼女の瞳から、一筋の涙が流れ落ちた。それは、悲しみの涙か、それとも怒りの涙か。それは、誰にも分からない。ただ一つ言えるのは、ミサキは、もうかつての優しい少女ではない、ということだった。




