表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

真犯人の正体

静寂のスタジオ


夜のスタジオに戻った彩乃は、誰もいないことを確認しながら慎重に足を進めた。

警察に証拠を渡したが、木村浩一が真犯人だと確定するには、さらなる決定的な証拠が必要だった。


彼女は木村の机に再び近づき、引き出しを開けた。

前回見つけた「過激な演出」のメモをもう一度確認すると、その下にファイルが隠されていた。

ファイルにはスケジュール表や計画書がびっしりと書き込まれている。


「熱湯管理:塩+グリセリン混合」

「リアルおでん企画:視覚効果を重視、異物混入で衝撃性UP」


彩乃はそれを見た瞬間、震えが止まらなくなった。

木村は翔太と恭介の死を「演出の一部」として計画していたのだ。



対峙


背後で床が軋む音がした。振り返ると、木村が立っていた。

目は冷たく、彩乃をじっと見つめている。


「森下、お前……何をしてる?」

木村の声は低く、怒りを抑えているようだった。


「何も……ただ、片付けを……」

彩乃は震える声で答えたが、手に持っているファイルを見られてしまった。


「お前、それを返せ。」

木村が一歩近づいてくる。彩乃はとっさにファイルを後ろに隠した。


「木村さん……あなた、やったんですね?」

彩乃は震える声で問いかけた。


「やった?何のことだ。」

木村は不敵に笑った。

「もし俺がやったとして、お前が何をする?警察か?無駄だ。証拠なんて消せば終わりだ。」


木村が手を伸ばしてくる。

彩乃はファイルを握りしめ、部屋を飛び出した。



危険な逃走


彩乃は廊下を全力で駆け抜けた。

木村の足音が後ろから迫る。スタジオ内は暗く、彼の影が壁に映るたび、恐怖が胸を締めつけた。


「無駄だ、森下!お前一人で何ができる!」

木村の声が追いかけてくる。


彩乃は物陰に隠れ、息を潜めた。

足音が近づき、止まる。

木村が周囲を見回す気配がする。


その時、彩乃はふと近くにあった消火器に手を伸ばした。

彼が背を向けた瞬間、それを力いっぱい振り下ろした。


「ぐっ……!」

木村が倒れ込む。

彩乃はその隙に再び駆け出した。



警察への連絡


建物を抜けた彩乃は震える手で携帯を取り出し、警察に連絡した。

「証拠を見つけました。犯人は木村浩一です……急いで来てください!」



真実の解明


数時間後、警察がスタジオに到着。

木村は現行犯で逮捕された。

彩乃が渡したファイルとデータログが決定的な証拠となり、彼はすべてを認めた。


「視聴率のためだ。仕方なかった。あいつらもそれを理解してたはずだ!」

木村は最後まで視聴率を理由に自分を正当化しようとした。


警察が説明する中、彩乃は彼が語った計画の全貌を知った。


・相田翔太の死亡:おでんに金属片を仕込み、食べた際に喉を傷つけるよう計画。

・片山恭介の死亡:塩とグリセリンを湯船に混ぜ、水の沸点を上げて火傷を負わせるトリック。


「それで、人が死んでいい理由にはならない……」

彩乃はそう呟いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ