プロローグ
今日は疲れた。もう一生分疲れた。
そう思った美桜は靴を脱ぐことすら億劫で、玄関に座り込んだ。
肩掛けカバンからスマホを出して、母親に叱られるまではスマホをいじることにした。
そうしていると、急に清廉な風が吹く。
意外とその風は勢いが強くて、目を瞑る。
そして風がおさまり、目を開けたらそこは
全く知らない平原だった。
空は青いけれど雲は虹色だし、平原の先に見えるお城のようなものは真っ白だ。
屋根が虹色で、城の形はヨーロッパとかそういう方にある宮殿と言った方が正しいだろうか。
もっとわかりやすく言うと某夢の国の灰被り姫のお城みたいな感じだ。
そしてお城の後ろをよく見てみると大樹があり、あれってもしかして、と思いつつ美桜はとりあえずここに座っていても何もできないと思い、あの大きなお城の方へ歩くことにした。
近くにあると思ったお城は案外遠くて、美桜は途中で疲れて休憩をすることにした。
森の中に道があったためそこを通っているが、この森には清廉な気配が漂っている。
クマとか、そう言う獣の類が一切いないようなのだ。
代わりに赤い光や青い光を纏った小さい人のような妖精のようなものがいる。
その妖精のようなものは美桜に近づき、美桜の頭を撫でたり頬擦りをしたりしている。
何をしているのかはわからないが、しばらく放っておくことにした。
休憩を終えて歩き出すと、その妖精のようなものもついてきたので、一緒に行きたいのだろうかと思ってそのまま連れていくことにした。
そうして歩いていると、前に白銀の髪の女性が立っていた。
その女性は非常に整った顔立ちをしていて、足元まで伸びた髪はパサつきがなく艶やかだ。
女性は蝶と戯れているようで、ひらりと飛ぶ蝶を指に止まらせていたりしている。
その様がとても絵になるなぁ、と思って見つめていると、女性が美桜に気がついた。
そして、少し険しい顔をして睨んだ。
「お前は誰だ」