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インヘリテンス2  作者: 梅太ろう
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第87話【出現】

「はあはあはあ……へっ、勝負あったな」


「はあはあはあ……ぐっ、ぐぐぅぅ……」


 フィルは立ち上がった。


「おいおい無理すんなよ、大体、そんな剣じゃもう戦えねえだろ、お前、たかが一兵士にしちゃよくやったよ、生意気だがな」


「くっ……」

(つ、強い……俺とそんなに歳も変わらないのに……明らかに、経験による差が出ている……ヴィルヘルムとか言ったな……こいつらは一体……)


 するとフィルは折れた剣を地面に投げ捨てた。


「そうそう、大人しく諦めてサオ・ミナルクの居場所を吐きな……ん?」


 フィルは再びアークを放出させてクムルへと襲い掛かった。


「はああああ!!」


「なっ!? 馬鹿が!! 剣無しでお前が俺に勝てるわけねえだろう!!」


 フィルが拳を突き出すと、クムルはその拳を払い顎を突き上げた。


「がっ!!」


 フィルがそれでも強引に拳を突き出すと、クムルはそれを横に避け、フィルの腹部に膝を打ち込んだ。


「ぐふっ!!」


 そして状態の下がったフィルの顔面に蹴りを放ち吹き飛ばした。


「ぐはあっ!!」


「いい加減にしろ!! もうお前に勝ち目はねえんだよ!! さっさとサオ・ミナルクの居場所を吐け!!」


 フィルは立ち上がり、構えをとった。


「てんめえ……」


 そしてフィルは再び突撃した。


「死んでも知らねえぞ!!」


 フィルが拳を放つとクムルはそれを掴み、フィルの顔へ額を当てた。


「ぐっ!!」


 更に拳を顔面に当てるとフィルは大きく仰け反った。


「ぐあっ!!」


 しかしフィルは踏みとどまり、拳を横から大きく振った。


(ちっ!! そんな大振りが当たるかよ!! 一旦後ろに避けたらこの拳で終わりだ!!)


 クムルが状態を後方へ反らし、拳を握ったその時、フィルの拳が輝いた。


「おおおおお!!」


 するとフィルの拳から氷が現れ、剣の形を成した。


「なっ!? ぐはっ!!」


 フィルの剣がクムルの顔面を捉えた。そして更にフィルは飛び上がるとクムルの頭上に剣を落とし、状態の下がったところで腹部へと横なぎに剣を振った。


「ぐはああっ!!」


 クムルは大きく吹き飛んだ。


「はあはあはあ……」


「うぐぐぅぅ……」


 クムルは立ち上がった。アークで全身を護っていた為、致命傷こそ避けたが、十分なダメージは受けていた。


「てんめぇぇ……往生際の悪い……」


「はあはあ……うをおおおおお!!」


 フィルは飛び上がり剣を振り下ろした。


「もう手加減はしねえ!! この一撃でぶっ殺してやる!!」


 フィルが右手に力を込めるとアークの光が集中し大きくなった。そしてフィルは上空から剣を、クムルは下から拳を互いに打ち放った。


「はああああ!! デライド!!!!」


 しかし直前でフィルが魔法を唱えたその時、クムルの地面がめくれ上がり崩れた。


「なっ!? くっ!!」


 体勢を崩されたクムルは咄嗟に両腕を交差しフィルの攻撃を受けた。


「ぐをおおおお!!」


 クムルはフィルの攻撃に圧され、地面深くまでめり込んだ。


 そしてフィルはすぐさま上空へ上がるとアークをクムルへ放った。


「う、うをおおおああああ!!」


 クムルはアークをまともに受けた。


「はあああああ!!」


 フィルは更に、アークを溜めると連打で放った。


 すると地面はめくれ上がり、辺りは瓦礫と粉じんが舞い上がった。


「はあはあはあはあ……」


 フィルは地上へと落ちるように降りた。


「はあはあはあ…………」


 フィルが瓦礫の山を見ていると、その中から光が放たれ、瓦礫が一斉に散らばった。


「くっ!!」


 フィルは飛んでくる無数の瓦礫で頬を切った。


 そして吹き飛んだ瓦礫の中からは両手を広げたクムルが現れた。


「ぐぐぐぅぅうう!! て、てんめぇぇええ!!」


「ちっ……」


 フィルは構えた。


「もう殺す!! 絶対に殺す!!」


 クムルはアークを放出させ、猛烈な勢いで突っ込んできた。


 フィルもアークを放出させ迎え撃ち、再び壮絶な攻防が始まった。


 しかしその時、急にクムルが動きを止め、アークまでも解いた。


「むっ!? なんだ? どうした……?」


「な、なんてこった……こ、こんな時に……」


 フィルがクムルの表情を見ると、なんとも危機迫る表情をしていた。


「……?  おい……ん?」


 フィルがクムルの異変を不思議がっていたその時、突如晴天の空に雨が降り出していた。


「むっ……? 雨……? 雲ひとつないのに……?」


 

 一方で、トールと戦いを繰り広げていたアミもまた、その雨に気付き、顔を蒼白にさせ震えていた。


 するとトールはそんなアミに声を掛けた。


「なんだ? どうした? なにかあったのか?」


 アミは声を震わせながら呟いた。


「来た…………」


「?? 来た……??」


「奴だ…………」


「奴??」


「!!!!!!」


「!!!!!!」 


「!!!!!!」


 その瞬間、王国の中心部からけたたましい爆発音が鳴り響いた。


「なっ!?」


「むうっ!!」


「なんだ!?」


 と同時に大量の瓦礫が空に舞い上がり粉じんが渦巻いた。


「……一体何が……?」


 フィルが目を細めながら瓦礫や粉じんの舞う方向を見ると、その中には何やら巨大な影が見えた。


 そしてアミは蒼ざめた顔から一変し、激しい剣幕でその影へと向かい叫んだ。


「スカァァァアアアル!!!!!!」


「グルルゥゥゥゥゥ…………グヲアアアアアアアーーーー!!!!!!」


 激しい咆哮で吹き飛んだ瓦礫や粉じんの中からスカールが現れた。

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