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インヘリテンス2  作者: 梅太ろう
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第86話【拳と剣】

 ――クムルVSフィル


 クムルはジリジリとフィルとの間合いを詰めていた。


 フィルはそんなクムルを見て問いかけた。


「……貴様、武器は?」


「あん? ……へっ、俺は剣なんざ使わねえよ、この身一つありゃ十分だ」


(……武闘家……)


 フィルは剣を構えた。


「……そうか、なら武器なしだとて、容赦はせんぞ」


「容赦だぁ? そりゃてめえが言う台詞じゃねえよ!!」


 クムルが動いた、そして瞬く間に距離を詰めてきた。


(速い!!)


 クムルがフィルの顔面に拳を突き出すと、フィルは顔を捻って躱すが掠っており頬を切った。


「くっ」


「はあああ!!」


 フィルがさらに拳を連打すると、フィルは上半身を後ろに反らして避け、手首を返して剣を振ろうとした。


「!?」


 しかしクムルはその剣の持ち手に足を掛け止め、そのまま飛び上がり蹴りを放った。 フィルはその蹴りをも躱すが、クムルはその場で横に回転しながら蹴りを連発した。 フィルは咄嗟に腕で防いだが後方に大きく弾かれ、クムルは着地した。


「くっ!!」

(この男、強い!!)


 そして今度はフィルが飛び出しクムルへ剣を振ると、クムルはフィルの剣をことごとく避け、背後を取った。


「!!」


 フィルは振り向きざまに剣を横なぎに振るが、クムルはそれを飛び避け、フィルの顔面に蹴りを入れた。


「ぐっ!!」


「どうした? 全然俺の動きについてこれてねーじゃねーか」


 フィルは口から垂れた血を拭うと再び飛び掛かった。


「はあああ!!」


 しかしフィルの攻撃は一向に当たらず、次第にクムルの攻撃がまともに当たり始めた。 クムルが距離を詰めて攻撃してくる事に対し、剣身の長さのあるフィルの攻撃はどうしても一歩出遅れてしまっていた。


「うぐうっ!!」


 その時、クムルの膝がフィルの腹部にめり込んだ。


「くっ……」


 そしてフィルが剣を振るとクムルは大きく後方へ飛んだ。


「へっ、結局、雰囲気と態度だけは一丁前だったが、大したことはなかったな」


「…………ぺっ!!」


 フィルは口から垂れた血を地面に吐くと、再びクムルへと突っ込んだ。


「へっ、何度やっても同じだよ!!」


 クムルが向かってくるフィルへと拳を放つとフィルはその拳へと剣を振った。


「!?」


 クムルは咄嗟に拳の軌道を変えあえて空振りすると、そのまま回転して回し蹴りを放った。フィルが体勢をかがめて蹴りを避けると、クムルはもう半回転して拳を放っていた。するとフィルはその拳に向かい下から剣を振り上げた。


「なに!? くうっ!!」


 クムルは急いで拳を止めるとフィルの肘窩ちゅうかを裏拳で叩き、剣の軌道を変えた。そして正面から蹴りを放ち、フィルを吹き飛ばした。


(こいつ、俺の拳を狙って……!?)


 フィルは起き上がった。


「いくら拳が鋭く速くとも、所詮は生身、相打ち一つで形勢は変わる……」


「ちいっ!! ……その相打ちが出来ねえから、今まで俺が負けてねえんだろうが!!」


 クムルが飛び出した。


「うをおおお!!」


「はああああ!!」


 しかし今度は今まで当たっていたクムルの攻撃も当たらなくなり、攻防が拮抗し始めた。


「こ、こいつ?! まさかもう俺の速さに慣れてきたのか?!」


「貴様の動きや攻撃は確かに速い、だがその身体能力に過信し、無駄な動きも多い」


「てめぇ……偉そうに!! だったらてめえの攻撃を!! 一度でも良いから当ててみやがれ!!」


 クムルは回し蹴りを放った。 するとフィルはその蹴りを紙一重で躱し、クムルが回転している間に距離を詰め、首へ目掛けて剣を振った。


「なに!? くっ!! 間に合わねえ!!」


 フィルの剣が止まった。


 クムルは両腕に着けていた手甲で剣を防いでいた。クムルは剣の衝撃で後方に弾かれた。


「ぐうっ!!」


 フィルは追い打ちをせずに留まった。


「ちっ!! 武器は使わねえとは言ったが、防具を使わねえとは言ってねえ!!」


「……別に……誰も文句は言っていない」


「けっ!! いい加減そのキザってえ態度ムカつくぜ!!」


 クムルび飛び出し、再び激しい攻防が始まった。


 しかしクムルが手甲や膝当てを防御に使いだしたことで、更に両者互いに攻撃を当てられない、互角の戦いとなっていた。


(くそっ、これじゃらちがあかねえぞ!!)


 そしてクムルは一旦後方へ飛び距離を取ると、再び突っ込んだ。


「うおおお!!」


 そして拳を突き出したと思ったその時、地面に手を当てた。


「フリズヘルム!!」


「!!??」


 するとフィルの目の前に氷の壁が現れた。


「くっ!!」


 フィルがその氷を切り裂くと、そこにクムルは居らず、背後に回っていた。


「!!」


 フィルは振り向き様に顔に拳を当てられると吹き飛んだ。


「へっへー!! どうだ?!  ざまあみやがれ!!」


 フィルは起き上がると口の血を拭った。


「魔法も使えるのか……大したものだ」


「は!? 大したものだぁあ?! だからてめえはさっきから……何様のつもりだってんだ!!」


 クムルが再び突っ込んだ。


「はあっ!!」


 クムルはフィルの眼前で横に飛び、側面を取った。


(このまま普通に戦っててもらちがあかねえ、この俺の魔法と拳で、あっという間にケリを着けてやるぜ!!)


 クムルは握る拳に炎を纏わせると、その拳をフィルへと突き出し殴りつけた。


 パリンッ!!


「あっ?」


 しかしフィルだと思って殴りつけたのは氷の塊であった。


 フィルはその隙にクムルの背後に回り込んでおり、剣を横なぎに振った。


「ぐはっ!!」


 クムルは手甲で受けるも吹き飛ばされた。


「んがが!! このっ!!」


 クムルはすぐさま飛び起きた。


「……魔法なら俺も使えるよ、別に貴様の専売特許でも何でもない」


 クムルは歯ぎしりをして拳を握った。


「こいつはいちいち腹の立つ言い方を……」


 その時、フィルの全身からアークが噴き出した。


「!! ……へっ、まあそうだよなあ……こいつでラチがあかねえってんなら、そうするしかねえよなあ」


 拳を握り、そう呟くクムルもまた、全身からアークを放出させた。


 そして二人は同時に飛び出し、クムルは拳を突き出し、 フィルは剣を振り下ろした。


「はああああ!!」


「うをおおお!!」


 クムルの拳がフィルの剣に当たるが、アークに覆われている為、拳を切られることはなく、力の均衡を保った。そして両者互いに力を込めるとその後、剣と拳の激しい攻防が始まった。


 すると剣と拳がぶつかり合う度に互いのアークが飛び散り、周りの家屋が破壊されていった。


「はあっ!!」


 フィルは上空へ飛び上がるとアークを剣から放った。


 クムルはアークに向かい飛び上がり、ギリギリで躱すとその勢いのままフィルへ突っ込んだ。


 するとフィルは右手を前に出した。


「ハヴィング!!」


「!! んがっ!!」


 フィルの突進は止まり、逆に地上へ向けて一気に落ちていった。そして地上へ落ちたクムルにフィルは再びアークを放った。


「!!!!」


 すると地上に落ちたはずのクムルがフィルの背後に現れ、合わせた両手をフィルの背中に叩きつけた。


「ぐあっ!!」


 今度は瞬く間にフィルが地上に激突すると、クムルはそれを追い拳を突き出した。


 フィルはすぐさま立ち上がり、クムルの拳を剣で受けると、その衝撃で地面がめくれ上がった。


「ぐっ!! ぬぐぐぐ……」


「くうっ!!」


 互いに力を込めている中、 なんとクムルは手を開きフィルの剣を握った。


「うおおお!!」


 そして剣をへし折った。


「なにっ!?」


「かあああ!!」


 更にその拳でフィルを殴りつけると一回転して蹴りを放ち、その後縦に回転すると踵をフィルの頭上に落とした。


「ぐあっ!!」


 そして前のめりに倒れんとするフィルの顔面を蹴り上げた。


「ぐはあっ!!」


 フィルは大きく飛ばされ地面に倒れた。

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