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インヘリテンス2  作者: 梅太ろう
84/85

第84話【猿芝居】

 ――ザックVSオルト


「おりゃあああ!!」


 ザックは短剣を振り上げオルトへと切りかかった。


(……短剣……速さ重視か……)


 しかしザックの大振りな剣筋ではオルトを捉えることは出来ず、ザックの短剣はことごとく空を切った。


「おりゃ!! たあ!! この!!」


「…………」


 その時、オルトがザックの短剣を弾くと短剣は空を舞い、その後地面に刺さった。


「ああ!? くっそ!!」


 ザックはそそくさと短剣を拾いに走った。


「おいおい……その程度の腕でよくもまあ、あれだけの大口を叩けたもんだな……」


 ザックは地面に刺さった剣を抜いた。


「よっと! へへっ……さすがだなぁ……隊長さんよっと!!」


 ザックは気味の悪い笑顔を浮かべると短剣をオルトへ向かい投げた。


「!!!!」


 オルトが飛んできた短剣を弾くとザックは眼前まで迫っており、もう一本の短剣を抜き、オルトの顔へと突き立てた。


「ひゃはっ!!」


 オルトは顔を捻って突きを軽々躱した。その後ザックが短剣を振り回すも難なく躱していた。


「くそっ!! この!! ちょこまか!! すんな!! おお?!」


 その時、ザックの足がもつれ前のめりに倒れた。


「ぐわ!! ててっ……!!」


 ザックが振り返るとオルトはザックへ向け剣を突いてきていた。


「おおおおわあ!!」


 ザックは身体を捻らせなんとか躱した。するとオルトの剣は地面へと突き刺さった。


「お!? へへっ!! いただきー!!」


 ザックはオルトへと短剣を振った。


「……おおおおおお!!!!」


 するとオルトは剣を握る手に力を込め、地面を掘り返すようにザックへと剣を振った。


「げげえ?! うがあああ!!」


 ザックはなんとか短剣で受けるも吹き飛ばされてしまった。


「くっそ!! 馬鹿力が!!」


 しかしすぐさま態勢を整え、オルトへ飛び掛かかった。


 オルトは構えた。


(振りが大きい……隙だらけだ……)


 オルトは向かってくるザックへと剣を突いた。


「へへっ……」


「!!??」


 その時、ザックはオルトの剣先に石を投げた。


 すると剣先に当たり砕けた石の破片がオルトの顔に掛かり、目にも入った。


「むっ!!」


「ひゃはー!!」


 そしてザックがオルトへ短剣を振ると、オルトは大きく後方へ飛んだ。

 

「ちいっ!!」


「……お前はそうやって卑怯な手を使い、勝ち続けてきたのか?」


「へっ、卑怯? 戦術って言いな!!」


 ザックは飛び出し再び短剣を振った。


「…………」


 しかしオルトはザックの剣撃をすべて弾き、さらには隙をついて剣を振った。


「うをっ!!」


 すると今度はザックが後方へ大きく飛び距離を取った。


「……てめえ、見えてんのか?」


「その程度の攻撃なら目で見なくても、アークを感じれば避ける事などたやすいよ」


「……なるほどな……さすがに、場馴れしていやがる」


 オルトは顔を拭うと目を開いた。


「お前も、いつまでそんな猿芝居を続ける気だ?」


「あん?」


「そんなもんじゃないんだろう? 本当の力は、そろそろ本気を見せたらどうだ?」


「……へっ、そうかい……なんでもお見通しってか? んじゃまあ……」


 その瞬間、ザックは一瞬でオルトの後ろへ回った。


「そうさせてもらうわ」


「!!??」


 オルトはすぐさま振り向き剣を振った。


「!!」


 しかしオルトの剣は空を切り、太腿からは血が噴き出した。そしてザックはすでにそこには居なかった。


「あっちか」


 そしてザックはさっき投げた短剣を拾うとオルトへと投げた。オルトはその短剣を剣で弾かずに、顔を捻って避けた。


「へっ……弾かずに、避けると思っていたぜぇ……」


 するとザックの短剣は、オルトの後ろに大量に積まれていた丸太を縛るロープに刺さった。


「!!」


 ロープがほどけ、大量の丸太がオルトへと崩れると、オルトは大きく飛んで避けた。


「当たり!!」


 ザックはオルトの飛ぶ方向を呼んでおり、背後に先回りしてオルトの肩口を切った。


「ひゃははあ!!」


 ザックは更に剣激を放つがオルトは全て弾き、再び距離を取った。


「なるほど……うまく地の利を生かした攻撃だ。修練ではなく、実戦で腕を磨いてきたくちか……」


「へへへっ……オルト隊長にお褒めの言葉を頂けるなんてなあ……光栄だぜ、せっかくだから、お命も頂けねえかなぁ?」


 ザックは不敵な笑みを浮かべると、再び一瞬でオルトの背後へ回り込み、オルトの首元へ目掛けて短剣を振った。


「!!??」


「そうはいかない」


 しかしザックの短剣は空を切り、オルトが更にザックの背後を取り剣を振っていた。


「な!? くうっ!!」


 ザックは足からアークを放出すると、超速度で距離を取った。


「てっ!! てめえ!! スピードを隠していやがったな!?」


「隠していたわけじゃねえよ、使う必要がなかっただけだ」


「……てめえ……言ってくれるじゃねえか……」


 ザックは全身からアークを放出させオルトへと突っ込んだ。


 ザックが剣撃を放つと、オルトは両腕と剣にのみアークを纏わせ、ザックの剣をすべて捌いていた。


「てめえ!! なめてんのか!!」


「……そうか、それもそうだな、失礼だったな……」


「おあ?」


 するとオルトは一気に全身から大量のアークを放出させると、ザックへ向けて剣からアークを放った。 


「はああ!? う、うをおおおおおおお!!!!」


 ザックは飛んでくるアークから全力で走って逃げた。それはもう必死に走って逃げた。


「ぬをおおおおおおおお!!!!」


 そして途中で横に大きく飛び、転がりながらもなんとか避けた。するとオルトの放ったアークは家屋に当たり、その家屋を吹き飛ばした。


「ぜえぜえぜえ……あ、あぶねえ……相変わらず凄え破壊力だ……タミルで一度見ておいてよかったぜぇ……」


 そしてザックは立ち上がった。


(へへへっ、しかし今のでだいぶアークを消費したはず、あんだけの技だ、そう何発も撃てまい)


 そしてオルトへと再び突っ込んだ。


「!!!!」


 しかしザックはオルトを見ると目前で動きを止めた。


(こ、こいつ……)


 ザックの額に一筋の汗が流れた。


(撃てないどころか……アークがほとんど減ってねえ……いったい体内にどんだけのアークを秘めていやがるんだ……?)


 突撃を躊躇しているザックを見て、オルトは剣を構えた。


「どうした? 来ないなら、こっちから行くぞ」


 そして大量のアークを放出しながらザックへと突撃した。


「くつ!!」


 オルトの攻撃は凄まじく、ザックはなんとか受けるも、受けるたびに身体を飛ばされた。


「がっ!! ぐうっ!! ぐをお!!」


 オルトはザックを一度空中へ叩き上げるとすぐさま後を追い、今度は地面へと叩き落とした。


「ぐはあっ!!」


 そしてザックがオルトを見上げると、オルトは再びアークを燃やし、剣からアークを放っていた。


「う!! うわあああああ!!!!」


 ザックはオルトのアークをもろに受け倒れた。


「…………」


 オルトは倒れたザックを見ると剣を納め背を向けた。


「!!!!」


 その時、オルトの脇腹に、後ろからナイフが刺さった。

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