第82話【晴れのちナイフ】
――アミVSトール
アミは数回その場で跳躍した後、着地と同時にトールの側面へと円を描くように回り込みナイフを数本投げつけた。
トールは飛んできたナイフを剣で払い落とした。
アミは縦横無尽にトールの周りを駆け巡り、立て続けにナイフを投げた。 しかしトールは冷静に体の向きを変えながら最小限の動きでナイフを払い落していた。
「ナイフが無くなるまで投げ続けるか?」
「そうかもねっ!」
そしてトールが一本のナイフを払い落とした瞬間、アミはトールの懐に入り、下から顔めがけてナイフを振り上げた。
「はあ!」
トールは身体を反らせてナイフを避けた。しかしアミはそのままトールの背後まで跳躍すると 一回転してナイフを投げた。
トールがギリギリでナイフを剣で弾くと、アミはその隙にトールの周りに落ちたナイフを回収した。
そしてそのままナイフを三本同時に投げつけた。
トールは剣を横に構えると剣の腹で三本のナイフを弾いた。
「!!」
するとその隙にアミはトールの背後へと回り込み、振り向いたトールの胸や腹に拳を連撃した。
「ぐっ! はあっ!」
トールは拳を食らうも強引に剣を横なぎに振ると、もうそこにアミはおらず、頭上に跳躍していた。そしてアミは回転しながら踵をトールへ落とした。
トールは身体を反らせて踵を避けるとアミへと剣を突いた。
「はあ!!」
剣を突いた先を見るとそこにアミはおらず、後ろから声が聞こえた。
「おじさん、こっちよ」
トールはゆっくりとアミの方へ振り返った。
「さすがに今の速さはおじさんにはちときつかったかなー? もう少し手加減してあげよっか?」
「……そうだな、そうしてくれると助かるよ」
そういうとトールは腰を落とし剣を構えた。
するとアミは構えを取ったトールから異様な圧を感じ取った。
「上等……」
アミは再び超高速で動いた。そして瞬時にトールの背後へ回り込むと蹴りを放った。
「!!」
しかしトールはその動きに反応し、アミの方へ半歩間を詰め懐に入ると剣を横なぎに振った。
「くっ!!」
アミは急いで蹴り足を止めると足を最大限に抱え込み剣を躱した、そしてトールが剣を振り上げると後方回転して剣を避け、避け際にナイフを二本飛ばしたがトールはそれを弾き、更に間を詰めてきた。
トールは剣撃を連弾した。アミはそれを軽やかに避けると下から拳を突き上げた。 しかし拳はトールの顔を逸れ、トールは再び剣を振った。
アミはトールの剣をしゃがんで躱すと再び飛び上がり、横に回転しながらトールに蹴りを放った。トールはその蹴りを両腕で防ぐが少し後ろへ飛ばされた。
すかさず剣を構えアミへ向かおうとしたその時、真上からナイフが落ちてきてトールの頬を切った。
「!?」
「あらー、おしい! おじさん、今日の天気は晴れのちナイフよ! 気を付けて!」
(……さっき拳を振り上げたと見せかけてナイフを投げていたのか……)
「そしてまだまだこんなもんじゃないからねー! 覚悟してー!」
アミは腰を低く落として構えた。
(……確かに早い……尋常ではない速さだ……しかし……)
そしてアミが再び動いた、その動きは更に速く、アミの残像が残るほどであった。そして今度はトールの頭上へ飛び上がり、蹴りを連弾した。
トールは腕で蹴りを防ぐと剣を振った。しかしアミは背後へ回り込んでおり、背中へ膝を打ち付けた。
「かはっ!!」
トールはすぐに振り向くもそこにアミはおらず、上を見るとアミは数回転して踵をトールへ落としていた。
「!!!!」
「よっしゃっ!!」
踵に手ごたえを感じたアミだったが、トールは片手で防いでいた。そして剣を突いてきた。
アミは踵をひっかけたままその力でトールの背後へ飛び剣を避け、着地と同時にトールへ飛び掛かり、拳や蹴りを打ち付けた。
「うをおおお!!」
しかしトールはそれを受けたまま構わずアミへと剣を振ってきた。
「なっ!?」
アミは深くしゃがみ込んでトールの剣を避けると起き上がる勢いでトールに蹴りを数発当てた。
しかしトールが構わずに剣を振ると、アミは何とか避けるもズボンの裾を切られた。
「ああ!! このっ!! お気に入りだったのに!!」
アミは横に高速回転し、その勢いでトールへ蹴りを放った。
「!?」
しかしトールはその蹴りを片手で止め剣を突いた。
「くぅ!!」
アミは身体を捻って躱そうとするが、剣は肩あてに当たり、アミはその衝撃で吹き飛ばされてしまった。
アミは地面に転がりすぐさま態勢を立て直したが、 顔を上げると剣をふりあげトールが迫ってきていた。
「この……しつこい!!」
アミは振り下ろされたトールの剣の腹を蹴り軌道を反らすと更に回転し、トールの側頭部に蹴りを入れた。
「しつこい男は嫌われるわよ!! ……!?」
しかしトールは平然と再び剣を振った。
「くっああ!!」
アミは手甲でその剣を受けると吹き飛ばされ、地面へ突っ伏した。
「く、ぐうう、この……」
トールは態勢を直した。
「君の攻撃は確かに速い、しかし軽い……来ると分かっていれば、受けたところでさほど脅威でない」
「……言ってくれるじゃない……」
アミは立ち上がった。
「あたしの攻撃が軽いって……? なら……これでも軽い!?」
アミはアークを放出し飛び掛かった。
アークを放出したアミは一瞬で距離を詰めトールへ拳を放った。
「ぐをおおおっ!!」
トールは両腕で防ぐも吹き飛ばされ家屋へ突っ込んだ。
「はああああ!!」
そしてアミは飛び上がると家屋の屋根を突き破り、倒れたトールの腹部へ拳をねじ込んだ。
「ぐはああっ!!」
トールは口から血を吐くが歯を食いしばり剣を振った。
「はああっ!!」
アミはその剣にアークの込めた拳を合わせはじき返した。
「なっ!?」
そしてアミが再び拳を構えるとトールは転がりながら距離を取った。
アミはすぐさまトールを追いかけ再び拳を打った。トールはまたも両腕で防ぐも 吹き飛ばされ、家屋の壁を突き破り地面へ転げた。
「ぐうぅ……」
そして顔を上げると前にアミはおらず背後へ回っていた。アミはトールの顔めがけて蹴りを放った。
「おおおおお!!」
するとその時、トール全身からもアークが放出され、アミの蹴りを防ぐと剣を振った。アミが後方へ回転しながら避けるとトールはそれを追い剣を振り落とした。
「!!」
アミが剣を避けると振り落とされた剣は地面を砕き、大量の破片を巻き上げた。アミはその破片を蹴りながら距離を取り、ナイフを数本投げたがナイフはトールのアークの圧力で弾かれてしまった。
「ええっ!?」
そしてトールはアークを高めると剣から小さいながらもアークを数発放った。
「!! はっ!!」
アミはナイフにアークを込めてトールのアークを迎撃し、残る一つのアークも大きく飛び避けた。そしてアミが着地すると両者見合った。




