第78話【悪魔の子】
「ラリィもっと!! もっと急いで!!」
「うううぅぅ!!」
カラとラリィは全速力で避難所へと向かい走っていた。
「ぎゃああ!!」
「うぎゃああ!!」
「!?」
その時、ラリィの耳に人の叫び声が聞こえてきた。
「うわっ!!」
ラリィがその声に気を取られるとカラとの速度が合わず、ラリィは腕をロープで引かれ転んだ。
「ラリィ!!」
「うぅ……!!」
すると起き上がろうとするラリィの目線に、兇獣に襲われている王国民が目に入った。
「う、うわあああ!!」
兇獣を目の当たりにし、恐怖で声を上げるラリィにカラは叫んだ。
「ラリィ!!」
ラリィはカラを見た。
「起きて!! ラリィ!! 走るのよ!!」
「う、うわああ!!」
ラリイは叫びながらも起き上がると走り出した。そして二人は脇目を振らず全力で走った。
「きゃあ!!」
しかしその時、一体のホルネットがカラを襲い、カラは地面に倒れた。
「お母さん!!」
「ヴヴヴヴ!!」
ホルネットはラリィに針を向け襲い掛かった。
「うう、くっ!!」
カラは咄嗟にロープを引っ張り、ホルネットの攻撃からラリィを助けた。
すると今度はカラに向かい突っ込んできた。
「くううぅ!!」
カラはホルネットの針を両手で掴み止めた。
「ヴヴヴヴ!!」
ホルネットは羽根を振るわせ圧しつけた。
「うううぅ……」
針は徐々にカラの顔に近付いてきていた。
「お母さん!!」
「ヴヴヴヴ!!」
「あああっ!!」
カラは足の踏ん張りが効かず地面に腰を落とした。しかし体勢が低くなったことが幸いし、ホルネットの針はカラの顔からは逸れ、その拍子にホルネットのお尻から針が抜け、その勢いで近くの建物に激突した。
「はあはあ!! ラ、ラリィ!! 走るわよ!!」
二人は再び走り出し、そして何とか避難所にたどり着くと戸を叩いた。
「開けてください!! お願いします!!」
すると扉が開き、二人は転げ込むように避難所の中へと入った。
「はあはあはあ!! ラ、ラリィ……」
「はあはあはあ……お、お母さん……」
カラはラリィに目を向けると安心した表情を見せた。
「お、おい……」
その時、避難所の国民達がざわつき始めた。
「こ、こいつ、悪魔の子じゃねえか!!」
「誰だこんな奴を入れたのは!?」
「誰かそいつをつまみ出せ!!」
カラは国民の心無い声に驚愕した。
「そ、そんな……」
そして一人の男がラリィを追い出そうとラリィに近付いた。
「この悪魔め!! とっとと出ていかねえか!!」
「や、やめてください!!」
カラがその男を止めに入ると、男はカラを突き飛ばしてラリィの腕を掴んだ。
バチバチバチッ!!
「うがああ!! いてええ!!」
するとラリィの腕を掴んだ男の手は電撃で弾かれ焼けただれた。
「!!!!」
それを見た王国民は一瞬静まったが、その後、よりいっそう声を上げ、ついにはいたるものを二人に投げつけ始めた。
「悪魔の子め!! 早く出ていけ!!」
「お願いします!! お願いします!! 居させてください!! せめてこの子だけでも!! お願いします!! お願いします!!」
「黙れこの悪魔め!! きっとこいつらは兇獣の手下なんだ!! 早く追い出せ!! 全員食われちまうぞ!!」
カラは投げつけられるものからラリィを守りながらも声を上げた。
「お願いします!! どうか!! この子だけでも!! お願いします!!」
「お、お母さん!!」
「むしろそのガキを追い出せって言ってんだ!!」
「そうだ!! 早く出ていけ!!」
「お願いします!! どうか!!」
「お、お母さん……」
ラリィはロープを強く握った。
「ラリィお兄ちゃん!!」
その時、奥からラリィを叫ぶ声が聞こえた。
「フリル!?」
フリルはラリィの前に出ると手を広げ、ラリィを守るようにして国民に叫んだ。
「お兄ちゃんは悪者なんかじゃない!! どうしてみんなでそんな意地悪するの!?お兄ちゃん達もこの中に入れてあげて!!」
「お、おい……」
「う、うぅん……」
王国民はフリルがラリィ達の前にいる為、ものを投げられずにいた。
「お、おい、お嬢ちゃん、そこをどくんだ、危ないぞ」
「そうだ、そのガキは悪魔の子だ、近付くんじゃない」
フリルはそんな大人達を睨みつけた。
「お兄ちゃんは悪魔なんかじゃない!! わたしには今おじさん達の方が悪魔に見える!!」
「……ええぇ……」
「うぅぅん……」
王国民たちは困り顔で顔を見合わせた。
その時、奥から甲高い声が聞こえた。
「フリル!!!!」
フリルの母親であった。
「ママ!」
フリルの母親は一目散にフリルに近付くとフリルを掴もうとした。
「なにをしているの!! そこからすぐに離れなさい!!」
「ちょっと待ってよママ!! だってお兄ちゃんは悪く!」
パチンッ!
「え!?」
フリルは母親の手を避けるために身体を後ろへ動かした際に、ラリィに触れてしまった。
「ぎゃあ!!」
フリルは叫びながら倒れた。
「きゃああああああ!!!! フリル!!!!」
母親は急いでフリルを抱きかかえた。
「フ、フリル!」
ラリィはフリルの顔を見た。
すると、フリルは恐怖におびえた目でラリィを見ていた。
「フリル……?」
「あ、悪魔……」
ラリィは絶句した。
「あ……」
そしてフリルの母親は叫んだ。
「誰か!! 誰か早くこの悪魔を追い出してー!!」
「!!!!」
「うおおおー!!」
そこにいた国民達は声を上げた。
「悪魔め!! 出ていけ!!」
「兇獣の手先!! おい!! 誰か兵士を呼んでくるんだ!!」
「出ていけー!!」
「出てけー!!」
ラリィはそんな国民達のおぞましい様を見て驚愕していた。
「あ、ああ……うああ……」
そして国民は再びものを投げ始めた。
「早く出ていけー!!」
「悪魔の子め!!」
そして投げつけられたものがラリィの顔面に当たりそうになった時、カラが身を挺して守った。
「あぐう!!」
「お母さん!!」
ものはカラのこめかみに当たり、血が流れた。
「だ、大丈夫よラリィ……落ち着いて……」
「そ、そんな……くっ!!」
ラリィは国民を睨みつけた。
「なんだ!? 本性を出したぞ!!」
「ひぃ!! なんて悪魔的な顔だ!!」
「早く兵士を呼んでこい!!」
カラは慌ててラリィをなだめた。
「ラリィ! 落ち着いて」
「ぐっ!! くうう!!」
バチッ!!
バチバチ!!
ラリィは気を落ち着けられず、次第にラリィの周りからは細かな電撃が飛び、髪が逆立ち始めた。
「うをお!! こいつ!! 何かするつもりだぞ!! みんな気を付けろ!!」
「悪魔め!! お前なんかに負けるか!!」」
「そうだそうだ!! 早くここから出ていけ!!」
すると国民は再びものを投げ始めた。
「ぐうう……お、お前ら……!!」
ラリィの電撃はどんどんと大きくなっていった。
「うおおおお!!」
その時、カラがラリィのローブを引っ張った。
「!?」
そしてカラはラリィを引っ張りながら避難所を出た。
「お、お母さん? どうして?」
カラは溢れる涙をぬぐい、ラリィに答えた。
「こんなところに、もうこんなところにいなくていい!! ラリィ、あなたは母さんが命に代えても守る、だから私達二人で生きていくのよ!!」
「お、お母さん……」
二人は王国の出口へと急いだ、しかし一体の兇獣が二人に気付き迫ってきた。
「ああ!!」
「お母さん!!」
現れたのはカレットだった、カレットはカラに爪を立てるとカラは地面に倒れた。
「うぅ……くっ!!」
カレットはラリィを見ていた、カラは近くにあった棒を拾い、カレットに振り下ろした。
「はあああ!!」
しかしカレットはそれを素早く躱し、更にカラを爪で切り刻んだ。
「あああ!!」
「お母さん!!」




