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インヘリテンス2  作者: 梅太ろう
69/85

第69話【混雑】

「はぁはぁ……」


 ティグはサオを助けるべく、物陰に身をひそめながらガルイード城を目指していた。


「おい、そっちはどうだ!? いたか!?」


「お前たちは向こうを当たれ!!」


 ガルイード兵達はやっきになってティグを探している。


(兵士の数が多い……これじゃあ、いつまでたってもガルイード城にたどり着けない……)


 ティグは更に少し進んだ。


(それに、城にたどり着いたとして、母さんはどこに? 城の牢屋ってのはどこにあるんだ……?)


「!!」


 その時、家の窓を開けた女性と目が合った。


「きゃああああ!! 痴漢よおおお!! 襲われるううう!!」


「なっ!? ち、違う!!」


 その声は兵士まで届いた。


「おい! あっちだ!」


「くそっ!!」


 ティグは走り出した。


「!!」


 しかし正面から兵士が駆け付け、たちまち取り囲まれてしまった。


「く、くそう……」


「ティグ・ミナルク!! 観念してお縄に掛かれ!!」


「ぐっ、うをおおおお!!」


 ティグは意を決し、正面突破をすべく兵士達へと突っ込んだ。


「うをお!!」


 そして兵士達を当身や蹴りで吹き飛ばした。


「ぐはあ!!」


「がああ!!」


「くそっ!! おい!! もっと大勢で掛かれ!!」


「!!」


 大勢の兵士はティグの手足を抑えつけ始めた。


「くっ!! うをおおお!!」


 ティグは腕からアークを放出し、兵士たちを吹き飛ばした。


「はあはあ! ぜえぜえ! くそっ! らちがあかない!!」


 カーガモゥから休むこと無くガルイードまで走ってきたティグは、だいぶ体力を消費していた。


「全員武器を取れ!!」


 兵士たちは剣を抜いた。


「くっ!!」


「掛かれ!!」


 兵士たちは一斉にティグへと斬りかかった。


「くっ! はっ! くうっ!」


 ティグはなんとか兵士たちの剣撃をかわしているが、次第に壁際へと追い込まれていった。


「はあはあ! ぜえぜえ! くっ!」


 ティグは剣に手を添えた。


「よし追い込んだぞ!! 行けえ!!」


「!!??」


 その時、何者かがティグの頭上からティグへと乗っかり、サガネを首に掛けた。


 兵士達は驚きながらも声を上げた。


「おお!! 一新生よ!! でかした!! そのまま抑えつけろ!!」


 そしてティグも驚いていた。


「コイル!!??」


 コイルは小さな声でティグに呟いた。


「剣は使うな、誤って殺しちまったらそれこそもう後戻りが出来なくなる、これを使え!」


「え?」


「そう言うとコイルはティグにサガネを渡し、自ら吹き飛んだ」


「うわあ!!」


 吹き飛ばされたコイルをみたガルイード兵は、ティグに吹き飛ばされたと勘違いした。


「ああ! くそう! おい! どのみち奴は袋のネズミだ! 一斉に掛かれ!」


 四〜五人の兵士がティグへと一斉に飛びかかった。


「!!!!」


「!!!!」


「!!!!」


 その刹那、ティグはコイルからもらったサガネで兵士達を一瞬で全員吹き飛ばした。


「す、すげえ……」


 コイルはティグに見とれていた。


「うをおおお!!」


 そしてティグは兵士達へと向かい突っ込んでいった。


「くそ!! この人数を相手に勝てると思っているのか!?」


「勝てる!! 俺はお前達なんかには絶対に負けない!!」


「こんなことをしてただで済むと思っているのか!? お前も!! お前の母親も!! ただじゃ済まんぞ!!」


「うるさい!! お前らの好きにさせるか!! 母さんは絶対に俺が助け出す!!」


 ティグは次々に兵士達を倒していった。


「くっそお!! おい!! もっと援軍を呼べ!!」


「何人来ようが!! 誰が来ようが!! 俺は負けない!!」


「ティ、ティグ……」


 コイルはそんなティグを見て、今までの自分の後ろ向きな言動と、ティグの絶対に諦めず、自分を信じ切る言動を思い出していた。





 ――――



「いきなりお前の年で入隊なんてないよー! んー! ないない! 絶対なーい!」






「はあ?! なに言ってんだよティグ! そんなの危ねーよ! 兇獣きょじゅうは兵士達に任せておけよ!」






「ティグやめろ! 兵士がやられてるんだぞ!! 俺たちじゃ勝てねーよ!!」





「い、いいのかよ止めなくて!? この王国を出るなんて危険だぜ! ゆっくりでもいいから、この王国で 安全に強くなった方がいいって!!」






 ――――





「俺だって兵士になるんだ! こういう時の為に今まで特訓してきたんだ!」




「今、目の前で苦しんでいる仲間を放って行くなんて俺には出来ない!! ハナ! 待ってろ! 今助ける!」




「コイル……ありがとう!  絶対! 絶対に強くなってくる!」




「俺がやっつけるさ! 今回の戦闘で、また強くなれた、どんどん強くなって、いつか兇獣きょじゅう殲滅せんめつしてみせる!」




「コイル、大丈夫だ、ハナは生きてる! 母さんを助けた後、俺と一緒にハナを探しに行こう! 絶対に! 絶対にハナは生きてるから!!」






 ――――






「…………」


 コイルは強く拳を握った。


 一方、ティグは多くの兵士を倒すも、兵士は次から次へと溢れかえっていた。


「ぜえぜえ! はあはあ! うをおおおお!!」


 ティグの粘りに兵士達も驚きを隠せずにいた。


「こ、こいつ……なんてしぶとい奴だ……ええい! とにかく数で勝負だ! 掛かれ! 掛かれー!!」


 さらに多くの兵士がティグへと襲いかかり、ティグはどんどん息を切らせていった。


「!!!!」


 その時、ティグの足がもつれ、体勢を崩した。


「今だ!! 抑え込め!!」


「くそ!!」




 ドカーーーン!!




「なに!?」


 ティグに飛びかかった兵士達に魔法弾が投げつけられ、兵士達は吹き飛ばされた。


「うをおおおお!!!!」


 そして大勢の兵士達の後方からコイルが次々に兵士達を突き飛ばし、ティグの元へと駆けつけた。


「な!? 一新生!? 貴様!! どういうつもりだ!?」


「ティグ!! 大丈夫か!? つかまれ!!」


「コイル!?」


「くそっ!! 奴ごと捕らえろ!!」


「ハイウィンド!!」


 するとコイルは風を起こし、ティグを抱えて大勢の兵士の頭上を飛び越えて着地した。


「ティグ!! 走れ!!」


 そして二人は全力で走った。


「なあにいいいい!! 追え!! 追えええええ!!」


 兵士達は一斉にティグ達を追った。そして兵士達から走って逃げる最中、ティグはコイルへ話しかけた。


「コイル、お前……大丈夫なのか?」


「……サオさん助けて、その後ハナも助けに行くんだろ? だったら、俺が手を貸さなかったら、一体誰が手を貸すってんだよ」


「コイル……」


「……さっきは殴って悪かったな……ほら、これ飲め」


 コイルはティグにクレアルを渡した。


「それにサオさんはガルイード城の牢屋に投獄されてんだろ? 一度ガルイード城の中は一新生になりたての時に見学で行った事がある、牢屋は地下にある、俺が連れてってやる」


「…………」


「いからほら飲めって、そんな体力じゃあ助けられるもんも助けれんねえぞ」


「あ、ああ……」


 ティグはクレアルを飲み干した。


「ど、どうだ? 回復したか?」


「ああ、いくらかは戻った!」


「はあ? いくらかはって……クレアルでも全快しないなんて……お前、本当に強くなったんだなぁ……」


「ああ! 強くなったよ」


 ティグはクレアルの空瓶を握り潰した。


「え?」


 するとティグは足を止めて兵士達の方を振り向いた。


「お、おいティグ!!」


「む? 足を止めたぞ! きっと疲れたんだ! 行け! 突っ込めー!」


「はぁぁああああ!!」


 するとティグの両足からアークが放出された。


「!!??」


 次の瞬間、またたく間に兵士達の元へと飛び出すと、ティグはサガネ一振りで五〜六人の兵士を一気に吹き飛ばし、一瞬で何十人の兵士を倒した。


 それを見たコイルは驚いていた。


「す、すげえ……」


 そして兵士はもっと驚いていた。


「な、なんだこいつ……き、急に強くなった!?」


 ティグは残りの兵士に目を向けた。


「こんな事をしている暇はないんだ! 一気に行くぞ!」


「くっ!!」


 ティグは兵士に向かい飛び出した。


「!!!! ぐわあっ!!!!」


 その時、ティグが何者かに蹴り飛ばされた。


「うがあ!! だ、誰だ!?」


 ティグが見上げたその先にはフィルが立っていた。

次回第70話【再決】

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