表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
インヘリテンス2  作者: 梅太ろう
65/85

第65話【試験開始】

 数日後、フィルとドリルの二人は組手試験の為、再びガルイード城へと足を運んだ。


 ガルイード城の闘技場には剣技と魔法特性で合格した上位八名の兵士が集められ、その組み手を見ようと他の多くの兵士も集まっていた。


 フィルは対戦相手の付き添いで来ている兵士を見ると、少し驚いた表情でドリルに話した。


「あれは……ガルイード四大隊長のゼレル隊長とリシャルド隊長……なぜわざわざこんな試験にあの方達が?」


 それを聞いたドリルは少しにニヤつきながら答えた。


「まあ……お前だろうな」


「え?  俺ですか?」


「そらそうだろ……その四大隊長の一人、サルバ隊の出身で、さらには今その四大隊長のもう一人、オルト隊にいて、かの英雄メダイ隊長の息子のお前が、まだ新兵の年齢だってのに、これから純兵の試験を受けるんだ、チェックしに来ないわけないだろう?」


「ドリルさん……なぜ父の事を……?」


「あん? うちの隊長が隠し事なんて出来るわけねえだろう、もうみんな知ってるよ」


「そ、そうですか……」


 ドリルは笑ってフィルの肩を叩いた。


「まあ、お前が何者だろうが、うちの連中はみんなお前の実力を、実戦を見たうえで認めてるんだ、要らんことは気にせずに、今日もバシッと一等賞決めてこい」


「は、はい」


 組み手はサガネ【模刀】を使用し、アーク、魔法での攻撃も可とされる。どちらかが「参った」と言うかマスの外へ出る、もしくは審判が勝負ありと判断したらそこで終了。上位三名が純兵昇格となる。


 そして、闘技マス中央へ審判が現れると声を上げた。


「これより第一試合を始める!! オルト隊、フィル・ダラグレット対、ハリス隊、ロワイド・ケール!! 両者前へ!!」


 ドリルはフィルへ声を掛けた。


「お、いきなり出番かい、相手はハリス隊長の所の子か……確か剣士って言ってたな……うまく魔法でかく乱してこっちのペースに持っていくんだ」


「……はい」


 フィルはマスの中へと入って行った。


 マスの中央では早々とロワイドが待ち構えていた。


(こいつが噂のフィル・ダラグレット……まだまだ子供じゃないか……こっちは昨年落ちてもう後がないんだ、悪いが遠慮なく行かせてもらうぞ!!)


 そして審判が二人にルールを説明すると手をあげ叫んだ。


「始め!!」


 ロワイドは開始と同時に強く踏み込み一気に距離を詰めてきた。


(恐らく奴は魔法で対抗してくるはず! アークを変換させる前に一気に叩く!)


 ロワイドがサガネを上段に挙げたその瞬間、フィルは一瞬で懐に入ると左手で剣の柄を抑えた。


「なに?!」


 サガネを振り下ろせないロワイドが一瞬動揺すると、フィルはそのまま足を払いロワイドを仰向けに倒した。


「ぐわはっ!!」


 倒れたロワイドが顔を上げると、喉元にはサガネが突き付けられていた。


「うぅぐ……ま、参った……」


 そして審判がフィルに勝ち名乗りを上げた。


「勝者フィル・ダラグレット!!」


 フィルは一礼を済ませるとドリルの元へと戻った。ドリルは偏屈な顔をしながらフィルへ声を掛けた。


「余計なお世話だったみたいだねー……」


「いえ、相手が魔法を警戒しているならと思えたので、助かりましたよ、ありがとうございます」


「ふーん……」


 ドリルは偏屈な顔を続けた。


 その時、一人の男がフィルに声を掛けた。


「フィル!」


「トール副隊長!」


「一回戦突破おめでとう、ますます腕を上げたようだな」


「とんでもないです、ありがとうございます」


 偏屈顔のドリルが呟いた。


「どうでもいいけどなんか俺と対応全然違いやしないか……?」


 二人はドリルそっちのけで会話を続けた。


「うちのと当たったらお手柔らかに頼むよ」


「サルバ隊からは? 誰が出場するんですか?」


「ああ、うちからは二人、ラゼルとピークだ」


「ラゼルさんとピークさん、あのお二方が?」


「ああ、二人とも初の試験だからな、気合十分だよ、お前がうちにいた頃はよく組手をしていたろう? あの頃は互いに良い勝負をしていたみたいだが、お前がうちを出て半年、どちらにどのくらいの差がついたのか、楽しみにしているよ」


「はい! 胸を借りるつもりで挑ませていただきます!」


 その時、会場がどよめいた。


「!?」


 三人が闘技マスの方を見ると、トルド隊のジープが審判に抑えつけられていた。


「ジープ待て!! それまでだ!! それ以上やると失格にするぞ!!」


「ひゃははははー!!」


 そしてその足元には血だらけで倒れるゼレル隊ヒューズの姿があった。


 ジープは倒れたヒューズに向かい、更に罵倒をした。


「ひひゃはははは!! 参ったする間もなかったなあ!! 次までには参ったする訓練くれえしておくんだなあ!!」


 それを見たドリルはまじめな顔に戻りフィルに声を掛けた。


「あいつがこないだ言っていたトルド隊のジープだ……やはりまじめに相手をするつもりはないらしいな、卑怯な手も平気で使ってくるぞ、用心しろよ」


「……はい」


 そしてその後、サルバ隊のラゼルとピークは共に、リシャルド隊ウッド、ハリス隊サッジを下し、勝ち上がった。


 そして準決勝を前にフィルは二人の元を訪れた。


「ラゼルさん、ピークさん」


「おおフィル! 久しぶりだなー!」


 ラゼルが嬉しそうにフィルの肩を掴んだ。


「お久しぶりです!」


 そしてピークが背中を叩いた。


「見たぞさっきの試合、相変わらずクールにキメやがって!」


「ピークさんも凄かったですよ、次、よろしくお願いします」


「そうだな、可愛い後輩には悪いけど、お前に遠慮してるとやられっちまうからな、最初から全力で行かせてもらうぞ」


「はい! それと……」


 フィルはラゼルを見た。


「ああ……ジープだろう? なあに、任せとけ! なんだかんだ素行が悪いことを理由に試験に落ちてるって言ってるみたいだが、結局のところは実力が無いだけだ、俺が本物ってもんを教えてやるさ」


「……はい」


 フィルは一抹の不安を隠しきれずにいた。


「なんだぁ? 俺の実力が信じられないってのかー? 三位決定戦では実力が出し切れないくらいあの野郎は俺がボコボコにしといてやるから、そうすりゃ俺ら三人で一緒に純兵昇格だ!」


「は、はい!」


 三人は互いに握手をし、その場を離れた。


 そして暫くの時間を経て、審判が闘技マス中央に現れると声を上げた。


「只今より準決勝第一試合を行う! オルト隊、フィル・ダラグレット! サルバ隊、ピーク・レッドローグ! 前へ!」


 二人はマスの中心に進むと、一礼し、構えた。


「始め!!」

次回第66話【予感】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ