ゲスト:女神さま(異世界人材派遣)
メイン「はい、こんばんは。みなさん、どのような夜をおすごしでしょうか? おいしい晩ご飯のあとに、気持ちのよいお風呂のあとに、誰かに追放された悲しみのあとに、『異世界ラジオ』の時間です。今回のゲストは……なんと、多くの現代の人間を異世界に送り出した『女神さま』です」
女神「はい。こんばんは、現代のみなさん。みんなの癒やしのアイドル。女神さまで、ございます」(←マッシュルームみたいな髪型)
メイン「(マッシュルームみたいな頭なので笑いそうになる)……はい。お忙しいなか、お越しくださいましてありがとうございます。今回は夜の都会の町を車で走りながら、女神さまにいろいろとお話をうかがおうと思っております」(←ハズレスキル『感情抑制』発動中)
女神「まあ、すてきな都会の夜でございますわね。異世界と違って、現代はこんなに発達してますのね」
メイン「現代人を異世界に送ったあとは大変でしょうね。昔はトイレがなく、いたしたあとは、ベッドの下においといたと聞きますからね。たまったらそれを外に捨ててたとか」
女神「大丈夫。私が送り出した異世界は『なんちゃって中世』の『ナーロッパ』ですから。ちゃんとトイレも完備してますし、へたしたらコンビニだってあります」
メイン「ええっ!? そうなんですか!?」
女神「もちろん。そうでなければ、現代っ子は、すぐに異世界に行くことを嫌がりますからね。ちゃんと徒歩数分内においしい食堂があって、駅みたいな馬車やドラゴンの移動手段があって、かわいい美少女、もしくは美男子を付けてないと、異世界に行ってくれないのです」
メイン「好条件ですね……。私も異世界に行きたいぐらいだ。異世界の、現代の人間への需要はまだ続いているんですか?」
女神「まだ一定の需要はありますけどね。ただ最近は、仲間を追放された、モブ人間に需要がありますね。彼らにチート能力を与えて、元仲間を『ざまぁ』させるのに、需要があったりしますね」
メイン「そりゃまたなんで?」
女神「現代の人間が、ちょっとわがまますぎたってのがありますけどね。いちいち現代から連れてこなくても、もともとその異世界にいた人間を使ったほうが、効率が良いというのもあります。仲間を見返したいらしいので、悪い条件でもやってくれますからね。つまり、コストが安くすむのです」
メイン「はー、そうなんですね。服装業界が布をケチった服を作って、モデルや芸能人を使って世間にはやらせ、一般人に売りつける手法と似てますねぇ」
女神「異世界業界も成熟しつつありますからね。このままではもうからない。常にコストを安くし、一般人にどうはやらせるかを考えねばなりません」
メイン「でもこれだけ異世界に現代人を送ったら、さすがに供給過剰気味でしょう? 異世界からの依頼もどんどんなくなっているのでは?」
女神「大丈夫です。現代人を異世界に送り出したら、彼ら、もしくは彼女らは、そこに定住してしまうようですからね。『スローライフ』というやつですか? とりあえず『すげぇ』とかほめとけば、魔物からも自分たちを守ってもらえるし、あとは頭の弱いアイドル的な美少女、もしくは美男子をくっつけとけば、現代に帰ろうとしませんからね。まだまだ現代人を異世界に送る需要はなくならないのです」
メイン「やはり都会のほうで需要が?」
女神「いいえ。田舎のほうで需要が大きくなっています。地域活性化のためですね。旅人が『俺ツエー』見たさに、じゃんじゃんお金を落としてくれるみたいですからね。もう引っぱりだこですよ」
メイン「不便な田舎より都会のほうが、現代人には人気なのでは?」
女神「うふふ。彼らに異世界の田舎と都会の区別はつきません。そこは教えていませんからね。あとは異世界の人間が、何も知らない現代の人間を洗脳していけばよいのです。そして彼ら、もしくは彼女らはそこを『楽園』だと勘違いし、一生をすごすことになるのです」
メイン「異世界に送ったあとの現代人は、次の異世界の仕事に使えないんですねぇ。それぐらい現代に夢がないということでしょうか? 探せばいっぱいあると思うんですけどね。そうなると女神の仕事も安泰ですねぇ。異世界の人から高額な紹介料とか取ってるんでしょう?」(←悪い顔)
女神「まあそうですね。おほほほほほほほ」(←悪い顔)
メイン「はい。今回のゲストは『女神さま』でした。異世界業界の裏事情とかが聞けてよかったですね。それではみなさん、よい夜をおすごし……」
女神「待って! あの子! あの若くて、使えそうな子! ちょうど今、異世界に人材が必要なの! ひき殺して!!!!」
メイン「なんと!! 了解です!! あなた運がいいですよぉぉぉぉぉぉっ!!!! ひゃっはああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!」(←日頃の鬱憤を発散)