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理事長の息子は権威を笠に着て練り歩く  作者: 大魔王ダリア
第一章 「想いの灰は見つからない」
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不良長を尋問

試みで、ギャグ成分多めで書いてみました。ギャグって人に見せるの怖いですよね。

校舎裏不良族の差配役的な存在である石田角之介は、隣のクラスに属している。一年のころ、女関係でトラブルが起き、その仲裁に入ったのが初対面だ。相手は上級生で、言い分としてはどっちもどっちの低レベルこの上ない諍いだったが、同級生の荒くれを手懐けるのは悪くないだろうと思い、味方してやった。俺としては扱いやすい手駒が一つはいればよかったんだが、石田は案外人望があった。奴の元にはクラスに一人や二人はいる短気で粗暴で他人となじめないはぐれ者が小規模ながら集まった。そんな石田に予想以上に懐かれた俺には、いつの間にか奴が稼いできた金の上りを受け取るような伝統が芽生えた。正直真面目にバイトしてたほうが二倍くらい稼げるんだが、カツアゲ犯とは思えない妙に輝いた眼で現金を手渡されると、どうにも拒めない。俺って、目の輝きに弱い。会長しかり、石田しかり。


さて、そんな石田角之介に話を聞かねばならない。石田には三時間目をさぼってもらうことにした。会長はかなり不満顔だったが、文句は言わなかった。まあ、俺らも理事長のお墨付きがあるとはいえ欠席中だからな。


「初鹿野さん!何か用ですか!今月のあがりはもう少し待ってください、頑張りますから!」

隣に生徒会長がいるのが見えていないのか。

「なぁ、お前朝来て何か不思議の思ったことはないか」

「はい!俺らの会所をマッポ共が封鎖してやがりました!文句言おうと思いましたが、やめました!」

「なぜ」

「後が怖かったからっす!」

こういうやつだ。石田以下、校舎裏不良族はみなこんな調子だ。疑うのもばからしいが、有用な情報は得られるかもしれない。

「お前ら、昨日は何人集まった?」

「えーと、確か四人ですね。松田と、竹田と、梅田と俺です」

なんだそのふざけたネーミングレパートリーは。

「いつ頃まで居座ってたんだ?」

「うーんと、十九時半くらいに帰ったっす」

犯行は十九時前後、焼却炉の稼働停止つまり死体発見時刻は二十二時だ。だが臼間の最終下校時刻は二十時だから犯人は十九時から二十時まで学校に残っていた生徒になる。そこだけみると当然コイツらが一番怪しい。

「そうか。お前ら、昨日焼却炉のそばに行ったりしたか」

「行ったっす」

まじか。

「え、もしかしてマッポ来てんのそのせいっすか」

「お前らが何をしていたかによる」

石田は、頭を掻きながら恥ずかしそうに口ごもる。

そこで、今まで黙っていた会長が口をはさんだ。

「なにをしていたの。言いなさい」

いきなり高飛車に命令口調か。石田はかなりムッとしたようで唇をゆがめ、睨みつける。あまり、怖くない。

「気持ち悪い顔をしていないで、さっさと言いなさい」

「おい舐めた口聞くなよな、この阿婆擦れが」

「今、何と言ったかしら、申し訳ないけど聞こえなかったわ」

「阿婆擦れ」

「あら、私はこれでもその「阿婆擦れ」や貴方みたいな「能無し破落戸」を根絶しようと、日々努力を重ねているつもりよ。そもそも貴方に、私を阿婆擦れと呼べるだけの清潔さがあるのかしら、自分の毛深い胸によく問いかけてみたらどうかしら」

「へっ。お前が陰でなんて言われてるのか教えてやろうか、ああん?」

「さぁ、どうせ貴方みたいなあぶれ者が吐いた雑言の類なんてきにしな」

「【百合の女王(リリーティアラ)】」

「は。なんで」

「そんなの決まってるだろ。副会長に【麗剣士(モダンダルク)】富永懐希、書記に【猛毒妖精(ヴェノムピクシー)】】宮本尖華、会計に【数術師(オーバーカルク)】金尽房江と生徒会メンバーに悉く美少女を迎え、唯一空席になった庶務にはお眼鏡にかなう女がいないから、二度と埋まることはないって言われてるぜ。【永遠の空席(イーヴィシュニーシュ)】ってな」

おいなんだそのふざけたネーミングセンスは。

「だれよ、そんなこと言ってるやつは」

「クラスの端っこで常時うずくまってるような陰キャ共だろ、どうせ」

「そうっすね。命名者は俺っすけど」

「死ね」

今のは会長だ。俺も死ねばいいと思ったが。

「あ、ちなみに生徒会室のことは【白百合の楽園城(リリウムエデン)】って」

「話を戻すぞ、焼却炉の話だ」

「ええ、まだ話したりないっすよ」

「そうね、貴方がどんな思考回路でそんな奇妙奇天烈破天荒破廉恥な名前を私たちにつけたのか、詳しく聞きたいわ」


ふう。


「角」


「あ、はい黙ります」


「祭」


「ッ!な、何よ」

「おちつけ」

「・・・・・・悪かったわ」

よし。俺は親父との社会学習で、賄賂の使い道や隠蔽のやり方などとともに効果的な威圧の仕方も教わった。まぁ虚仮脅しにしかならんが。

「はぁ、疲れたぜ。で、結局焼却炉の近くで何をしてたんだよ」

「まぁ普通に、踊ったり歌ったりしてたっす」

「それは普通なの?」

「わりかし普通だ。昨日は結構盛り上がったけど。竹田のボイパが極まってたから」

「最近の不良って、ボイスパーカッションを極めてるの?」

「松田が竹笛無茶苦茶うまくて」

「最近の不良って、竹笛が上手に吹けるの?」

「梅田はDJ立派に勤めてましたし」

「最近の不良って、ディスクジョッキーが勤められるの?」

「あとはまあ、皆でわいわい騒いでたっすけど、そんなに大問題になったんすか?ごみはちゃんと持ち帰ったんすけど」

疑問だらけの会長は相手にせず、不安そうに俺にい聞いてくる。ごみ持って帰ったのか。

「ああ、昨夜あの焼却炉で殺人が起こった」

「へ」

「一番に疑われるのは、もちろんお前らだ」

「そ、そんな、酷いっすよ初鹿野さん。俺らは虫くらいしか殺さない優しいヤンキーっすよ」

「ああ、そうかよ。でもな、少なくとも親父はお前らが一番怪しいと思ってるぜ」

「ええっ。何とかとりなしてくださいよ、初鹿野さん。今月のあがり全部差し上げますから」

「やだよ、めんどい」

「そんなぁ。初鹿野さんは、俺らの味方っすよね、ねぇ」

「んなわけあるか」

泣きそうになる、優しいヤンキー。あ、泣き出した。そのまま嗚咽を漏らしながら部屋から走っていなくなってしまった。

「ねぇ。私が言うのもなんだけど、かなり酷い扱いね」

本当にお前が言うな。

「見ての通り、呑気で危機感のきの字もねぇ幸せな野郎だ。あそこまでしねえと、自分が殺人の容疑者なんだって理解しねえだろ」

「・・・」

なんかもの言いたげにみてくる会長。

やっぱり、俺は輝いている瞳は苦手だ。


殆どまともに役に立つ情報は得られなかったが、あいつらが四人で踊ってたのはわかった。現場に残されていた足跡は八種類、残り二種類ある。焼却炉に足を運ぶ人間なんて多くはないから、残り二人、何かしら関係してくる生徒がいるはずだ。


「さて、昼には桂間先生と話せるはずだ。今のうちに飯食っとけ」

「そうするわ」



四限目開始のチャイムが鳴る。

そういえば、石田の奴教室の方向に走っていったが、授業に出るつもりなんだろうか。真面目な奴め。

というわけで、下っ端不良?キャラの石田君が登場です。石田君なんか小者っぽいですし実際小者ですが、不良長なだけあって体つきはごついです。普通に怖いです。でも、小者です。そもそも、主人公が小者だし。

石田君は会長と同じくレギュラー枠です。次回登場の桂間先生はたぶんこの章の使い捨てです。

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