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その後ー紅の章

R15案件。

艶っぽい表現が出て参ります。

苦手な方の為に一応、ーーーで切ってはあります。


「ヴィンフリート、お前はここに居ろ。万一来客があれば俺は忙しいと追い返せ。相手がトリスタンでも容赦は要らん」


自国の王であっても平然と呼び捨てられるのは、偏に師弟関係故。


それを知る数少ない内の1人であるヴィンフリートは、頷くと椅子に腰を下ろした。


「ルナイリス嬢。申し訳ないがあちらの部屋へ」

彼女を連れて隣の部屋へ入る。部屋の扉はほんの少し開けておく。





そこはー寝室。


ベッドを見た彼女が驚いたように身体を固くする。

…ベッドに腰を下ろして出来なくもないが、自分の理性が保たないだろう。


寝室の奥のクローゼットを開けると少し弄る。

ベッドの脇からカタンと音がして、床が外れた。そこに手を入れてレバーを引くと。


「わ、隠し部屋ですか?」

瑠凪は吃驚して目を瞠る。開いた扉の奥は、本、本、本…。

「稀少な魔術書などもあるのでな。目立たん場所に隠さねばならん」

「わたくしなどがお邪魔しても…?」

「気にせずとも良い。私はそなたの師になる訳だ、こういった知識なども教える必要があるからな」



なるほどといった体で頷くと、瑠凪は部屋を見渡した。6畳ほどの部屋に机と椅子が2つあるだけで、後はびっしり本で埋まっている。


戯れに1冊引っ張り出してみようとしたが身体がふらつき、リーンハルトに寄りかかる感じになってしまう。


「も、申し訳」

謝罪を紡ごうとした唇をリーンハルトの指が塞いだ。

「気にしなくても良い。…さて、その熱を下げる手段だが、魔力ちからを流して謂わば中和する訳だ。だが、手を繋いだだけでは流す量が足りないらしく弾かれてしまった。故に」


リーンハルトは言い辛そうに言葉を紡ぐ。


「量を増やす為に、更に広い面積の肌を合わせる、つまり、互いに上半身裸になって抱き合うか、ないしは」


ルナイリスの唇を塞いでいた指を外すと己が唇に触れ

「粘膜、1番やり易いのは唇だな、それを深く合わせるかどちらかになる。未婚の令嬢にさせる事ではないのは重々承知しているが、すぐに終わらせるならこの2つの方法しか無い。2ヶ月か3ヶ月寝たきりで良ければ1日おきに上級のポーションを飲んで…という方法もあるが、訓練も何も出来んし、お前に掛かる負担も相当だ、あまり勧めん。俺に掛かる負担はどちらもさほど変わらんから、俺の事は気にするな。お前のやり易い方で良い。お前が選べ」


最後の方を半ば早口でまくし立て、ふいっと瑠凪から目を逸らす。


瑠凪は書棚に寄り掛かるリーンハルトを見ながら考え込んだ。


目の前の男性は、恐らく自分の実年齢より一回り程度は年上だろう。

ほぼ見ず知らずの男性と、上半身裸で抱き合うか、キスか。

普通ならキス一択なのだが、あの説明からすればただのキスでは済まないはず、恐らくはフレンチキスレベルが必要な筈だ。

そんなハードなもの日本むこうですら経験は無い。


(想像だけで頭が茹だりそう)


正直、相手に選択を委ねたいが、そうすると、万一誰かの耳に入った場合、未婚の女性に不埒な事をしたと処罰対象になってしまったりしてしまうかもしれない。

そんな風に思えてしまい、瑠凪は再度眉をしかめた。




(…あー、もう! 考えるの、止め!!)


「あ、あの」

「…どちらにするか、決めたか」

リーンハルトが歩み寄って来る。


「…いえ。どちらにしても羞恥に苛まれるのは同じですので、くじ引きにしてしまおうかと。反故の紙などここには有りませんか?」

「紙? …これで良いのか?」

「…こんな良質な便箋でなくとも…。書き損じで構いません、端を少し使うだけですので」


ふむ、と顎に手を当て、傍の塵箱から調べ物の際の書き損じを1枚引っ張り出すとルナイリスに渡す。

瑠凪は渡された紙から小さめに2枚切り取った。それをリーンハルトに見せた。

「こちらは白ですので裸ということに致します。もう一つの字のある方は接吻くちづけという事で」

そう説明すると、紙片を小さく折り畳む。

「手をお出し頂けますか?」

言われてリーンハルトは意味が掴めぬまま手を差し出す。瑠凪は紙片をその手に渡すと、

「左右の手に1片ずつ持って、…こう、両手を突き出して頂けませんか?」

「そんな間怠っこしい事をせずとも俺がどちらかを選べば良いのでは?」

「…それで大丈夫でしょうか? 事が事だけにつまらない横槍が入って面倒事になったりしませんか? 気が進まないのを無理強いした…という難癖を付けられては殿方の方が不利では?たとえ形式であっても、わたくしの側がお願いをした…あくまで選択はわたくしが、という建前を取った方がご迷惑をお掛けせずに済むかと思うのですが」


あまりの気の回しようにリーンハルトは肩を揺らした。

…2人があれだけ庇うのも分かる気がする。


「気遣いに感謝する」

短くそう答えると紙片を持った手を彼女の前に突き出した。

瑠凪は少し悩んで躊躇いがちに左手に触れる。

リーンハルトはぱっと左手を開いた。

色付きの紙片が現れる。


色付くちづけか」

ふむ、と少し考えると、リーンハルトは彼女を抱き上げ、机の上に座らせた。自分自身は椅子に座る。思ったとおり、高さが丁度良い。

1度寝室に戻ると、冷たい水を入れたグラスを取って来て彼女に差し出した。


「あ、あの…」

「ん?」

「洗面所はありませんか? 口だけ嗽ぎたいのですけど…」

遠慮がちに紡がれる言葉に、男女の違いをしみじみ思う。


…瑠凪の本心としては、先刻サンドイッチなども食べたので歯も磨きたいし、出来ればフリ◯ク辺りも欲しいところなのだが無い袖が振れる訳もなくて。


「ベッドの脇の扉を開ければシャワールームがある。そこで我慢してほしい」

そう言われて、もらったお冷やのグラスを持つとシャワールームへ行く。

丁寧に嗽をしてから隠し部屋へ戻る。


待っていたリーンハルトから注がれる視線にドキドキする。


改めてテーブルに腰掛け直すとリーンハルトと視線が絡む。


「では、始めようか」


ーーーーーーーーーー







リーンハルトの指が瑠凪の頤に掛かる。

ゆっくりと顔が近づいて来る。


ふわりと唇が重なった。

舌で唇を叩かれ、瑠凪は怖々と唇を開いた。

リーンハルトの舌が入って来るのを、身体を強張らせながら受け入れる。


リーンハルトは柔々と瑠凪の口腔を弄った。

深部で滾る彼女の魔力に注意を集中させる。


貫くべきか、覆うべきか。


魔力の質を見定めながら考える。

…どうしても響いてしまう水音は、意識から排除すべく努力して。


少しアプローチしてみたが、どちらも大差なく出来そうだ。


「んんっ…」

官能の色が宿る吐息が彼女の口の端から零れる。

危険な騒めきが背をよじ登って来るのを、爪先を動かして必死で散らす。

より、注意を集中する必要のある手段おおうを取ることにして。

体内の魔力を高め、彼女の深部の魔力を覆うことで、その深部で滾る炎を鎮める手法だ。


角度を変えながらより深く接吻くちづけ、魔力を更に注ぎ込んだ。


少しずつ、少しずつ、熱が引いてゆく。

それに反比例するかのように、水音は大きくなり。


恐らく、第三者に見られたならば言い訳が出来ない程の煽情的な色香が、隠し部屋を支配していた。


ーーーーーーー





抱き抱えていた身体が、熱と力を失い、ぐったりと腕の中へ落ちて来る。




ようやく、おわった。




彼女の口元をハンカチで拭う。自分の口は自分で舐めておけば良い。



本音を言えば、彼女はヴィンフリートに引き取らせてシャワーを浴びたい。燻る情欲を散らしたい。


…とはいえ、そうも言ってはいられまい。




取りあえず彼女をベッドに横たえ、顔を洗って気を取り直してから、ヴィンフリートの元へ向かう。



「待たせたな。何とか落ち着いた。…で、後どうする? 時刻は遅いが、連れて帰るか?」

「…ドレス姿では休ませるにも可哀想ですし、かといって、自分が手を貸す訳にもいきませんので、出来れば帰りたいと」

「分かった。…で、明日は来れるか?」

「明日は難しいと思います。末の弟と出掛ける約束をしておりましたから」

「末の? …ああ、確か、伯爵の再婚相手との間に幼子がいると言っていたな」

「はい。弟も随分懐いていますので、約束を破るのは哀れかと」

「なるほどな。では明後日はどうだ?」

「特に予定はありません」

「ならば、明後日の午後、昼食を済ませた頃に来い。…ああ、お前たちの勝手については改めて処分を言い渡す。お前たちが素直に俺を呼んでいれば、とうに帰れていたはずだからな」


「…は、申し訳ございません」

「詫びは彼女に言え。俺は部下の尻拭いが仕事だ」


ヴィンフリートは片膝をついて頭を垂れ、謝辞を表す。

その頭をリーンハルトはぽんぽんと叩いた。


「さて、馬車の仕度は出来ているか?」

「いえ、時間が読めなかったので1度帰らせました」

「そうか…。ならば一緒に乗って行け。邸へ回ってやる」

「ご厚情、感謝致します」

「可愛い弟子の為だ」

「部下の為ではないのですね」

「独りで帰れん部下なんぞ要らん」


軽口を叩きながら帰り支度を整える。







「しかし…」

馬車の中でリーンハルトは呟く。

気を失っている瑠凪を肩に寄り掛からせた状態のヴィンフリートは顔を上げた。


「覚悟しておけ、ヴィンフリート。かなり面倒なことになるぞ。ファビアンの奴、どこかへる気満々だ。…恐らく候補者の筆頭はアレクシスだろうな」


その言葉にヴィンフリートは顔を強張らせる。

リーンハルトはシニカルな笑みを浮かべた。


「1度のミスが取り返しのつかない事になる。…人死の出ない形で最悪の経験が出来たな」









こんな区分けで大丈夫なのか…不安。

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