表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/46

プロローグ

(ふう、なんか疲れた…)


引き出物の包みを持ち替えながら、瑠凪るなはそう独りごちた。


従妹の結婚式。

比較的親しくしていたので二次会までは出たが、三次会はきっぱり断り、飲みまくる気満々な弟たちは放置して1人帰路に着く。


何故か複数の新郎の部下だか同僚だかに付きまとわれ、げんなりしながらの帰り道である。


(ドレスアップしたその気満々な女性たちいっぱいいたじゃない…)


ショウウインドウに写る自分を見ながら溜め息を吐く。

亡き母の形見の縹色の辻ヶ花の訪問着。

さすがに三十路越えて振袖はないだろうとのチョイスだったのだが、弟たちからは地味過ぎると非難轟々で。


いい人を捜せと弟たちは騒ぐが、結婚式は合コンではないはずだ。…そう。たぶん。





…溜め息を量産し過ぎて頭痛すらして来た。


益体もない事を考えながら歩いていたからだろう。どことどう間違えたのか、眼前に高い塀がそびえる。


ー家に帰るのに迷子になるなんて幾つよ!


自分に呆れてツッコミながら、勢いよく回れ右する。


ーーー!!!!


みちが、ない。


確かに歩いて来たはずの道が、無い。


360度回っても、塀に取り囲まれた状況は変わらない。


何で?!


あまりのことに混乱していると、目の前の塀がこれでもかとばかりに眩く輝き出した。


幾ら見回しても埒のあかない状況に、こめかみを抑えながら考える。


(えーい、ままよ!)


他に何も思いつけず、眩い塀に触れる。


塀は柔らかく溶け始め、瑠凪の身体を飲み込んでゆき、そしてー。


何事もなかったように、ただの路地に戻った。


見ていたのは冴えかな夕月のみ…。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ