(そして七海の逮捕エピローグ)
ShadowsⅡ7(そして七海の逮捕エピローグ)
七海の方は堀田達と戦いたく無くなって来ていた。だが堀田達はと言うと七海対策の為にShadowの薬を使わないでもテレパシーや他の能力が使える能力者を探そうとしていた。その為北野亜里沙とジェニーの能力を使って世界中に呼び掛けていた。その事は七海側に覚られれば妨害をして来るかも知れ無いとは思っていたのだが、その兆しは無かった。と表向きはカラオケとかをいつものキャバクラでやりながら出来ると言うのが亜里沙にもジェニーにも苦痛では無いと言う事だ。『誰か聞こえますか?この声が聞こえている方は返事をして下さい』それをジェニーが英語に変えて繰り返す。
その声に七海側のジェニファーが反応した。『そんな弱いテレパシーで誰を呼んでいるの?やはり仲間を集めているのね』とテレパシーで返して来た。『あなたたちと話す事はもうありません』とジェニーは言い『それに姉妹とはもう思っていません』とも言う。ジェニファーは『それなら勝手になさい』とテレパシーを切ってしまった。
堀田は亜里沙とジェニーにテレパシーだけに頼らずS機関の尾形に連絡してテレパシーの増幅器と言うのが開発出来ないかを問い合わせていた。それは試作機としてはあると言う回答だった。プロトタイプでどんな副作用があるかを調べていたがそれを詳しく調べていられる状況では無い様だと尾形の一存で一基だけ借りる事が出来た。その形状はと言うと普通のヘッドフォンに似た形で見た目には音楽を聴いているとしか分からない。
一方の七海の側では七海の思惑とは違って他の能力者たちをアメリカでジェニファーや瑤子たちが増やしていた。アメリカではアルファ。ベータ、ガンマの3人がそれを察知していた。ガンマと呼ばれる女性はテレパシストだった。と同時に氷の冷却系の能力も持っていた。アルファは黒人だが元軍人能力はShadowsの中で初めてのテレキネシスが使える。(テレキネシスは山口美咲もShadowの薬を飲み夢だけで使えていた能力を現実の能力にしていたがその事はおいておこう)後はベータだが雷では無い電撃の能力があった。あとアルファ、ベータにも少しだけだがテレパシーの能力があった。
ジェニファーと瑤子他数十人の能力者がいる隠れ家を見つけられてアルファたちによって奇襲された。もちろんアメリカなので銃は当たり前だがマシンガンで攻撃されたジェニファーたち。だがとっさにテレキネシスでバリアを張って銃弾を止めてしまう者がいた。アルファーたちは自分たちだけで無くてSWATと共に攻撃をしたのだが銃は無効化されたと知ってSWATたちはたじろぐ。次は七海側の攻撃だ。火、雷、氷、テレキネシスでの物理攻撃。それらをアメリカ側のShadowsはそれぞれの能力で躱す。テレキネシスには同じ能力で、火には氷を、氷にも氷で、雷には相手深くに潜り込んでの電撃をと、能力を持っている者ではShadowsの人間は少なかったが圧倒的な七海側と引けを取らないで応戦していた。
七海側の人間をほとんどは逮捕出来たが主要な人間にはまたも逃げられた。今回も七海が裏からテレパシーを使いながら指図して先を読んでいたようだ。
増幅器のお蔭かアメリカからロシア、中国、中東、EU、アフリカなどにも少数だが確実にShadowsの人間は増えていた。日本からの呼びかけだけで無くてアメリカではガンマが世界中に呼び掛けていたし、他の国にもS機関のような超能力を開発する。あるいは利用しようとしていた一般には知られていないその国独自の組織があったのだ。それが今回の七海側のような他の国への介入に備えるのは至極当たり前の事だったのだ。他の国でもテレパスはいて能力者探しを始めていた。
七海はと言うと予知の能力だけで無くてやはりテレパシーの能力が少しだけ出て来ていた。それはいつも近くにテレパシーの能力を持った人物が居たからかも知れない。七海は日本にいたが近くにいるテレパスは杏子だけだった。七海は堀田達ともう話し合う必要があるのではと杏子に聞く。そうですね。時既に遅いかも知れませんがShadowsの者たちと話してみるのも悪くは無いと思いますと話す。そう言うと杏子は堀田に1人で来て欲しいと時間と場所を杏子に伝える。場所はオープンカフェのある所で時間は昼間PM3:00と言う事に。
堀田は皆に説明して罠かも知れないがこの際徹底的に七海と話し合う必要があるかも知れない。これ以上双方に犠牲は出したくないからだと話す。
オープンカフェにPM2:55に着いた堀田。一人でと言う事だが七海も1人だけとは限らない。要所要所に浅倉、ジン、美咲が配置されている。亜里沙とジェニーはワンボックスの車の中で監視カメラで堀田を見ているが待機だ。相手はテレパシーを使う。こちらもテレパシーを使える者が2人。こちらは無線を用意してもらい各人に着けられている。
七海が現れた。杏子も一緒だ。七海は堀田を見て久しぶりだな。もうあれから何年経ったのだろうな?と世間話ともつかない話をしている。七海は早速だが要件を言う。堀田、君のチームとはもう争いたくないのだ。私は自分の能力を高めた。その所為で見たくも無い未来が見えてしまうのだ。このまま争って行くと君たちのチームも私のチームも両方が犠牲を伴う争いになる。そして気付けば能力者だけで無く一般市民をも大量に巻き込む事になる。それが続くとゲリラ戦になるかそれとも大国が出て来て小さな国では大量破壊兵器を使われてしまい能力者も何も大量に犠牲者が出てしまう。能力者10人かそこらを殺すのに数万人の犠牲が出る可能性もある。その為に私はどうしても未来を変えたいと願っている。私は君たちが思うような悪人かも知れないが、少しでも戦争の火種がある場合私は政府の要人や元首を操って戦争を無くす方向に持って行きたい。どうか君たちには私のチームへの攻撃を止めて欲しいのだ。虫が良いのは分かっている。ここで私を殴って気が済むなら殴ってくれて良い。
そう言うと七海は土下座をした。もし上の連中に何か言われたらとか他の事は堀田は考えていなかった。今回は七海に掛けてみるしか無い様だ。と堀田は考えた。もし必要なら私は逮捕されて拘束されても結構だと七海は言う。
七海は後は私がいなくてももし必要ならテレパシーでと杏子に言う。例え監禁されてもテレパシーは届くだろうと踏んでいるようだ。では逮捕させてもらうと堀田は浅倉とジンを呼んでワンボックスに連れて行く。そのあとS機関の尾形を呼んで七海を逮捕した事を伝える。
だが七海が巻いた種は徐々に世界を変えて行くだろう。世界中に超能力者たちが増えて影から世界を良い方向に導いて行くだろう。七海は最初はただの小物だったのだけれど徐々に七海の人間性が他の超能力者に認められて行ったようだ。だが超能力者を嫌う輩もいる可能性はある。自分たちとちょっと肌の色が違うだけ宗教が違うと差別するのだから。もし自分とは違った能力があると分かるとやはり差別が始まるような気もする。
本当に他にも七海のような人間がいて超能力を最初に悪用しなかったらもっと早くこうなっていただろうか?いや人間は試行錯誤をしながら徐々に良い方向に行っている気がする。もし今後七海以上の悪の心を持った怪物のような能力者が出て来たら・・・。Shdowsは本当に影のように動いて抹殺するだろう。
当然だが他の七海側の能力者は捕まらなかった。七海自身が捕まった事で他の能力者たちは罪を免除して助けて欲しいと司法取引をしたようだ。だいたい七海の罪は超能力を信じない警察あるいは検察も裁けないのだから。
七海は捕まってしまったが七海の心は他の能力者に理解されてShadowsの中にも七海を慕う者が出始めた。こうなると1つの宗教の様だ。そして七海の考えるように陰で能力者たちは国の要人、元首を操った(と言っても戦争を起こすような言動をしている者に対してだけであったが)世界は徐々に良くなって行くのだろうか?それは七海にもこうなってしまうと予知くらいでしか分からないだろう。
ShadowsⅡ完
※なおこの小説は全部フィクションです。個人名。会社名は架空の物です。