俺と幼馴染と朝と登校
朝……
今日も学校あるじゃねーかと思いながら、ベッドから降りて部屋から出る。
部屋から出ると、ちょうど階段を上がってきた幼馴染の金子ゆいと目が合う。
「あら、今起こそうと思ったのに、自分で起きてきてしまったのね。」
「うん。いや、今まで起こしてもらったことはないと思うけど」
毎朝起こそうとしてくれるが、俺は毎回ちゃんと学校に間に合うように起きている。
電車通学だから電車に間に合うようにの方がいいかもしれない。
「そうね。しっかりしてるってことなのだけれど、主人公にあるまじき行為ね。
そこは幼馴染に、まったくもー仕方ないんだからーって言われながら起こされるのがセオリーってやつなのよ?」
ん? なにそれ
「でも、結婚したら私がちゃんと起こすからもっとゆっくりしてていいのよ。」
「え?」
「……」
顔真っ赤じゃねーか、
結婚するの?
「は、早く顔洗ってきなさい。
リビングで待ってるから」
グイグイと背中を押され、(階段を降りてる時は押されなかった)洗面台で顔を洗った。
さっきまで俺と話ししてたのは
幼馴染の金子結衣。
才色兼備で運動神経も良く、人あたりも良い。
学校の2年カースト上位の清楚系女子グループのようなものに所属している。
黒髪美人。
そして今更ながら俺の名前は如月はると
ごく普通の高校生だ!
よろしく
朝食を食べ終え、学校指定の制服に着替えたら、
嫌々ながらも学校に行かなければならない。
ユイと一緒にいつものように駅まで向かっていると、ユイの方からいつもとは違う香りがした。
もしかして、シャンプー変えたのか?
そして、俺は少し考える。
一緒に登校しているのにも関わらず、会話がない
この状況。(しかし、会話が無くても気まずく感じることはない)を打開するのにシャンプーの話題はいいものなのか...と
でも前にユイが髪を切った時、実は気づいていながら指摘しなかったら、
「さすが主人公ね、鈍感だわ」
と、言われたが、実は気づいていたことを伝えたら
「き、気づいていたのなら、指摘して褒めてくれても良かったのよ?あなたに褒められたら私は早死にしてしまうかもしれないけど。」
「なんでだよ、それは意味が分からん」
というような会話をした覚えがある。
ということで、
「シャンプー変えた?」
いきなり、そして唐突に聞いてみた。
「えぇ、気づいたのね」
「前のシャンプーもいい匂いだったけど、
今のもいいね。」
と、言っている途中で気づいた。
これセクハラ案件だったりしない?
いくら幼馴染とはいえ、いい匂いって、それセクハラ案件だったりするんじゃないか!?
捕まったりするんじゃないか!?
案の定、ユイはうつむいて顔を赤く染めている。
これ! 怒ってたりする……のか!?
やっぱり捕まるんじゃ……
「し、シャンプーの変化に気づいてしまうなんて、
主人公にあるまじき敏感さね、良くないわよ。」
「やっぱりダメだったか。」
言い方が良くなかったのか?
「えぇ、ダメね。」
「……」
学校であんまり喋らないから、会話力がおちてるのかな。
「……やっぱりダメじゃない
もっとほめてぇ」
え? え!? か、かわいい
10年以上一緒に過ごしてたから耐性ついてるけど、それにしてもかわいい!
と、オロオロしていると駅に着いた。
それにしても可愛かったなーなどと思っていると電車が来た。
俺たちが通っている高校、荘司高等学校は割と名門で進学校ではある。ちなみに部活も強いところもある。
この駅から荘司高校に通学しているのは
俺と、ユイはだけだ。
中学からは離れたところに進学したので中学の時の友達はいない。
俺は憂鬱な気分で電車に乗り込む。