王都、到着!
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「ワタルはどこの村の出身なの?」
いきなり下の名前で呼ばれて驚いたが、今度は噛まずに答えることができた。
「えーと、ニホンっていう人口15人くらいしかない小さな村だよ」
もうこれで通すことにした。異世界から来た。よりもこっちの方が信じてもらえるだろうし。
「ふーん。じゃあ魔術もそこで勉強したの?」
「うん、本が何冊かあったから。他にすることもなかったし、友達もいなかったからね。ミーナはどこで魔術を?」
「あたしは王都の魔術学院に行ってるの。」
魔術学院。現役中高生が聞いたらほぼ入学したがるだろう。僕も例外ではない。滅茶苦茶入学したい。それに、学院なら図書館があるだろうし、この世界の情報も集めることができるから一石二鳥だ。
「それって、どうやったら入学できるかな?」
「学院の生徒、もしくは教師から推薦してもらって、入学試験を合格できれば入学できるの。」
なるほど。つまり僕が入学するにはミーナに推薦してもらうしかない訳か。
「入学したいなら、あたしがワタルを推薦するから安心してね」
こちらの考えを見抜かれた。これも魔術の一つなのか?
「ちなみに今のは顔に書いてあったからわかっただけだよ」
どうやら魔術ではないようだ。
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「見えてきた!」
学院の話をしているうちにどうやら王都に着いたようだ。
ここが王都だと納得のいく大きさだ。全体が見えない。中心に大きな城があり、街中に川が流れている。辺境の若者が王都に移り住むのも仕方ないと思うほどだ。
「そこの門から入りましょう」
そう言ってミーナは門の前に降り立った。
「宿屋まで飛んで行かないの?」
ミーナの横に降りるとそう質問した。
「王都の中では飛行魔法を使うのは禁止されているの。」
確かに外から見たときに街中で空を飛んでいる人はいなかった。
「なにか理由があるの?」
「頭に靴の裏の砂がついたりするからだめらしいわ。あたしも詳しくは知らないけどね」
意外と単純な理由だった。まあ確かに嫌ではある。
ミーナが門番にメダルを見せると通行が許可された。僕は連れの人ということで通行が許可され、王都に足を踏み入れた。
「もう夕方だし、あたしの実家の宿屋に行きましょう。」
確かに空はオレンジ色になっている。今日1日で色んな事があったので、はやく横になりたい。
「家に着いたら、まず両親に事情を説明するから。村を救ってくれたんだから、一室貸すくらいしてくれると思うわ。」
そう言うので安心していると、ふと疑問に思った。
あれ?この状況って両親へのご挨拶みたいじゃない?