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スカイダイビング(パラシュートなし)

ゴオオオオ!という騒音で目を覚ますと、僕は空を落ちていた。


「うわああああああ!!」


上空千メートル?千五百メートル?どっちでもいい、とにかくこのままだとせっかく生き返ったのにまた死んでしまう!


できるだけ風の抵抗を受けるように手足を広げる。下はきれいな緑の原っぱで家が何軒かあるが今は景色を楽しんでいる場合ではない!


「カード具現化を使うのじゃ!急げ!次はもうないぞ!」


頭の中でお爺さんの声が聞こえる。頭の中に直接話しかけているんだろう。恐らくこの状況も見ているはずだ。てゆーかもっとまともなやり方はなかったのか!


「二回も死んでたまるか!」


声を絞り出すと、頭を集中させた。そしてカードを一枚思い浮かべ、頭の中で召喚!と唱えると、右手に箒が現れた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

装備カード「魔法使いの箒」・アンコモン

・このカードは魔法使い属性の分身にしか装備できない。

・このカードが装備された分身カードは飛行能力を得る。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

急いで箒にまたがると、身をかがめた。すると願いとは裏腹に落下速度がどんどん速くなっていった。


「嘘だろおおおおおおお!」


地面が段々近くなっていく。せっかく生き返ったっていうのにまた死ぬことになるなんて!しかも死ぬまでの時間が長いので二回目の方がなんとなくエグいじゃないか!


「くそっ!俺の人生もう終わりか!」


いや、確かに一回終わったけどこんなすぐに死ぬんだったら生き返ったって言えないんじゃないか?むしろ二回も死ぬって普通の人よりだいぶハードな人生じゃない?


考え事をしているうちに地面が近くなってきた。そろそろ覚悟を決めないといけないみたいだ。実際には滅茶苦茶怖いけど!


「すまん、ワシのせいじゃな...」


また頭の中に声が響いてきた。声のトーンでとても落ち込んでいるのがわかる。


「気にしないでください。たった一度だけど、カードを実際に召喚できたんです。それだけで僕はとても満足してます。だってカードが僕にとっての全てでしたから。」


こう言ってはいるが、実際心残りはある。できることならもっと強くてレアなカードを召喚してみたかった。けど武勇伝のカードはレアで強いほど複雑なイラストをしているのだ。そんなカードをイメージする時間はもうない。


「すまんの...次生まれ変わる時はまた人間に生まれるように祈っておるぞ」


「ありがとうございます」


最後の言葉を口に出すと、僕はせめて最期に太陽を見ておこうと思い体を上に向けようとした。すると、箒の先と地面の角度が大きくなるにつれてどんどん速度が遅くなっていった。


「え?」


地面まであと50センチというところで角度は垂直になり、完全に空中で止まった。


「た、助かった...」


突然力が抜けて僕は原っぱの上に倒れこんだ。


僕はまだ生きている。








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