プロローグIF
この「新しい我輩、はじめます。IF」は現在投稿中の「新しい我輩、はじめます。"https://ncode.syosetu.com/n8717ed/"」のIF物語になります。
大きな変更としまして主人公の性別を男から女になります。性別変更での表現や文章の修正といくつか変わる所もありますがストーリー自体に大幅な変更はありません。
何故、本筋も完結もしていないのにこの様なものを投稿するのか、それはタイトルの「新しい我輩、はじめます。」であるのならば性別も変わってしまうのもありなのでは? とふと思ってしまったからです。
そう考えているとそれはそれで執筆したくなりIF物語として新たに投稿しようと思いました。
このような作者のわがままだけの作品になってしまいますがこちらも読んでいただけると幸いです。
コル
「勇者ディルのご出立である!」
野郎の野太い声が晴天の空に響き渡る。
ガコンと鈍い音を立て大きな門の扉がゆっくりと開いていくのを眺める、これが開ききれば我輩どうなってしまうのだ……。
「さぁディル殿、行きましょう」
右にいる女騎士は凛とした声で馬を進ませてる、やる気満々だな……。
「ディル! アタシたちで魔王のデイなんとかをボッコボコにしてしてやろうね!」
左にいる精霊はふよふよと飛び、拳を振りながら進んでいる、こっちもやる気満々……。
「………………」
何故そんなにもこいつ等はやる気満々なのだ、我輩はそんなノリについていけないぞ。
大きな門の扉が開ききった視界には大勢の人たちが歓喜に沸いている、こいつ等もか……。
「勇者ばんざーい!」
「ディル様! 魔王を討ち取ってください!」
「ゆーしゃさまー、がんばってー」
老若男女の声援が実にうるさい……。
「勇者ディルよ! 必ず、必ず魔王デイルワッツの討伐を成し遂げるのだ! 皆も頼んだぞ!」
背後の城のテラスから威厳に満ちた声が響く、王冠をかぶり、豪華なマントを羽織、威厳のある口髭を生やしたこの国の王様が叫ぶ、そんな大声を出さなくても十分聞こえてるわ。
「ハッ! お任せを!」
右にいる女騎士は直立し拳を握り胸に当てそれに答えてる、いちいち反応しなくても良いと思うのだが。
「アタシ達におまかせあれ!」
左にいる精霊もふよふよと飛びながら手を振ってそれに答えてる、お前まで返事してしては我輩もするしかないではないか……。
「……ハイ……お任せを……」
なんとも力のない声なのだ、我輩でもこれはどうかと思うがしょうがないではないか……何せ――。
――どうして我輩が我輩を討伐しに行かなければならぬのだ!?