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やりなおせるとしたらなにをするべきか  作者: シナモンメッツ
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突然の同居人(2)

「先程は、取り乱してしまい申し訳ありませんでした。私が、どうしてここにいるかということでしたよね?」

「ああ。」

俺は食事をする手を止めて、真っ直ぐに彼女を見ていた。

「まず、確認したいのですが、あなたは、昨晩寝たあとのことを覚えていますよね?私のこともしっていたようですし。」

「もちろんだ。俺の記憶が正しいのであれば、保健室のベッドで話をしていたはずだ。名前はたしか・・・アスハだったよな?」

「はい、そうです。それであっています。そして、私のことですが、私はあなたに呼ばれました。あなたの日常的に抱いている強い葛藤それがあなたが私を呼んだ強い原因だと思います。私はあなたの願いを叶える存在だと思ってくれて大丈夫だと思いますよ。」

「願い・・・だと?」

俺はアスハの言葉に首をかしげた。

それもそのはず、俺には〜になりたいというものであったり、将来は、~になりたいと言うようなこれからの未来に大きな希望は全く持っていなかったからだ。

そんな俺の考えを読んでいたのか、アスハは「そうですね」と少し考えてから、俺に向き直り再び話し始めた。

「願い、というのは少し違ったかも知れません。正確には、『 ~であったならばな』と言った希望的なことを叶えるということでも言ったらいいのでしょうか、そのようなことです。これを叶えるために数時間前にも言ったようにタイムスリップをすることができます。」

たんたんと喋るアスハの話に俺は頭を柔軟に回転させて対応していた。そのため目の前にいたアスハにもそのような俺の態度が思っていたものと違ったらしく、「思ったよりも驚かないのですね」と言われた。

驚いていたかどうかと聞かれればたしかに驚いてはいたのだが、保健で聞いたタイムスリップという言葉と昨晩の夢であったと思っていたことが現実であるということを既に説明されていたので、顔にでるほどではなかった。

しかし、俺はアスハからこの話を聞かされてから頭の中で様々なことを考えていた。(これを使えばもしかしたら、あのことをとりけしにできるのではないだろうか。長年迷い続けてきた問題に終わりをつけることができるのではないだろうか。)

「それと、もう1つ重要なことを言わなければいけないのですが、これは、タイムスリップをすることで、後悔していることをなくしてしまうということです。つまり、その人が後悔している事の結末を知る必要があるということなのです。これがもし、サッカーの試合でフリーキックを右足ではなく、左足で蹴っていたならばというようなことであるのなら結果、キーパーに止められてしまった。というようなことですむのですが、もし、『人がなくなってしまった』という類のものであれば・・・」

「・・・その人の亡くなるところを知る必要がある。」

口の中が一気にかわいていくのがわかった。今、自分の思っていたことのスケールの大きさに気づいてしまったからである。

「そういうことです。もう1つ付け足しておくと、目的の結果はタイムスリップをした時に最初に見ることとなります。これは、夢の中で見たというような類のものとなりますので、起こってしまった後にタイムスリップしてしまったというようなことはありません。そして、タイムスリップからこちらにもどってくる方法ですが、目的の結果を変えることが出来たのであれば、眠ることで、勝手に戻ってくることが出来ます。そして、1度過去に戻ってしまえば目的を達成するまで、こちらに戻ってくることは出来ません。これについては私も記憶を失っていることがありまして、詳しいことは把握しておりません。申し訳ございません。これは人によってはとても精神的にきついものとなるでしょう。よく考えて決めてください。ナムトくんの心が壊れてしまっては意味が無いのですから。」

この話はここで一度お開きとなり、俺は自室にこもって小説を読んでいた。内容は理不尽な人生を強いられた主人公が、かけがえのない存在を見つけて、立ち直っていくと言った内容であった。ちなみに、お開きとなる前にアスハが

「そういえば、私がここにいるりゆうですが、正直私にもわかりません。すみません。重要なことであるのは私自身も思っているのですが、やはりその記憶が・・・・・・

あと、なぜか、ナムトくんと一定距離以上離れることが出来ないことも関係があると思います。あっ、でも心配はいりませんよ。こちらの世界ではナムトくん以外に私は見えていませんから」

と言っていた。

「俺は、どうしたらいいんだろうか、・・・真紀、俺はアスハの話を聞いてお前を助けに行きたいとおもってしまった。でも・・・」

俺にその資格があるのだろうか、本当にできるのだろうか。弱気な気持ちばかりが出てきてしまう。

集中することも出来ずに文庫本を閉じた俺はその日一日中ネットサーフィンをして、目に止まったもの全ての記事を読んでいた。1時間ほどたった時、俺のケータイが音とともに振動しだした。

携帯に書いてあった名前には昔からよく、俺と真紀と一緒につるんでいた新井侑真という男からであった。

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