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私はレティ  作者: 喜多蔵子
9/29

9  注意してみて

 アンジェ様とクリス様との秘密ではなくなりつつあるお茶会へのお誘いがあり、いつものサロンに向かい部屋にはいると、いつも広く感じるサロンの人口密度が上昇していた。手っ取り早くいうと他に三人の令嬢と騎士科の先生が一人増えていた。



「要約すると私にメアリー嬢へ注意して欲しいと言うことですね。」


 まとめるとそうなる。

 三人の令嬢すなわちレナード様の婚約者マリアンヌ·ルーファス子爵令嬢

 ルドルフ様の婚約者エリノア·ストーン伯爵令嬢

 ギルバード様の婚約者クローディア·アロニエ伯爵令嬢

 エリノア様は同じ一般科三年生なのでよく存じているが、マリアンヌ様は特進科の一年生だったかな。クローディア様は騎士科の三年生でアンジェ様とも仲が良く何回か普通のお茶会でご挨拶をしたことがあったな。

 現在噂の渦中にいる方々だ。

 何でもメアリー嬢が自分の婚約者とイチャイチャしたことに腹を据えかねた某子爵令嬢がメアリー嬢に注意に言ったら、貴族とは思えない罵詈雑言を言われ、さらに翌日婚約者からも「メアリー嬢を呼び出してお茶をかけドレスを汚した上、ひどい悪口を言った。なんて女だ。」とかなんとか言われて、ひと悶着あったらしい。三日前の騒ぎはそれか。

 実際メアリー嬢とその某子爵令嬢との間で何があったかわからないが、とにかくその男は自分の婚約者の話には一切耳を貸さず、メアリー嬢の言い分だけを信じたらしい。ひどいやつだ。馬に蹴られてなんとやらだ。違ったかな?

 そのこともありお三方が直接メアリー嬢に注意するのはどうかということになり(エリノア様は初日のことがあってからメアリー嬢とは目も合わさない)、でもアンジェ様やクリス様では接点もなく身分も高すぎる。

 そこで、同じクラス、同じ身分の私なら「もしかしてうまくできるかも」ということになったらしい。

 正直初日に歩くゴシップ雑誌オノリア嬢が玉砕しているのだから私が言っても無駄だと思うのだが、その事を伝えようとお三方を見ると、棄てられた子犬(中には狂犬もいた?)のような、すがる瞳がこっちを見ていた。

「私でよければ·····努力してみます。」



 お三方は嬉しそうな表情でサロンをあとにした。残された私、アンジェ様、クリス様そして騎士科の先生っというか実はアンジェ様のお姉さまロウィーナ·ハイライト辺境伯令嬢でお茶会の続きが始まった。

「ごめんねレティ。でも、あの三人も婚約者に直接噂の確認はしたらしいが、婚約者の連中全員が『嘘の噂だ』って言ったらしくて。『婚約者が信じられないのか』とも言われたらしい。」

「でも実際お三方とも見てるんですよ。浮気現場。だから侮辱されたままでは許せないみたいなんです。」

 アンジェ様はともかく、最近クリス様、近所の噂好きおばちゃん化が進んでます。

 ロウィーナ先生が「とりあえず、このサロンの裏庭にメアリー嬢を呼び出してもらえない。言った言わないを防ぐため、サロンの中で数人が待機して見守るから。」

 私は頷くしかなかった。

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