7 転入生
やっとヒロイン登場です。
クリス様情報の通り週明けにメアリー·キャッスル男爵令嬢が入園した。北部出身とのこと。領地も近い同じ男爵家出身のオノリア·バーンズ嬢が、先生指定でいろいろ教えてあげてねっと言われていた。噂話が三度の飯より大好きなオノリア嬢は早速メアリー嬢の元に。
しかし、なんとメアリー嬢はオノリア嬢の話しかけたことをすべて無視したのだ。移動教室や食堂の場所などなど案内するっと言う彼女を完全に完全に無視したのだ。
怒ったオノリア嬢はクラスの令嬢集団に向かって行って怒りを爆発(とはいっても貴族令嬢ですのでおしとやかにですが)。言い方が悪かったのかと思った他の男爵令嬢や子爵令嬢も話しかけたがこれも全部スルー。
流石にこれではと思ったクラス一身分の高いエリノア·ストーン伯爵令嬢がメアリー嬢の所に行き、穏やかに、優雅に、上品に、
「初めまして。私はストーン伯爵家のエリノアと申します。何か学園生活で不明なことがありましたらなんなりと訊いてくださいね。」
っと伝えたところ、なんと転入生メアリー嬢が初めて返事をした。
「身分をひけらかすなんて最低。きっと身分以外自慢することもないんでしょうが。」
「凄いな。そのメアリー嬢。なんか貴族に恨みでもあるのかね。」
「身分をひけらかすってどういうことですか?初対面で身分を言うのはむしろマナーでは。」
私は三人になったお茶会で早速本日の報告をしました。
「はい。身分を相手に伝えるのは確かにマナーなんですが····。
結果、エリノア様はその後、優雅に挨拶してその場を去ったのですが、一般科三年生の令嬢すべて敵に回しましたね。
あっ、でもその場にいなかった令息の一部がメアリー嬢に後で話しかけたら『クラスの女子全員に囲まれて怖かった』とか言ってましたね。さすがにそれを聞いた成り行きを静観していたクラスの他の令息が一気に引いて····なんか教室内が不思議な空間に···。」
アンジェ様、笑いすぎです。クリス様、その未確認生物を見てしまった様な表情で私をみないでください。
「どんな見た目?」
「見た目ですか?淡いベージュ系の髪色で目は水色。かわいい系です。」
「では、今王都で流行っている小説の主人公みたいですね。身分違いの恋をする『真実の愛』の主人公も確か男爵令嬢ですよ。お相手は王子様。」
確かに。でも、あの主人公の女の子の髪色はピンクベージュではなかったかしら。あ、クリス様、妄想のおとぎの世界にとんでいる。転入生のメアリー嬢は主人公とは似ても似つきませんよ。戻ってきてください。
「ふ~ん。とりあえず騎士科の女子に伝えておくよ。近づくな。危険。って。」
アンジェ様、面白がっていませんか。メアリー嬢は国指定の危険生物ではありません。真面目にしてください。
乙女ゲームっぽくなってきたかしら?