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私はレティ  作者: 喜多蔵子
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5  秘密のサロン

 私の元に一通の招待状がきた。アンジェ様からのお茶会の招待状。勿論参加の返事を出してお茶会の日を一日千秋の思いで待った。

 お茶会の会場のサロンに入るとすでにアンジェ様がいらっしゃって笑顔で席まで案内してくださった。

「今日は二人だけのお茶会よ。他の人を呼ぶとレティが猫被っちゃうもの。」

いたずらっ子の様な表情で、私を見て右目でウインクした。

 何処までもついていきます。アンジェ様。

 私は王都で流行の焼き菓子をアンジェ様に渡しながら「好きです。受け取ってください。」など馬鹿な発言をしてしまった。

「相変わらず····。しかも王都に来てそんなにたっていないのにこのお菓子を準備するとは流石だな。婚約者の人に頼んだの。」

 アンジェ様はテーブルの上に準備されているお菓子の横に私が持ってきたお菓子を並べ始めた。メイドにさせなくていいのだろうか。部屋を見渡すと誰もいない。さげたな。

 アンジェ様は上位貴族なのだが辺境伯令嬢ということもあり、何でも自分でしてしまう。

「はい。王都まで送ってくれて、商売のため少し王都にいるので。フィリップ様もアンジェ様にお逢いしたがっていました。」

 私の婚約者はウォール商会の跡取り息子。王都では有名ではないが、東部ではそこそこ名が知れております。貴族ではありませんがとても素敵な人です。初恋です。会った時のことを思い出しながら返事をすると、アンジェ様がニヤニヤしながら見ています。恥かしい。

「私も会いたかった。何せ良いものを紹介してくれるからね。この前購入した短剣は素晴らしかった。切れ味もよく·······」

 私達はいろいろおしゃべりに花を咲かせた。


 同じ学園で学んではいるが、歴然たる身分の差がある。アンジェ様は辺境伯令嬢、私は男爵令嬢。学園内で上位貴族のアンジェ様に声をかけるのはマナーに反する。その為学園にきた日から今日までお互い目を合わせず、声もかけていなかった。クラスも違う。アンジェ様は騎士科、私は一般科。これからお茶会のマナーを各身分ごと学んで、その後、身分の高い方の社交場に行った際のマナーについて学ぶ。逆にアンジェ様は下位貴族のお茶会のマナーを学ぶ。嫁ぎ先によってお茶会や社交場のマナーが変わるからだ。勿論嫁ぎ先がきまっているものによっては学ばなくてもいい部分はあるが。私はアンジェ様と仲良くしたいから身分差を越えたマナーを学ぶ。


 今年は垣根を越えたマナーを学ぶ令嬢が例年より多いそうだ。殿下のおかげで悪目立ちせず助かります。


「2年生になったら身分を越えたお茶会の実践が始まるから、理由をつけて昼食も一緒にとれると思う。今年一年は二人だけのお茶会だな。」

「来年はクリス様も入園しますしね。」

秘密のお茶会は今年一年は続くことになりそうだ。

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