4 学園への入園
今私は王都にいる。正確には王都にある学園の門の前にいる。今日からこの学園の寮で生活しながら貴族としての知識を学ぶことになる。16歳になる年の春に入園して専門的な研究者になる以外は三年で卒園する。貴族しか入園できず、必ず貴族なら入園しなくてはいけないのである。
今まで観光地とはいえ辺鄙な片田舎から一度も外にいったことのない私にとって王都は都会すぎた。学園も噂ではミニ社交場と言う名の魔窟らしい。来たくなかった。
今日という日が来ないことを祈り続けた。しかし今日は来た。シア様は病気療養のため一時的に入園が保留になった。もしかしたら、元気になれば、学園に通うことになるかも······。
多分ないだろう。
私はうつむき、ため息をついてから、顔を上げて一歩前に進んだ。
寮に入って二日後入園式があった。学園の理事長(といっても実は先代国王陛下。隠居したから年寄りの多い王宮より若い子がいる学園の方がいいと言って理事長になったらしい)が新入生に挨拶した後、第二殿下アルフォンス様が新入生代表の挨拶をした。
そう言えばアルフォンス様ってシア様の婚約者だったような気がする。何度かシア様の元に手紙や贈り物がおくられてきたような····。病気療養が長引くから婚約は解消するかもって····。覚えていない。
「素敵ね。殿下と同級生なんて幸運だわ。」
「本当ね。私達なんて運がいいのかしら。」
「そういえばメイフィールド公爵令嬢はどちらかしら。殿下の婚約者の···。」
「病気療養のため入園が遅れるみたい。」
「噂では婚約解消になるらしいって話があるそうよ。」
「そしたら私達にもチャンスが巡ってくるってこと。」
「「「まずはお友達から頑張りましょう」」」
凄いな。ついていけない。