23 婚約破棄というか婚約解消?
その日の昼食はアンジェ様とクリス様とご一緒しました。一年生の頃は近付くことも出来ませんでした、努力しました。秘密のサロンではなく、他の方々がいらっしゃる食堂で堂々と同席して食事。なんて名誉。三年生になってやっと人前でも節度ある友人関係が出来るようになりました。身分差って本当に大変。
「以上が我が一般科三年生の諜報部員による報告です。」
アンジェ様、顔が固まっています。確かにに百段落ちて『かすり傷』。固まる気持ちは解るのですが。
「レティお姉さま、オノリア様を紹介してくださいまし。私も今後のため諜報部員欲しいです。」
クリス様悦んで紹介します。オノリア嬢も悦びます。
「先ほど先生方に確認に行きました。事件の内容を詳しく教えてくれませんでしたわ。でも、虚言だから気にしないようにと言われました。」
確かの先生方もクリス様には、話したくないだろうな。
そこに、殿下と地に堕ちた四天王と信者が来ました。まっすぐ私達のところへ。
殿下は、私に向かって、落ち着いた声で、
「今回はやり過ぎだ。階段から突き落とすなんて。
ノートを破いたり、悪口を言ったり、茶会に呼ばないなどは対したことじゃない。
社交界ではいろいろあるからな。」
「でも、今回は違う。一歩間違えたら死んでいたんだぞ。」
でも最後は感極まった声で叫んでいた。
「君は自分の立場を理解しているのかい。
この前は私以外の男·····商人の男と二人だけで外出しているし。
学園に通いだしたのに挨拶にも来ない········。」
声が小さくなっていく。
「君は、僕との婚約を不本意だと思っていたのかもしれないが······。」
殿下泣きそう·······。私と目を反らし、拳を強く握りしめて······
「今回のことは、父上には話さない。
でも、もう君と人生を共にする自信はない。
もともと公爵から解消の話もあった。
僕の我が儘で婚約は続いているが、·······
·····婚約は解消の方向へ進むよう手配する。」
·························「え?」(私)
『『『『『『『『『『えー!』』』』』』』』』』(食堂にいる人七割)
信者が私を睨んでいる。ギルバート様が睨んでいる。レナード様が睨んでいる。ルドルフ様が睨んでいる。
そしてギルバート様が「静かに」と一喝した。レナード様がまっすぐ、い抜くような視線で私を見たあと咳払いをして、
「殿下は陛下へ報告しないと言いました。しかし、実際学園で起きた以上、学園の事件として処理させて頂きます。
早速ですが、レティシア様、あなたは婚約者であるアルフォンス殿下が友人であるメアリー·キャッスル男爵令嬢と仲良くしている様子に嫉妬し、昨日放課後中央階段から彼女を突き落とした。他にもいろいろありますが、淑女として、また王族に嫁ぐ者としてふさわしくない。
よって、本学園から退学して頂きます。せめてもの情けで自主退学ということにしてあげます。」
宣言しました。
ルドルフ様が「証拠のハンカチもある」と言って白いハンカチを振っている。
信者が睨みながら暴言を吐く。
「無視するなんて最低」
「身分を傘に悪口言いふらすなんて最低」
「お茶会に招待せず仲間外れなんて最低」
「他の男に色目使うなんて最低」
「ノートを破るなんて最低」
「お茶会でわざと飲み物こぼして彼女の服を汚すなんて最低」
「·······お言葉を発する許可を頂いてもよろしいでしょうか·······。」
「言い訳ですか。いいでしょう、どうぞ。」
レナード様が前にでて答えます。
おい、私は殿下に発言の許可を聞いたのであってお前に聞いていない。お前が答えるな。
地に落ちた四天王の癖に睨むな。
そして信者のひとり、お茶会に招待していない人間にどうやって飲み物をこぼして服を汚すことができる。私は古の魔法使いか。
殿下とりあえず泣かないで下さい。情けないです。
私は席を立ち、姿勢を正して、皆様の目を見て、
「私、東部トレシリアン公爵閣下の管理下にありますロック領のロック男爵家が長女レティシアと申します。先ほど私が殿下の婚約者などという荒唐無稽な話を伺いましたが、私の婚約者はウォール商会の長男フィリップ様です。
殿下の婚約者は南部メイフィールド公爵令嬢レティシア様と存じ上げます。確か学園には当初から通っていないかとお聞きしましたが、何か間違えでもありますか。」
解りやすい筋書きで申し訳ございません。




