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私はレティ  作者: 喜多蔵子
18/29

18  模擬戦

 本日もお日柄もよく曇天です。


 騎士科全員による模擬戦をする日。日頃の鍛練を全校生徒に見せる日。騎士科が一番輝く日。一般科、特進科も見学する日。好きな人が模擬戦に出る人はおもいっきり応援をする日。そして、王立騎士団、近衛騎士団、辺境騎士団等の人達が未来ある若者を勧誘するための事前調査に来る日でもあります。

 でも、クローディア嬢は不参加。噂では怒った騎士団長が、今日、ギルバート様にとどめを刺すため勧誘調査に紛れて刺客を放ったとかなんとか。


 一般科三年生の指定見学席につき、アンジェ様の応援に花咲かせようと、クラスの女子と盛り上がっていると、メアリー嬢がいないことに気付きました。取り敢えず先生に報告しようとしますと特進科の指定席から聞き慣れた声が·····。

「みんな頑張って~。」

 ああ、メアリー嬢がメアリー嬢が特進科の三年生の指定席にいる。すかさず、クリス様が特進科の二年生指定席から立ち上がり、メアリー嬢に何か言っています。距離が離れているので声は聞こえません。固唾を飲んで見守ります。いつの間にか殿下が間に入りクリス様と話しだし、結果クリス様は自身の席に戻り、メアリー嬢はそのまま特進科の三年生指定席に。

 クリス様は第三殿下の婚約者。未来の義兄であり、王族であるアルフォンス殿下にこれ以上強く言えなかったのでしょう。


 試合が始まりました。

 騎士は模擬戦の前に、自身が持つ剣を頭上にかかげ、その後胸の前に下ろすという仕草をします。『貴方に剣を捧げます』という意味で、実際戦場に行く騎士は王族に対してその仕草をします。また、愛する人に対してもします。剣を捧げられた女性はハンカチを渡します。愛する人を思って刺繍をしたハンカチを渡します。『ハンカチを貸します。生きて帰って必ず返して下さい』という意味です。······私には縁がありませんが。

 今日もハンカチを用意した女子がたくさんいます。婚約者もしく恋人に贈る人達です。模擬戦なので実際死なないけど····。伝統ですね。

 騎士科のギルバート様がメアリー嬢に剣を捧げています。婚約者以外の女性にすることではないのですが。

 ···········なんだろう。王立騎士団の見学席から寒気がする。

 続いてメアリー嬢の信者のひとりがメアリー嬢に剣を捧げています。更にもうひとり。あら、もうひとりいた。あ、全員にハンカチを用意している。さすがメアリー嬢。

 でも皆さん婚約者はいないのかしら?

 気になり周辺を見渡すと二人程の女子が泣きながら立ち去って行きました。その手にはハンカチが···。婚約者いたのね。


 試合は男子はギルバート様が優勝。地に堕ちたとはいえやはり強かった。女子はもちろんアンジェ様。でも騎士科で一二を争うクローディア様との一騎討ち見たかった。




「奴は弱くなった。」

アンジェ様が嬉しそうに言った。

「アンジェお姉さま、奴とは誰ですか。」

クリス様はお菓子を食べている。お菓子を食べている。お菓子を食べている。やめなさい。豚になります。

「ギルバートだよ。最近訓練をさぼるんだ。去年までは圧倒的に強かったし、模擬戦の途中に指導までしてただろう。でも今年は違う。何とか勝った。しかも卑怯な戦いいかたで。」

「そうなんですか?」

私にはわからない。

「そう言えば、殿下はクリス様に何と言ったんですか。」

「メアリー様はクラスで虐められている。だから友人として招いた。とのことです。」

だから、クリス様お菓子を食べないで下さい。



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